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苦手な方はご注意ください。

東京現代ハードボイルドシリーズ

警部 四条彩音

作者: 日比野晋作

 明けましておめでとうございます。

 

 新春に短編を一話だけ投稿しました。


 皆さま、ご拝読よろしくお願い致します。


 日本の夏はどうしてここまで、ジメジメとして陰鬱なのだろうか?

 

 関谷弘純はセミが鳴り響く中で、インターネットに書かれた手順通りに〝それ〟を作っていた。


〈まもなく、国際野球大会が開幕をするにおいて――〉

 

 テレビの向こうではアナウンサーが今年の秋に開催される、国際野球大会のニュースを告げていた。 

  

 野球なんか嫌いだ。

 

 かといってサッカーもあまり好きではない。

 

 むしろ、スポーツ自体が疎ましい。

 

 おっさん連中に飲み会でルールすらよく分からない野球の話をされて、うんざりだった。

 

 それをこれから、台無しにするのが俺の使命なのだが?

 

 すると仕事用に支給されたスマートフォンに着信が入る。

 

 いわゆる〝主〟からだ。


〈準備は出来たか?〉

 

 中々、聞き取れないが、一応は勉強したアラビア語を理解した後に関谷もアラビア語で「出来た」とだけ返す。


〈野球はアメリカのスポーツだ。故に我々、アッラーの元に集まった者たちは異教徒の偶像を叩き壊す〝聖戦〟を行う必要性がある〉


「私も同じように思います」

 

 嘘だった。

 

 本当はイスラム教なんか信じていないし、彼らの言っていることにも共感はしていなかった。

 

 本当はただ、就職に失敗して自暴自棄になった結果で、自分はテロを働くことになったのだ。


〈ターゲットが観戦に来た次第、吹っ飛ばせ〉


「了解です」


〈異教徒に鉄槌を!〉


「全てはアッラーの名のもとに!」

 

 そう言った後に〝主〟からの電話は切れた。

 

 もう自分が生きている意味などない。

 

 だったら、最後に花火を上げてもいいじゃないか!

 

 そう思った瞬間に関谷は自嘲気味に笑い始めた。

 

 標的は駐日アメリカ大使、ジョセフ・ダグモンド。

 

 中東からの米軍撤退を表明した現政権に対して、我々、イスラム国が敵対を続ける意思表示と、まもなくオリンピックや万博を迎える同盟国の日本に対する警告の意味を込めた、爆弾を使ったテロ。

 

 今に見ていろ、僕をバカにし続けた社会に鉄槌を下す。

 

 そう思った、瞬間に関谷は笑い続けていたが、何故か泣き始めていた。

 

 セミの鳴き声が古いアパートの一室に響いていた。



 10月が終わりに近づいた金沢港で、四条彩音は双眼鏡を眺めていた。


〈至急、至急、SATから警備本部へ、作戦準備は完了〉


「了解、小隊はすぐに対象を制圧。死傷者が出ても構わない」

 

 警視庁警備部の警備一課長がそうSATに指示を出す中で、彩音は金沢港の風に揺られた自身の髪をかき分けていた


「係長、よろしいのですか? 捜査中に死傷者が出れば――」


 部下の小松蓮警部補がそう言ってくる。


「国際的なイベントが目白押しの日本で、テロが起きるよりはいいと思うな? 大体、SATはその為に訓練された部隊でしょう?」


「警備部のオペレーションに我々が出張るのは分かりますが、あくまで我々は警察であって――」


「甘いな? ハム(公安部の通称)に何年いるの?」

 

 彩音がそう言うと、通信を行っている、SATの内山大輔が「すぐに制圧させます」とだけ言った。


「当然ですね?」


 彩音がそう言うと、警備一課長と内山は舌打ちを返した。


 そのような中でも彩音はバックルにシグザウエルP220がある事を確認した。

 

 自分が直接、撃つことは無いだろうが念の為に準備している。

 

 そう思ったと同時に警視庁の保有するヘリコプターであるベル206が上空を飛んでいた。

 

 所管の石川県警では川崎工業とMBBが共同開発した、BK117が採用されているが、警視庁のSAT二個中隊が出張っている為、オペレーションを行う上で警察庁の判断として、警視庁のベル206を使用した次第だ。

 

 さて・・・・・・作戦の様子を見せてもらうか?

