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3話

最初はメルル視点で、途中からリンナ視点になります。

錬金術師になるって言っても、何をやればいいんだろう…。

二人と遊んでた時に錬金術に使えそうな素材をアイテムボックスに入れてたけど、何があったかなぁ…。




⦅石ころ⦆✕42

⦅霊草花⦆✕7

⦅木の枝⦆✕21

⦅木の葉⦆✕12

⦅何かの石⦆✕6

⦅原石⦆✕2

⦅壊れた瓶⦆✕4

⦅何かの欠片⦆✕25

⦅土⦆✕16

⦅腐った倒木⦆✕1

⦅リンゴ⦆✕7

⦅バードの羽⦆✕8

⦅砂⦆✕6




思ったより結構素材が溜まってた。

砂とか土とかは100gで一つになるみたい。

って、素材が沢山あったとしても、錬金術のやり方を知らないから素材があっても意味無いけど…。

……も、もしかして…、詰んだ……?


何て思って絶望していたら体の周りに何かが揺らめき、私の周りに白いモヤがフワフワと纏わり付いていて、その纏わり付いているモヤが、持ち運び出来そうな両手位の大きさの銀色の釜に姿を変えた。


え…? か、釜…? ど、どこから……?


出てきた銀色の釜を驚いて見ていると、私の周りで白いモヤがまた揺らめいて釜が消えた。


それで私の周りに纏わり付いている白いモヤが、魔力である事が分かり、錬金術を使う釜は魔力で作る事を知った。

試しに魔力で作った釜を、消して魔力に戻したり、魔力を釜に変えたりしてみたけど、特に問題なく出来た。


魔力で作った銀色の釜は、釜の外底に銀色の木の根っこのようなものが付いてあるので、火の上に置いて中身を温める事が出来そうなので、金属とかを錬金する時も使えると思う。


とりあえず…素材を混ぜて見る…?


アイテムボックスの中から⦅石ころ⦆を出して、⦅石ころ⦆と⦅石ころ⦆を釜の中に入れ錬成してみる。


⦅石ころ⦆同士が混ざり、一体化した所で崩れた。失敗。


その後何回か⦅石ころ⦆同士を錬成して見たけど失敗。

⦅石ころ⦆同士が混ざり合い一体化した所までは成功する。だけど、その先が必ず錬成したものが形にならず崩れる。そして⦅石ころ⦆が残り22個になった。


「出来ない…っ」


確かに難しいと言われる程だ。

全然出来ない。何が駄目なんだろう…?

想像力が足りない、とか…?


もう一度釜に⦅石ころ⦆を二つ入れ、錬成されるのを待つ。

また失敗しちゃうかな…? 今度は成功するといいなぁ…。

成功したら何になるんだろう…。⦅石ころ⦆から、手の平サイズの石とかになるのかな…?


ボフン!


「っひゃ…!」


錬成されるまでぼー、としていると、突如「ボフン!」と音がして釜から煙が出てきた。しばらくして煙が消えた頃に釜の中を覗くと、釜の中には崩れた⦅石ころ⦆は無く、手の平サイズの⦅石⦆が入っていた。


想像していたものが釜の中に入っている。

⦅石ころ⦆が崩れず、⦅石ころ⦆が手の平サイズの⦅石⦆になった。初めて錬金術を成功した。


やっと、錬成が成功した。


「や…、やったぁぁ…っ!!」


嬉しくて錬成したばっかりの⦅石⦆を握りしめ、少しばかりはしゃいだ。しばらくして落ち着いた頃、今出来た⦅石⦆をアイテムボックスに入れると、アイテムボックスに⦅石⦆✕1が追加された。

それを見て少し⦅石⦆が出来た時に思い付いた事を試して見る。


⦅石ころ⦆と⦅石ころ⦆を釜の中に入れ、思い付いた事を想像して出来るまで待つ。しばらくして釜から煙が出たので釜の中を見ると、そこには手の平サイズの⦅石⦆じゃなくて、⦅石ころ⦆より大きく、⦅石⦆より少し小さい⦅頑丈な石⦆があった。


「やっぱり……」


これで分かった。錬金術を使うには具体的な想像がいるんだ。

⦅石ころ⦆と⦅石ころ⦆を錬成する時に、二つが混ざって大きくなる、と想像すると、手の平サイズの⦅石⦆になる。


他に⦅石ころ⦆と⦅石ころ⦆を錬成したとしても、想像しているのがもし、二つ合わさって頑丈になる、と想像していたら⦅頑丈な石⦆に錬成される。


同じ素材で錬成しても想像するものが違うだけで出来るものが違くなる。素材による出来になるだけ。


少しは錬金術が出来るようになって、錬金術師に近付けた。

錬金術師になれるようこれから頑張れば、リンナちゃんの世界を救う旅に一緒に行けるようになるし、二人の役に立てるようになる。それに私の好きな人にも会えるようになる。

少し希望が見えてきた。


「頑張らないと……っ!」


次、何を錬成しよう……。


















メルを家に送り届けた後、イアンと共に完全に暗くなった夜に二つの気配を感じた森へと向かう。二つの気配を辿りかなり森深くへと入っていくと、少し開けた場所に出た。不自然な程綺麗に、丸く開けた空間に。


そこは花が一面に咲き乱れていて、ぽっかりと空いた場所から月の光が当たりを照らし、その風景はメルに見せたい程、幻想的な美しさがあり、見惚れていただろう。そこに、二つの気配の持ち主がいなければ。


