第1話 在米大使として出向
第1章の主人公は在米大使です。
よろしくお願いします。
日本は開国した。
英国、蘭国、明、清は元々交流があり、僅かながら派遣したりしている為人流があり、担当する役人も決まっていた。
よって上記の国々の大使はほぼ自動的に決まっていた。問題は米国である。
交流も人流も無いので、これからの為にも新たに大使を選定しなくてはならない。
そこで白羽の矢が立ったのは大目付であった遠山景則であった。
遠山景元
年齢32歳、独身男性
旗本遠山氏の長男
江戸生まれ、江戸育ち
通称は金さん、キンコ、キンノジ
父は長崎奉行になった時は共に長崎に行った関係から英語などの外国語はかなりできる。
不良時代があったので体に刺青があるらしい。
喧嘩と剣術はピカイチで、負けた事は幼い時に父にやられたくらいしかない。
父の死去により25歳で家督を継ぎ様々な奉行所に勤めた後30歳で目付となる。
また、朝廷からも位を頂いている。
32歳の時に、日本が開国にした事で米国に大使館を置く事になった。米国は英語圏のため幕府内で、英語が出来てそこまで重要な役職についてなくて大使として振舞える人物が必要になった事から2021年在米大使に任命された。任命は天皇と将軍の連名による。
因みに、キャリア官僚で32歳で独身はこの日本では少数派であるが特段珍しい事ではない。最も、後継ぎがいないのも世間体としては良くはないのだが。
部下は公使と書記官、あと職員の計20名程である。
公使は出島で役人していた同い年で従兄弟のマンボウこと遠山景則、書記官は親友の脇本拳。俺たち3人は昔からの遊び仲間でもある。この中ではマンボウだけが妻帯者で、子供が2人いる。
職員は奉行所時代の部下や遠山家に仕える者などから選抜した。
あと、2023年位にサンフランシスコに領事館を設置予定らしい。大使館は勿論首都のワシントンD.C.に。
部下共々大使館勤務の研修をし、任命式後すぐに米国へ出立予定となった。海路ではなく空路で。
この日本の空港は出島にしかない。他はまだ建設中。よって遠山達は出島にあらかじめ赴き、出島で研修していた。そして出立の日を迎えた。
金「マンボウ、いよいよ米国だな。」
マ「そうだね、金さん。」
金「俺たちの中で一番英語が出来て外人相手にしてきた実力に期待してるぞ。」
マ「はは、金さんほどじゃないよ。」
金「ところで、拳のやつは?」
マ「あそこにいるよ。あいつ、緊張してるからな。」
金「あいつ、昔から外人苦手だからな。それより、奥さんや子供は心配してなかったか?」
マ「まあ、出島で勤務してるときから単身赴任だったからあまり大差ないかな。それに、年に数度は帰れるし、江戸近辺に空港できるからな。」
金「まあ、俺以外は頻繁に一時帰国できるからいいけど、俺なんか2年に1回しかないぞ。それに大使の途中交代も多分無さそうだしな。ま、余程の事件でも起こさん限りは生涯大使かもな。」
マ「それは金さんが老中水野に対して反発しまくるからでしょ?」
金「あんな奴のいいなりになる位なら大使館勤務の方がいいだろ?」
拳「巻き込まれる身にもなってよ、金さん。」
金「お、少しは回復したか?巻き込まれるのはいつもの事だろ?」
マ&拳「全く、金さんは…敵わないな。」
傍から話を聞いていた部下達も同じ思いであった。
こんな雑談をした後、飛行機に乗り、米国へ向かうのであった。飛行機に乗った経験があるのは金さんとマンボウのみ。残りの者は飛行機が離陸時に気絶したり、騒いだりとなんだかんだ面倒くさい事態になったが、他の乗客はいないので大人しく寝てもらうことになった。こうして米国のニューヨーク空港に到着した。ニューヨークとの時差は日本より13時間遅く、フライト時間は13時間程なので日本から出発した直前と同じような時間帯で到着した事になる。
こうして、ニューヨークから大使館のあるワシントンへ移動し、大使館入り、確認と準備で1日は終わった。
次回は11/3に投稿予定です。