 

 そう言って、彩音は業務用のスマートフォンで特殊部隊のSATの隊員に取り付けられた、ウェアラブルカメラで作戦の様子を眺める。

 

 ちょうど、ベル206が上空を旋回しているところだ。

 

 その様子を眺めながら、双眼鏡で金沢港の様子を眺めていると、対象たちが騒めきだすところが見て取れた。

 

 海外のマフィアが日本の暴力団と繋がって、麻薬を輸入しているのだ。

 

 この確保の為に本来であれば、中東情勢と海外のテロ組織の検挙の為の部署である、自分達、警視庁公安外事四課が金沢までやって来たのだ。

 

 一応は警備部との合同オペレーションだが、作戦の様子を私が見届けるように命令された次第だ。

 

 ただでさえ、男社会の警察において女性であると同時にノンキャリの三七歳で警部と言う立場にある事から、常に後ろから撃たれる覚悟を持って、現場に臨む次第だ。

 

 失敗は許されない。

 

 そう思った矢先にSATの中隊長が『降下準備完了。指示を』と警備一課長に問いかける。


「各小隊は対象のマフィアを制圧。武装をしている事も考えられる事からブツを手に入れる為に、対象の射殺も許可する」


〈了解〉

 

 そのようなやり取りを行った後に金沢港がスタングレネードの閃光に包まれる。


〈降下!〉

 

 それと同時にベル206からSATの二個中隊が降下と同時にマフィアたちに対する、制圧行動を始めた。


〈サツだ!〉


〈ブツを隠せ! 今すぐ!〉

 

 日本語と英語が飛び交う中で、彩音の持つスマートフォンにはウェアラブルカメラ越しにマフィアと銃撃戦を行うSATの隊員達の様子が見て取れた。


〈ウッ!〉


〈至急、至急、SATから警備本部、隊員1名が負傷! 繰り返す、隊員一名が負傷!〉


「ブツの確保を優先だ。前線から下げろ」


〈・・・・・・了解〉

 

 この人もなかなかの鬼だな?


 そう思った後に、銃撃戦が続く中で、彩音は金沢港の様子を眺めていた。


「係長、負傷者が出ています」

 

 小松がそう言う中で「知っている。私を誰だと思っているの?」と彩音は突っぱねた。


「隊員の身体機能に障害が生じたらどうするんです?」


「サッカン(警察官の通称)でしょう? 保証は手厚いはずよ。それに負傷の覚悟が無ければ特殊部隊員にはならない」


「・・・・・・あなたは血も涙もない人だ」


「ありがたい褒め言葉ね?」

 

 そう言う中でも港では銃撃戦が続いていた。

 

 彩音はため息を吐くと、車の中に入った。


「甘すぎる」

 

 気が付けば、彩音はそう呟いていた。


3 

 

 東京の警視庁庁舎に戻ると、彩音は公安外事四課長の寺内と公安部長の野田に呼ばれた。


「ヨッちゃん、お手柄だったね?」


「いえ、負傷者を出したので至らぬばかりです」

 

 警察のような男社会の出世競争を絵にかいた組織では気に入った部下にちゃんづけをするのが風習なのだと、彩音は痛感していた。

 

 オッサンどもが・・・・・・

 

 彩音は唾の一つでも吐きたい気分になっていたが、表情には表さずにただ淡々と、目の前の二人に向き直った。


「負傷した隊員だが、命には別状は無く、入院はしたが、障害は残らないということだ。良かったじゃないか」


「平野巡査ですね?」


「知っているのか?」


「優秀な隊員だとは思いましたが、負傷した時点で家族にもSATに所属したことが判明するでしょうから、異動は仕方ないですね?」

 

 SATの隊員はその部隊の性質上、自分の家族や恋人にすら、自分の所属が機動隊であるという嘘をつかなければならないのだ。

 

 これは隊員自体と家族の個人情報を守る為でもある。

 

 ちなみに彩音が所属する外事四課も同様で、自分の両親も警視庁に入庁したことは知っているが、よもや、ハムでスパイのような仕事をしているとは考えてもいないだろうなと思えた。


 大学を卒業して、二年目に巡査部長昇進試験に合格をして、尚且つ、英語、韓国語、中国語、ロシア語を話せる為、ハムから自分にスカウトが来るのは早かった。

 

 その後に専務試験と呼ばれる、その分野のスペシャリストを育てる、試験に受かり、合格後に警察学校に入り直し、彩音は公安捜査官としてのキャリアをスタートさせた。

 

 そして、二八歳で警部補にスピード昇進して、麻布警察署の警備課勤務の後、三十二歳で警部に昇進、三か月の警察大学校での警部任用科での本過程の後に新宿警察署の同警備課長勤務をした。

 

 その後には内閣官房内閣情報調査室、通称、内調に二年勤務し、政財界にパイプを作った後に今現在、三十七歳で国際テロや中東事案を担当する警視庁公安外事四課の係長を拝命した次第だ。

 

 このような常識破りの経歴であると同時に未だに警察内部、上層部がいくら女性警察官の数を増やし、その上で女性管理職を増やすと言っても、未だに男性優位の社会である事には変わりないのだ。

 

 敵は警察内部にもいるのが自分にとっての事実だ。

 

 彩音は負傷した平野の心配をよそにそのような事を考えていた。 


「まぁ、平野は優秀だったが、その所在が家族にバレたなら、異動だな?」

 

 そう言って、野田はタバコに火をつける。

 

 タバコは嫌いなんだけどな?

