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「……はぁい」
キャロルは肩を落としつつナツメとミアを両脇に抱え、糸の網から近くの小島にジャンプした。陸地に降り立ったミアが無言でナツメを見つめる。ナツメはミアと視線を合わせると、開口一番「ごめん!」と謝罪した。
「……え?」
「ミアの家族の仇だったんだろ?あの異形種……それを俺が倒しちゃって申し訳ないなって。いや、俺もぶっちゃけ賭けみたいな勝負だと思ってたんだ。俺の宝具ってさ、発動したりしなかったりのポンコツで……いや、発動しないことが九割なんだけど。でも……あいつ、フライスネークには発動できるって信じてた。この宝具さ、俺の感情と連動してるみたいで怒りとか憎しみがマックス?になると、そのエネルギーが発射する?みたいな感じで——」
ナツメは自分でも何を言ってるのか分からなくなってきた。
——違う。もっと大事な、彼女に伝えないといけないことがあるだろう。
「でさ……これは提案なんだけど。ミア、俺とキャロの仕事を手伝ってくれないか?」
ミアの猫耳が微かに動いた。
「あ、言い忘れてたけど俺、トレジャーハンターの仕事してるんだ。もし……ミアがパーティー?的な、てか仲間になってくれたら活動範囲も広がるだろうし助かるっていうか、必要っていうか……」
ミアの猫耳が、また震えた。
「いや……全然、嫌だったらいいし……強制とか出来るわけないしさ。でも、祖父母さんの敵討ちが終わった後の予定……?みないなのが、もし無いんだったら一緒に仕事してくれると嬉しいっていうか。あ、でも……給料というか賃金?みたいなのは、その時々の歩合制みたいな感じになるし、申し訳ないくらい少ないかも——」
ナツメは懸命に紡いでいた言葉を急に止めた。ミアの翠玉の両目から、真珠のような大粒の涙がボロボロ流れている。
「……え?あ!ちょ!ごめん……俺、気に触ること言った……?」
「ちが……うんで……す」
ミアは掠れた泣き声を上げる。
——何でだろう。涙が止まらない。私はフライスネークに喰われる寸前だった。仇も打てずに。
でも、この人が私の出来なかったことをしてくれた。そして、今、私を必要といってくれている。
こんな私を。何なの?この気持ちは?
あぁ、そうだ、嬉しいんだ。この涙は、きっと嬉しくて嬉しくてしょうがない嬉し泣き。
「……わた、わたし……」
「あー!ナッちゃん最低。女の子泣かしてる」
キャロルが咎めるように、ナツメに詰め寄った。ナツメは慌てて弁解する。
「いや、これは違うって!そんなつもりは……」
「……ナツメさん、キャロルさん」
ミアは涙を両手で拭いながら、幼くも愛らしい笑顔を浮かべた。
「ありがとうございます。心から感謝……してます」
その様子を見て、ナツメとキャロルは言い合いをやめ、同じく微笑みを作る。
その時、「疫病神が!よくも村を滅茶苦茶にしやがって!」という罵声が聞こえてきた。
気づくと、複数の村人がナツメ達を取り囲み、忌避感に満ちた視線を向けている。
「どれだけ村を破壊したら気がすむんだ!」
「ほんと、早く村から消えてくれないかしら」
「お前らはなんだ!これだから、よそ者は厄介ごとばかり持ち込むんだ」
住民達の罵詈雑言が飛び交う。




