転生は突然に
昨日に続き2回目です。
今は書くことがすごく楽しいのでこのままやっていけたらいいと思ってます。
夏本番の夜はやっぱり蒸し暑く、少し歩いているだけなのに額の汗が気になりだす。
しかし、俺はふられた原因、自分の悪かったところの方が気になっていた。
(なんでなんだ、授業中の班活動でみんなが指示通り動かないストレスを真衣をかまって晴らそうとしたからか?それとも、友達の告白に付き添うためと他の男と2対2で七夕祭りに行って俺と行ってくれなかったのをネチネチ言ったからか?)
そうして、自分のことを省みながら夜道だと油断し道路を渡る俺にお約束のように、まばゆい光が真横から迫り-
「あ、気がついたんですね。良かった。」
朧気な意識の中どうにか視界を確保し、周りを見た俺の目に入ったのはきれいなブロンドの髪を肩過ぎまで伸ばし、大きな蒼色の目を自分に向ける確実に純日本人では無い女性だった。
よく見るとそこは中世の西洋のような作りの部屋で俺はソファに寝かされているようだった。
(あー、こりゃ異世界の扉開いたな、お約束の異世界転生だな。氷天には悪いけどなってしまったもんは仕方がない受け入れよう。だって仕方がないじゃん、車に轢かれて、目が冷めたら日本語が母国語ではなさそうな娘が日本語話してて、めっちゃ美人だし…胸も…それなりだし、よしこうなったら世界でもなんでも救ってやる)
俺は、そう心に決めた。
(しっかし、さすが異世界、夏の日本にいたはずがこの部屋やけに肌寒い)
そう思った矢先、意識とは関係なくブルッと体が震える。
「そうですよね。寒いですよね。ごめんなさい、このスープ温かいのでどうぞ」
そう言われ出てきたのは自分が今まで見たことのない緑色のしかしやけに美味しそうなスープだった。
「あ、ありがとうございます。いただきます。」
(さすが異世界見たことがないスープ…って待てよ、よくよく考えたら異世界転生とかやばくね?美味しそうだけど知らない世界の食べ物って普通にいけんの?てか、氷天にもう会えないのか?俺死んでるの?みんなほいほい転生してるけどこんな気持ちなの?なんであんなにすんなり受け入れてるの?怖いんだけど、これも案外毒とか入ってんじゃね?)
さきほどした決心が跡形もなく崩れ去った。そして、スープの入った皿と共に心が震えだした。
「大丈夫ですか?痛いところとかあるんですか?」
「あ、いや大丈夫です。意識が少しはっきりしなかっただけです」
そういって恐怖をごまかした。
(いやでも、助けてくれたんだし悪い人じゃなさそう。疑って後悔するより、信じて後悔だ!)
俺は、皿に入ったスープを飲み干す。
「お、美味しい! これなんだろう味はよくわからないけどとにかくうまかったよ」
「ホントですか!良かったです。私が作ったんですけど、お口にあってよかったです」
「そうなんだ、めっちゃ上手なんだね」
安心して尿意が俺をおそった。
(トイレとか言葉通じるのかな?)
「ごめんなさい、トイレしたいんですけど借りてもいいですか?」
「いいですよ。この部屋の正面にありますよ」
(あ、通じた、異世界補正的なあれかな?)
そんなことを思いながら部屋のドアノブに手をかける。
部屋から出てとりあえずトイレに入り、今の状況を整理する。
トイレは少しだけ豪華なそれこそヨーロッパ風な様式トイレだ。異世界だからてっきり外かと思った。
まず、ブルーブルを買うために家から出る
→考えごとしながら歩く
→道路で車に轢かれる
→神の仕業か、なにの仕業かわからんが異世界に転生する
(よし、こんな感じか。フラグなんて―たってないな。はーなんでこう最近は突然に非日常が起きるのか。だが、とりあえず異世界に来たとなれば魔法とかなんか特殊なスキルとかあるだろ。最近読んだのだと、こんな感じか)
そう思って俺は最近読んだライトノベルのスキルを口にしてみる。
「ステータス 表示」
すると、目の前に半透明のステータスウィンドウが…
表示されるはずがなかった。
(まあ、そうだよね、そんな近未来的な感じじゃないよね。)
とりあえず気を取り直して、他の、今度は魔法的なものを打ち出そうとしてみる。
「ファイヤーボール!」
すると、目の前に魔方陣が描かれ大きな炎が…
現れるはずがなかった。
「火球っ」 「サンダー!」 「グラビティ」
知っているその手の単語を並べてみるが、何も起こらない、全く、本当に何も。
唯一ただ一つ、起こったことは―
「大丈夫ですか?さっきから何やら苦しそうに叫んで、どうしたんですか?」
俺の詠唱(笑)を聞いた女の子が心配して駆けつけたことくらいだった。
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次はいつかわかりませんが、また、よろしくおねがいします。