 

 大体、本庁は禁煙のはずなのだが?

 

 彩音がそう思うと同時に野田は「ただ、本人の意向も聞いて、捜査一課のSITへの異動も検討してみよう」とだけ言った。


「異例の寛大措置ですね?」


 SITは警視庁刑事部捜査一課の特殊部隊で、主に犯人の交渉と突入を行う。

 

 特殊部隊と言う性質上、SATとSITは混同されがちだが、前者は政治的な背景が伴う事件で投入され、後者はあくまで刑事事件においての出動がメインと言うところだ。

 

 平野からすれば場が違っても、一線で活躍できる処置を取ってもらったのだ。

 

 後は本人の気持ち次第だな?

 

 彩音がそう思うと「まぁ、この大量の捕り物で日本国内に薬物の輸送を行った、マフィアの存在が露見した。この意味は分かるな?」と野田が三本目のタバコに手を出しながら、語り掛ける。


「オリンピックや万博前に日本でもテロが起こる可能性があることを強調して、国内の強硬論を高めて、解散が行われるであろう衆院選の争点にするつもりですね?」


「その通りだ。これによって官邸と与党の先生方からは感謝の言葉が飛び出たよ」

 

 そう言った野田は「まぁ、ヨッちゃんの実績と今回の事件解決を考えれば、警視総監賞授与も検討に入るな?」とさらっと言った。


「ありがとうございます。しかし、私は仮にも管理職なので部下にそれは回すべきかと?」


「ヨッちゃんはその点が抜かりないね? 上に立つものは部下の士気を高める為に栄誉は優先して回さないとね?」


「まぁ、事件解決おめでとう」

 

 今日はこの辺で終了かな?

 

 そう思っていた矢先に寺内が「四条」とちゃんづけをせずに呼び始めた。

 

 こういう時は大体、何か重要な時なのだ。


「はっ!」


「秋葉原に行ってくれ」


「先生に接触しろとの事ですか?」


「緊急で会いたいそうだ。一応は分かっていると思うが――」


「点検はしっかりとするつもりです」

 

 点検とはいわゆる尾行などを撒いたり、周辺を警戒することを指す。

 

 彩音はそう言うと、野田が「以上だ、君の部下達の警視総監賞授与の前にもう一山、超えてもらう。さっさと行け」とだけ言った。


「失礼します」

 

 そう言って、彩音は部屋を出た後に本庁の公安部がある十二階から十五階にあるデスクに戻ると、彩音はすぐに外回りの準備を始めた。

 

 公安部は大体、分室と呼ばれる拠点を都内に複数用意しているので、本部庁舎内のデスクには誰もいないはずなのだが・・・・・・


「係長、外回りですか?」


「よく、いたね? 何しに来たの?」


「・・・・・・」

 

 そう言った、小松が黙り始める。


「どうしたの?」


「係長は現場に介入しなくてもいいんじゃないでしょうか?」


「それは別室を与えられたら検討してみる。今はいわゆるプレーイングマネージャーよ」

 

 別室とは各部署の幹部に与えられた特別な部屋で、彩音はそこに座るのを目標にしていた。


「ですが・・・・・・警部階級は事実上の管理職です。万が一の事態を考えて、係長は自身の職務に集中なさった方が――」


「だって、早くに出世したいんだもん。動きたいじゃない? 管理職だけど、うずうずするからさ?」

 

 そう言って、準備を進めると、彩音は「じゃあ、なんかあったら業務用のスマホに連絡を」とだけ言った。


「・・・・・・分かりました」

 

 小松は不満を顔に書いた表情で、此方を眺めていた。

 

 こいつはハムに引っ張ってもらうぐらいだから優秀なんだけどな?