「…流石だね、と褒めておこうか。」


「この程度で褒める必要があるか?」


フードを被った二人の人は、声的に男と女だ。

そいつら二人は、私とイアンを見て明らかに落胆したように溜め息を吐いた。品定めするようなそいつらの態度についイラッときて、やらないよう気をつけていた舌打ちをしてしまった。


「………チッ」


「リンナ、落ち着け。」


「落ち着いてる、問題無い。」


「ならいい。」


淡々と会話する私達にそいつらは、興味深そうに私達を見つめ「頑丈そうだから魔法の実験にいいかも」やら「試し斬りしてみるか」だの好き放題言う。私達は実験動物か。実験したいなら違うやつにやれよ。お前達丁度二人なんだから互いに実験すればいいだろ。何故私達で実験しようとする。


「おい、ガキ共。行くぞ。」


「こっちも行くよ。」


こっちの意思は無視か!!

しょうがない! やってやろうじゃん!


「イアン! 後衛宜しく!」


「あぁ! 分かった!」


身に付けていた剣を構えた瞬間、目の前に女声の(ていうか女か。)奴が現れ、端辺りまで吹き飛ばされた。


「ぐっっ!!」


マジかよっ!


一瞬で間合いを詰められ、反応する事も出来ずに、何が起こったのかも理解する間もなく吹き飛ばされた。吹き飛ばされた後にようやく吹き飛ばされた事を理解した位に、女声の奴の剣技が早い。反応するどころか、理解する間もなかった。


遠くで立っている女声の奴に、男声の奴が寄っていく。横を見るとかなり向こうの木に寄りかかりイアンが倒れていた。


強い。今の私達じゃ勝てない。どうすればいい…、どうすればあいつ等に勝てる…?


「無駄だ。今のガキ共では私達には勝てない。絶対な。」


「う〜ん、ごめんね。でも、どうやっても君達に勝機はないかな。」


「この…っ! そっちから喧嘩吹っ掛けてきやがったのに好き勝手言いやがってっ!」


「リンナ! 落ち着け! 悔しいけど今の僕達じゃ勝てないっ!」


私を止めるイアンの声に、傍にあった剣を握るのを止めて手を下ろした。それを見た女声の奴は鼻で笑った。


「無様だな。ガキ。」


「言い過ぎだよ。普通に同年代の子に比べれば強い方だって。それに、それを言う為にここに来たわけじゃ無いでしょ?」


「分かっている。すぐに行こう。」


「あ、じゃあ、最後に君達に忠告してあげる。」


「おいっ」


「いーじゃん。ね?」


何を言ってるんだ、あいつ等…。


ぎゃあぎゃあと言い合いをする二人。どっちかと言うと女声の奴が一方的に言っている気がするが…。


しばらくすると言い合いが終わったのか、女声の奴が溜め息を吐いて「好きにしろ。」と言って喋らなくなり、男声の奴が「うん。」と言って私達の元へ歩いてきて私達の前に座った。


「君達に忠告。自分の命より大事な子がいるなら守りなね。消えてしまう前に。」


「「…は?」」


「んじゃ、そーゆー事で♪」


「おい、待て! どういう事だっ!」


「消えるって何だっ!」


大事な子って…、メルのことかっ!?

消える…、メルが!?

意味が分からない。消えるってどういう風に!? 死んで? それとも物理的に消えるって事かっ!?


「言える事が出来るのはここまで。忠告をきちんと役立たせなよ〜。」


「行くぞ。」


「今行く。」


「おい待てって!」


「っ! リンナ! 止まれっ!!」


「っは!? うわっ!」


二人を追おうとするとイアンの制止の声が聞こえ、反射的に立ち止まると、風の刃が目の前を地面を抉りながら通り過ぎていった。イアンが止めてくれなかったら今頃私は細切れだった。


風の刃を放ったであろう女声の奴を睨むと、私を、フン、と鼻で笑った。


「良かったな。優秀な奴が居て。」


「行くよ。」


「あぁ。」


「まっ…!」


イアンの引き止める声を無視し足元にあった魔法陣を起動させ、1秒もしない内にその姿は消えた。気配すら無い。もうこの辺にはいないだろう。


それにしてもあの魔法陣を起動させる早さ。戦闘力の高さ。あんだけ強いなら噂になるはずだ。だけどそんな噂は聞いた事が無い。あいつ等は一体何者だ…?

それにあいつ等が言っていた、「大事な子がいるなら守りなね。消える前に」ってのはどういう事だ…?


イアンを見ると同じ事をイアンも思っていたらしく、こくり、と頷いた。頷いた意味は言葉にしなくても分かる。

あいつ等が言っていた「大事な子が消える。」って言う事だ。

私達の大事な子は一人しかいない。メルだ。


メルが消えるなんて事には絶対させない。あの鏡事件の時に、私達の知らないメルを知った。あの時のメルは自分が怪我しているのに構わず鏡の破片を拾っていた。その時、気づいた。メルは自分の大事なものの為なら自分すら捨てる。大事なものの為に傷付く事を厭わない子だって。

自分の命より大事な人の命を優先する子だって知ったから、私達は決めた。私達がメルを守るって。


「リンナ」


「今行く。」


だから絶対メルを消えさせない。あんたらに言われなくてもメルは私達が絶対に守る。



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