グールと不運な称号
よろしくお願いします
……仮面?
「何これ?」
「モンスターからのドロップ品。これで顔隠せば目立たなくなるんじゃない?」
「──確かに。これ、俺にくれるの?」
ウクから貰った仮面の説明画面を開く。
名称 ゴブリンの仮面
レア度 1
効果 【INT】-1
重量 1
ゴブリンの魔法使いが付けていた仮面。
当然汚い。あまりの汚さに人が着けると物凄い不快感を生じさせるため装備者の思考力を低下させる。
細菌やウイルスなども多く付着している。死にたいものや死者以外が着けると危険。
「うわぁ、やばぁ……。これを着けろと?」
「それ以外顔の隠せる装備持ってないんだよね。それに【INT】が少し下がるんだけど、すでにステータス減少中のお前ならそこまで気にならないだろ?」
「……まぁ、確かに」
「あと露出してるとこなるべく隠した方がいいよ。今は曇ってきてるから大丈夫だけどグールの種族特性で直接太陽光浴びるとHP減るからな。──はい手袋、これもあげる」
名称 ゴブリンの手袋
レア度 1
効果 【STR】-1
重量 1
ゴブリンの戦士が付けていた手袋。当然汚い。汚さによる嫌悪感により装備者の力を弱くする。細菌やウイルスなども多く付着している。死にたいものや既に死者以外が着けると危険。
……嫌がらせか?
「──全部ステータス低下じゃん、使い道あるのこの装備?」
「俺に言われてもね。たまにドロップするけど……何かあるとしたら『死にたいもの』や『死者』とかが関係してるんじゃない?」
「『死にたいもの』『死者』か……何かのモンスターとか?……まあ、とりあえず付けてみる」
俺は仮面と手袋をつけた。
〈称号【死に向かうもの】を獲得しました〉
「──ん?何だ?称号?」
「ん?どうした?」
「何でか【死に向かうもの】っていう称号貰った」
「えっ、マジ!すごいな!」
「そんなに……?」
そんな驚くなんて、そこまで凄いものなの?
「称号って凄いの?」
「うん。まだ持ってる人も数人だと思うし、本当に希少」
「おぉ、それは凄いな」
「それに各称号には特殊効果があって……その称号は何か効果付いてる?ステータスから効果が見れるよ」
「効果?……えっと」
称号 【死に向かうもの】
効果 HPが10%減少する。
装備品のステータス減少効果を少しだけ無効化する。
デスペナルティをランダムで減少させる。
死に向かっていると気づいた者に与えられる。
「HPが10%減少?……じゃあ、今のステータスは……?」
エルカ レベル1 種族 グール
HP 40(-60)
MP 50(-50)
【STR】 10(-10)
【VIT】 8(-7)
【AGI】 8(-7)
【INT】 10(-10)
スキル 【再生】【病魔耐性•微】【夜目】【魔法の心得1】【火魔法1】
称号 【死に向かうもの】
優越感吹き飛んだよ……。
「……なんかHPが10%減って、その代わり装備のステータス減少無効化と、死んだときのデスペナをランダムで少なくするらしい」
「へー……えっ、またステータス減少したの?」
「……そうらしい」
「今、HPいくつ?」
「……40」
「……マジ?」
「マジ」
「ヤバくない?」
「ヤバい」
「グールがあのゴブリン装備付けたから手に入った?グールって死にかけっぽいし、称号の【死に向かうもの】の条件とも合ってるよね。それにもしかしたらステータス減少が鍵なのかも知れないな。──それにしても、称号貰ってさらに死にやすくなったね。ゴブリン装備のステータス減少の効果は消えてるけど」
「う~ん、それでもキツいなぁ」
「もう昼間なら初期モンスターに負けてしまうんじゃない?確か角ウサギ、クリティカルだとダメージ30以上あったと思うし」
「ホントにワンパンじゃん」
「なんなら行ってみる?角ウサギのフィールド」
「……一回行ってみるかぁ。……はぁ」
マジでどうなることやら……。
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