 

 二十代で巡査部長試験に合格して、お父さんの友達が警察庁の警備局長か何かでそれを伝手に外事四課に入ったが、私にアゴで使われるのが嫌なのだそうだ。

 

 一番には私が女であるという事とその当人をはるかに上回る速さで、出世街道を走ったからだ。

 

 ちなみに小松が現時点で三十三歳で警部補昇進が三十一歳だが、彩音は二八歳で警部補昇進試験に受かっていた。

 

 一般的には小松の昇進の速度も速いが、私の方がそのスピードが速いことも小松は気に入らないらしい。 

 

 まっ、警察は実力至上主義。

 

 優秀な人間が昇進して、ゴンゾウ警察官、いわゆる不良警察官や単に無能な同職になんと言われても、何も気にする必要はない。

 

 そう思いながら、彩音は本庁を出て、警邏の警察官に挨拶をした後に地下鉄の霞ヶ関駅へと入り、電車に乗って行った。

 

 気が付けば様々な乗り換えやタクシー乗車を行う点検の末に彩音は秋葉原へと到達し、目立たない路地にある、古本屋へと向かって行った。


「いらっしゃい」

 

 奥からひげ面の男が現れた。


「ナポリの写真集」


「・・・・・・先生がお待ちです」

 

 そう言った、ひげ面の男がボタンを押すと、本棚が開き、奥から部屋が現れた。


「四条か?」


「先生、ご無沙汰しております」


「私がテロリストと内通している上でそう言ってくれるなら、嬉しい限りだ」

 

 この先生と呼ばれる男は中東のテロリストと繋がりがあるが、スンニ派のテロリスト達と敵対するシーア派と繋がりがあるので、その妨害をする為であれば、敵対する警察すらも利用するという事で野田や寺内は重宝するらしい。


「早速で悪いがね?」


「はい」


「ISの残党が、日本に照準を合わせたようだよ」

 

 それを聞いた彩音は「それはテロを行うという事でしょうか?」とだけ言った。


「らしいね。中東から撤退をしたとしてもアメリカは我々の敵であるという、シグナルを与えるつもりがあるらしい。それに追従する日本への牽制も込めている」


「しかし、日本は中東に関してはどこの宗派にも加担せずにアメリカのような一神教を主体とした民主主義を押し付けない事から、中東では敵意の対象としては見られていないはずです」

 

 彩音がそう言うと先生は「オリンピックや万博をやるからだろう。それにだ?」と言って、スマートフォンを取り出す。


「犯行声明が出ている」

 

 先生がスマートフォンをかざす。

 

 そこにはこう書かれていた。

 

―十一月に行われる国際野球大会の準決勝で東京ドームを地獄に変える―


「これは、ISは関与していないでしょうね?」


「いや、関与はしているが暴走をしたんだろう。日本人がテロ行為を行うとすれば、ローンウルフ型でしかありえない。宗教的なイデオロギーがほとんど無いからな?」

 

 そう言った先生の見せるスマートフォンの画面にはアラビア語で書かれた、犯行声明が現れていた。


「後付けで予告してきましたか?」


「単独犯の犯行を自分達の成果にするのは連中のお得意の手法さ? ローンオフェンダー一人がテロを起こすと言ってもネット上で笑い物になるがISが関与しているならば、恐怖は本物になる」

 

 そう先生が言うと。


「以上だ。我々の目的は聞かないでほしい」


「それが約束ですからね」

 

 そう言った、彩音は謝礼として十万円を渡した。

 

 これは活動費である。


「ありがとう」


「いえ、助かります」

 

 そう言って、彩音は古本屋を出て行った。


「この辺りは好きじゃない」

 

 そう言って、彩音はタクシーを捕まえると「新宿」とだけ言った。


 直接、分室に戻るのは点検の兼ね合いで避けるためだ。


 そう言った後にタクシーは新宿へと向かって行った。


 長いな・・・・・・点検。


 彩音は秋葉原の街並みを眺めながら、そう思っていた。



〈どういうことだ、関谷!〉

 

 支給されたスマートフォンの向こう側ではアラビア語で〝主〟が怒鳴り出す。


〈お前のせいで、警備が厳重になったじゃないか! お前の目的はアメリカ人を殺すことだ!〉


「日本人にそんな事が理解できるか?」

 

 そう言った後に、関谷は通話を切った。

 

 そうさ、このテロ行為にイデオロギーなどない。

 

 駐日大使の暗殺?

 

 関係無い。

 

 俺は、自分の事をバカにしきった社会を混乱に陥れたと同時に刑務所に入るのが目的なのだ。

 

 死刑囚になれば一部のアナーキストにはカリスマのように扱われ、衣食住も整って、時期が来れば死が待っている。

 

 これほど優遇された環境があるのだ。

 

 行かない理由は無い。

 

 そう思った関谷は笑いが止まらなかった。

 

 全部、計画通りだ!

