天空の島 1
そんなこと考えるだけ無駄だ。彼女にとっては、生き続けることが苦しくなったのだ。ひとりぼっちで生きるのが。
「話が長くなったの……。では、そろそろ」
「マリー!」
彼女の言葉を遮り、ナツメが叫んだ。マリーは仰天した様子でこちらを見ている。
「悪いけどさ……。その話を聞いちゃった以上、お前を死なせるわけにはいかなくなった」
「……なんじゃと?」
マリーは容量を得ないといった顔をしている。
「俺は元々、キャロルと一緒にシェルターってこの国より遥か東の大陸から渡ってきたんだ。キャロルが居なかったら、俺はとっくに野たれ死にしてたと思う。それから、この国でトレジャーハンターになって仕事してる途中でミアに出会った。ミアは両親や祖父母をフライスネークって異形種に殺されて……。同じ村に住む人間からも異人種ってだけで除け者にされてたんだ。ミアはフライスネークと刺し違いで死ぬつもりだった。それを見て、俺もキャロルも絶対に放って置けないって思って共闘して、なんとかその異形種を倒すことに成功した」
堰を切ったように喋り続けるナツメの話をマリーは黙って聴き続けている。
「急にこんなこと……マリーに話そうと思ったのはさ。俺たちのこと、少しでもマリーに知ってもらいたかったからなんだ。マリーもさっき胸の内を曝け出してくれたから。それで、なんで死なせられないかっていうのは……。目の前で死にたいって言ってる奴がいたら、どうやったらそいつを救ってやれるかって、俺が思うからなんだ。これは理屈じゃ無い。例え、余計なお節介だったとしてもやれるだけのことをしてやりたいと思う。だからさ……死ぬためにスイフトまで俺達を案内するってのはナシだ!!」
マリーは一心にナツメの瞳を見据えたまま、表情を変えずにいる。
「だから、要するに……マリーの宝具の力を貸して欲しいっていうか……。俺たち四人で意地でもパンドラまで辿り着いて互いの目的を果たせたら……」
次第にしどろもどろになるナツメを見て、マリーが愉快そうに笑いだした。
「くふふふふふ。あはははっ。おぬしもアホな奴じゃの」
「わ、笑うことないだろっ!それにアホってなんだよ!!これでも必死で……」