 

 そう言って高笑いを浮かべる、関谷だったが、顔からは涙を浮かべていた。

 

 しかし、本人はそれには気が付かなかった。



〈マル秘、アパートを移動〉


「了解、行確を開始されたし」

 

 そう言って、車に乗ったマル被、被疑者である関谷弘純がアパートを出るのを確認した後に尾行、つまりは行動確認を彩音達、外事四課は開始した。

 

 そして、車に乗り込んだ、彩音と小松は関谷を追う。


「何も、係長自ら、現場に臨場する必要はないでしょう?」


「私は管理職には向いていないかもね? 現場でこんなことをしている方が楽しいんだもの?」


「でしょうね? さっさと分室に戻って、俺たちに追尾を任せてほしいものです」


「断る」

 

 そう言いながら、二人は関谷の追尾を車で行っていた。

 

 関谷弘純は28歳で都内の有名私立大学に在籍しているが、二浪四留の果てにようやく四年生になったと思ったら、希望した就職先は全て不採用と言う、極めてエリート崩れな人生を歩んできた存在だ。

 

 先生からの情報を元に公安外事四課が独自に調査を進めた結果、関谷が単独で行ったネット上の投稿を追跡。

 

 その結果、都内のネットカフェで行われたものだと判明し、ネットカフェと周辺のカメラの画像を解析すると、関谷が容疑者として挙がった次第だ。


 そして、その関谷はアルバイトでビールの売り子をしているとの情報も得ていた。


「よっぽど、勉強が好きみたいですね。お金は無いみたいですけど? マル被」


「まぁ、就職活動をした分だけ偉いんじゃない? 中には自分で稼がないで、人のカンパで飯食って、反政府活動をしている学生崩れもいるんだから?」


「きわめて、体制寄りの発言ですね? 係長」


 小松が呆れかえったと言わんばかりの表情を浮かべた。


「関谷の人生が狂った理由は、自分の能力を客観視できずに、無理のある高めの就職目標を目指した事にあるわ」


「例えば?」


「明朝テレビに帝国テレビ、MBTに日野テレビ」


「あいつ・・・・・・テレビ局に入るつもりだったんですか?」


「えぇ、しかも全部在京キー局でアナウンサー志望」


「そりゃ、無理があるな?」

 

 小松は唖然とした表情を見せる。


「その為にアナウンス学校まで入って、四年生時にキー局全滅で、今ではテロリストよ。ちなみに大学にはほとんど通っていない」

 

 そう言った彩音は「そんなエリート崩れからすれば、こいつは気に入らないでしょうね?」とスマートフォンでテレビの番組表を取り出す。

 

 そこには今日の野球中継の実況として桧山優紀の名があった。


「あの生意気で有名な男子アナですがね?」


「挫折知らずのエリート人生でアナウンス学校に通った結果、敵わなかった夢を普通の家庭で一般の就職も考えていたという青年が、何故か、叶えたんだもの。桧山は冷やかしで受けて、たまたま受かったらしいけど、それが余計に腹が立つんでしょう。関谷の狙いって本当は死にたいと同時に自分とは対照的な形で夢を叶えた桧山を殺害するか、目の前で人が死ぬ瞬間を見せたいんじゃないの?」


「目的は始球式に訪れる、駐日アメリカ大使の暗殺のはずですが?」


「それはISの狙いよ。関谷本人の目的は死ぬ事と、その前に大きな花火を打ち上げて、自分の人生に意味を持たせること。そして、桧山への当てつけじゃない?」

 

 彩音がそう早口でまくし立てると、小松は「宗教的なテロではないという事ですか?」と問いかける。


「結局、今の日本人にはイデオロギー的なテロは不可能という事ね。結果的には自分を見てほしいという救いの願望と、死にたいという願望が現れた結果、ネットに脅迫文を送るのよ」


「救いようの無いバカ共が・・・・・・」

 

 小松がそう言い捨てると、同時に関谷は東京ドーム近くにたどり着く。

 

 関谷が車から降りると、辺りは野球ファンで賑わっていて、関谷が人混みに紛れ込む事も予測できた。


〈対象が人混みに紛れる可能性があります〉

 

 別の捜査員が警察の捜査端末である警察用通信端末のPフォンでそう言うと「見失うな。なんとしても追尾しろ。ドームへの開場時間は過ぎているはずだ。私も行く」とだけ言った。

 

 そう言って、彩音と小松は東京ドーム近くに車を止めると、シグザウエルP220をホルスターに収めた。

 

 そして、二人は車を降りて、東京ドームへと向かう。 

 

 辺りではネットでの犯行声明を受けて、マル機(機動隊の略称)が警邏を行って、爆発物処理班もいた。


「主催者はこうなることも想像できたのに、何で野球を強行したんですかね?」


「利益を優先したんでしょう。もっとも来るファンもファンだけど」


「俺たちはテロになんか屈しないって言う意思表示ですか?」


「いいや、よく見てごらん?」

 

 人ごみにかき消されそうな関谷を眺めると、チケットを提示した関谷が警備員による荷物チェックを受けていた。

 

 当人は顔面蒼白だった。


「バーカ、大使が観戦に来るなら、当たり前だろう」

 

 しかし、小松がそう言った瞬間に警備員がなんと関谷をドーム内に通した。

 

 その瞬間に関谷はばい菌を思わせる、陰湿な笑みを浮かべながら、小躍りをしそうなほどに軽やかなステップでドーム内に入っていった。


「えっ・・・・・・何で?」


「あれ、CIA」


「警備員が?」


「日系の工作員ね」

 

 小松は何が何だか分からないという混乱を顔に表していた。


「日米両政権が裏で手を取り合って、意図的にドーム内に爆弾魔を通して、それを見事に逮捕したらどうなると思う?」


「まさか、日米両政府の出来レースってことですか?」

 

 小松の顔からは血の気が無くなるのを彩音は見て取った。


「関谷はすでにCIAからマークされていてね。彼がドーム内で捕まれば、日本国内で対テロ政策に対する世論の声が高まり、アメリカでは駐日大使がターゲットにされたことを理由に中東への米軍撤退政策撤回の口実が出来る」


「日米両政府の出来レースってことですか? となるとこんな厳重な警備を突破された、警備部はいい具合に生贄という扱いですかね?」

 

 小松が怒りに震えた表情を見せた。


「まぁ、公安部とCIAからすれば、マル機やビ(警備部の略称)の偉い人がクビ飛んでも、いいんじゃない? 大体、私もあの警備一課長嫌いだし?」


「係長、それは怨恨です。金沢の一件でしこりがあるからって・・・・・・」


「まぁ、要するにハムとCIAは始めから、関谷青年を生贄に高度で政治的な世論操作を行う為に意図的に爆弾をドーム内に通したのよ。ついでに警視庁上層部もドームの警備での失態によって、主要ポストは全員更迭でその上でCIAからの便宜で手柄は私たちの物・・・・・・何て、すばらしいどんでん返し!」

 

 彩音がニタリと笑いながら、関谷を追い始めた。


「それは最悪の場合は警視総監の辞任だけじゃなくて、テロを未然に防げなかったという事は内閣総辞職という事態になりますよ?」


「今の政権はただでさえ、支持率が低迷しているから、起死回生の一手としては国内の世論操作をハイリスクハイリターンで行っても、いいんじゃない?」


「しかし、現実的に考えてください、係長! そんな国民の生命を軽く見た行為をするなんて、マスコミだって――」


「マスコミはすでに政権と私たち、警視庁の手中にあるわよ。報道協定又は情報統制という奴よ。作戦が上手くいかなければ政権も警視庁も終わり。でも、上手くいけば、世論の強硬論は高まるけどね?」


「無茶苦茶だよ、こんなの・・・・・・国民を犠牲にしてまで、支持率を高めたいのかよ?」


「政治家が国民の為を思って、国家を導けると思う? 左右問わずに歴代の政権が国民の声を聴いて、実行できた例の方が珍しいと思うよ? 大体、彼らからすれば国民は下々の物なんだから?」


 それを聞いた、小松はひたすら無言だった。

 

 そう言った二人は事前に用意したチケットを提示して、ドーム内に入る。


「よく用意できましたね?」


「部長のツテよ。財界方面」

 

 二人がそのようなやり取りをこなす最中で、関谷はビール売りの控室へと向かったことをPフォンから知らされる。


「爆弾は恐らく、数日前からそれ以前に仕込まれている、問題はビール売りのところに堂々と行けるかなんだけどね?」


「あいつ、最後の最期で腹立つな?」

 

 そう言って、関谷を追う彩音は関係者通用口へと堂々と入る。


「ちょっと、あんた!」

 

 そう言って、警備員が彩音と小松を止めようとすると、もう一人の警備員がその警備員の首を絞める。


「うわぁぁぁぁ!」


Thankyouありがとう


「you are welcome(どういたしまして

 

 そう言って、彩音は英語を話した警備員とハイタッチする。


「えっ・・・・・・あれ、在日CIAですか?」


「まぁ、殺してはいないでしょう」

 

 後ろを振り返ると、日系の工作員らしき警備員が注射針を老年の警備員に打つ。


「・・・・・・睡眠薬ですよね?」


「あんた、ハムのくせに素人臭いね? 一応はそうよ」


「なら、いいんですけどね・・・・・・」

 

 そう言った、彩音はビール売りの控室に入る。


「何です、あなたたち!」

 

 そう若い男たちが悲鳴にも似た声を上げる中で、関谷は先ほどまでの陰湿な笑みから一転、いきなり青ざめた表情を見せる。

 

 そして、その目線はビール売りが背中に背負う、サーバーに目が向いていた。


「素人だな? ISもあんたを見切って正解だよ」

 

 彩音がそう言うと関谷は「黙れ! 決定権は僕にある!」と言って、起爆スイッチを出した。


「小学生の反抗期ね? もはやテロリストとしても未熟な腕前」


「黙れぇ! 僕は未熟じゃない! 僕を認めなかった社会が悪いんだ!」

 

 そう言った、関谷は叫びながらも起爆スイッチは押さなかった。

 

 こいつ、ボタンを押すのを躊躇っている。

 

 何だかんだいって、ここまでの事態に陥りながらも爆弾一つ押せないなんてね?

 

 本当の武闘派ならば、この瞬間に起爆していてもおかしくはない。

 

 しょせんは平和というものに慣れたお坊ちゃんの壮大な反抗期でしかない。

 

 それを見た、彩音はシグザウエルP220を構えて、すぐに関谷の右肩を撃った。


「うっ!」

 

 すると、起爆スイッチが地面に落ちようとする。


「係長! スイッチが!」

 

 すると、そこに若いビール売りの青年が手を伸ばし、見事にそれをキャッチした。


「我々はもっと、慎重に物事をこなすべきだろう?」

 

 そう言った、青年は訛りの無いイントネーションの日本語を話していた。


「あなたも?」


「まぁ、所属はさっきの警備員と変わらんさ?」


「うぅぅぅぅ!」

 

右肩を撃たれた、関谷は逃亡を図ろうとするがそこに彩音が立ちふさがる。


「どけぇぇぇ!」


 そう言って、ナイフを振りかざし始めた関谷の腕を取ると、彩音は一本背負い投げで関谷を投げ捨てた。


「うぅぅぅ!」


「あなたが死にたいと同時に世間に自分の生きた証を残したいのは、少し想像すれば、分かるわ?」

 

 関谷はただ呻くだけで、彩音の問いには答えない。


「でもね、巻き込まれた人からしたらいい迷惑よ。死にたいなら、一人で樹海に行きなさい」

 

 そう冷たく言い放った彩音に対して、関谷は「貴様ぁぁぁぁ!」と叫んだが、彩音がその腹を思いっきり踏んづけたと同時に気絶してしまった。


「ボタンは押されていないわね?」


「・・・・・・係長、乱暴で残酷です」

 

 小松がそう言いながら、辺りを見回す。


「爆発物は確保した」

 

 捜査員にPフォンで問いかける。


〈すぐに爆処理を向かわせます〉


「野球は中止ね?」

 

 そう言う中でビール売りの青年達は右往左往する様子を見せていた。


「君たち、取引きをしようじゃないか?」

 

 先ほどのCIAの日系工作員と思われる、男がニタリと笑いだす。


「君達のアルバイト代の四倍の金額を出してもいい、我々の要求に従えばだがね?」

 

 それを聞いた、青年達は唾をごくりと飲み込む。


「どうする?」


「やべぇだろう・・・・・・」

 

 その青年達の声を聞いた後に彩音は「情報統制をするつもり?」と工作員に聞いた。


「いや、場合によるだろう?」

 

 それを聞いた、彩音はすぐに事態を察した。


「小松、早めに撤収しよう」


「ちょっと待ってください、彼らは――」

 

 そう言って、意識を失った関谷を尻目に彩音と小松はすぐに部屋を出た、すると背後から何発もの銃声が聞こえた。


「証拠隠滅ですか・・・・・・こんなの――」


「これがアメリカのやり方よ。ハムにいるあなたもいい加減に覚悟しなさい」

 

 そう言いながらも、ドームの外へと向かって行った。


「面が割れていないから、いいじゃない?」


「そういう問題じゃあないでしょう?」

 

 小松が怒りを抑えているのが走りながらでも見て取れたが、彩音は彼が闇の世界ではナイーブすぎる事を悟った。


「えぇ~試合中止かよ!」


「何で!」

 

 そう野球ファン達が憤慨する中を彩音は疾走して、気が付けば、ドームの外へと出て行った。


 

 事件は終息し、駐日アメリカ大使も無事だった。

 

 ただ国際野球大会はいったん中止となり、日本国内では例の無いスポーツ大会でのテロ行為は世間に戦慄を与えていた。

 

 容疑者の関谷弘純は爆弾テロを仕掛けたが、それを同僚のビール売りの販売員に悟られ、手にしていたカラシニコフで全員を殺害、最後に自決をしようとしていたところで、外事四課の捜査員が突入して、すぐに身柄を確保したというシナリオが仕組まれ上で逮捕された。

 

 容疑者の関谷弘純はISと関係性があった事を認めたうえで「アナウンサーになれずに世間から疎外されている感じがした。自殺するならせめて世間に自分が生きていたという足跡を犯罪でもいいから残したかった」と言ったという筋書きの調書が作られた。

 

 そして、これは警察関係者しか知らない情報だが、関谷の凶行の理由の一つとしては桧山優紀アナの存在もあるとして「あんな頭の悪い奴がアナウンサーになるのが許せなかった。自分がアナウンス学校に通ったのが無意味だったと考えると腹が立って仕方なかった」と言っていたそうだ。

 

 この供述は一部週刊誌には掲載されたが、大手新聞には載らずに桧山の所属する明朝テレビも「容疑者と当社社員の桧山に繋がる接点は無く、当社としてもコメントは差し控えます」と公式発表を行った。

 

 しかし、これは週刊誌用にガス抜きとして作られた情報で、ビール売りの青年達の大量殺人については新聞や雑誌も含めて、どこも報じることは無かった。

 

 そして、関谷は爆弾テロを計画したことは認めたが、この大量殺人についてひたすら否認を続けていた。

 

 だが、世論からはその言動にも非難が集中するというう構図で国内の世論はテロ対策に対する強硬論が高まり、アメリカでも駐日大使がいた現場でテロがISに感化された青年によって、行われたという一方でアメリカ軍の中東撤退に対して、否定的な世論が形成された。

 

 しかし、マスコミに漏れた、一部の警察官の漏洩情報によると銃声や走り出した彩音達やCIAの工作員に首を絞められた警備員などの供述、さらにはビール売りの青年たちの中で一人だけが被害にも合わずに現場から失踪した不自然な点。

 

 これらの事が見受けられたことにより、公安部とは別に警視庁刑事部捜査一課が動き出したとの話も聞いてはいた。

 

 そこまではよかった。

 

 事件は解決したのだが・・・・・・


〈ヨッちゃん、小笠原署はどうだい?〉


 電話の向こうでは公安部長の野田が語り掛ける。


「部長、恨みますよ」


〈仕方ないだろう。君のスタンドプレーの結果で大幅に情報統制しなければいけない事態になったんだ。公安捜査官は慎重でなきゃあな? 君は優秀だが、変に詰めの甘いところが見受けらるのが、昔からの評価だがね? まぁ、本来であれば事件解決後に栄転の可能性があったが、ほとぼりが済むまでは南の島で管理職をしながら、バカンスを楽しんでもらうんだ。僕も結構配慮した上での小笠原署勤務なんだが、不満かね?〉


「・・・・・・私はハムに戻れるんですか?」


〈言ったろ。面が割れたからほとぼりが冷めるまでは南の島にいろと? それに小笠原諸島勤務は意外と出世ルートなんだよ。君の上を行く先輩達も事件を解決した後にはほとぼりが冷めるまでは同様のバカンスをこなした。何が不満なんだい?〉


 野田が楽し気にそう語るのを苛立たし気に聞いていた、彩音は「とにかくハムに戻れるんですね?」と再び問いただした。


〈まっ、僕も調整するけど、ゆっくり休め。以上だ〉


「ちょっ――」

 

 そう言った後に野田の電話は切れた。


「・・・・・・金沢の直後にあの事件が無ければな?」

 

 そう言って、彩音は警察特有の濃紺の制服を着て、小笠原署のデスクに戻って行った。


「あっ、井原君、ココナッツミルク買って来て」


「四条副署長、またココナッツミルクですか?」


「私、制服着ているから、表出られないの!」

 

 彩音は四月の時点で小笠原警察署の副署長になったが、そこは日本一署員の少ない警察署なので、警察署の副署長と言っても、部下との距離は近かった。

 

 その上で警察では幹部職は制服を着た状態で、レストランやらマックにコンビニに行くのを規定で禁じている。

 

 故に出前などで済ませる場合がある。

 

 もっともそれは都心においてだが?

 

 大体、交番勤務のお巡りさんは堂々とコンビニでカップ麺の買い出しをしているでしょう。

 

 何で、幹部になるとマックも行けないんだよ!

 

 警察内部でも不評のこの内規に不満を抱きながら、彩音は捜査係所属の部下である井原に「早く~」とだけ言った。


「小笠原署の捜査係を使い走りにしないでください」

 

 そう言って、井原が買い出しに向かうと同時に小早川は外を眺めた。

 

 東京に帰りたい・・・・・・ここも東京だけど。

 

 波の音が、小笠原署副署長に就任した彩音の心をセンチメンタルな方向へと導いていた。

                                         

 終わり。

 いかがでしたでしょうか?

 

 上手く書けたかは分かりませんが、ご感想をお待ちしています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ISがリモートでリクルートした日本人テロリストに、国内で自己完結型のテロを起こさせようとするアイデアがいい。 また、公安物は陰湿になりがちだが、主人公の性格設定のおかげか読後感も悪くない。…
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