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腕時計シリーズ

(ちょっと古い)1960年代のRICOH(リコー)機械式時計

作者: 「F」

おそらく世間的には全く需要のない話だとは思いますが……


時計って単なる時間を見るための道具じゃないですよ。


それぞれのメーカーにはそれぞれの背負っている歴史(大げさかな)があるんです。



まぁ、マイナーメーカーですわ(笑)






あっ、時計メーカーとしては……ですが。


ちなみに私は大好きです。


普通の人はコピー機のメーカーだと思ってますし、それもまた間違いではないですからね。


若しくは名機GR等のデジカメを思い浮かべる人も多いかな。


私はデジカメ時代より前(かなり前)にリコーオートハーフという普及版(バカチョンとも言う)の名機を使っていました。


デザインも機能も秀逸でしたし、手軽に良い写真が撮れたものです。


しかし、手巻きや自動巻きといった機械式の腕時計を作っていた時代があるんです(今はクォーツだけ)


マイナーメーカーの時計の話にどれだけ需要があるのかわかりません。


単なる自己満足で書いてます(笑)







そもそも最近の若い世代の人は腕時計自体に興味無い人が多いですし、時間なら正確な時間がスマホでわかるわけで。


逆に興味ある人でもG-SHOCKなどの方向へ行ったり海外のブランド時計へ行ったりしますし、古い国産の正確ではない時計をあえて持とうなんて人は極々少数派でしょう。


タカノ(高野精密工業)の系譜を継いだ機械式時計には独特な魅力が詰まっていると思うんですが、贔屓の引き倒しかな。


クォーツ時計の出始めの頃にはリクォーツと呼称して大々的に売り出した時代もありましたので、その頃をご存知な方はクォーツ時計のイメージが残っているかもしれません。


クォーツ時計は今でも作ってます。


大阪万博の折には記念モデルを出したりしてましたし(持ってません)、雑誌の平凡パンチとタイアップした時計も出したりしてました(こちらも持ってません)


こんなマイナーメーカーの機械式時計ですが、私は何故か惹かれるところがあって10本ほど日常使用可能な状態で保持しています。


おそらく全く興味無い人ばかりでしょうが、「リコー三愛グループ」の若い社員の方々にはせめて一本、嘗て生産していた自社の機械式時計を入手して普段使いして欲しいものです。


まだ今なら少し粘って待っていれば、かなり程度の良いモノが安価(モノそれ自体からすれば破格値)に入手できますから。


で、入手したらオーバーホールに出してあげて下さい。


日常使用には全く問題ありませんし、何だか少し誇らしい気持ちになれますよ。


おそらく地方都市の個人の小さな時計店を何軒か廻って足で探せば、こういった国産古時計なら数千円(一万円未満)でメンテして下さるお店が見つかるんじゃないかな(今のうちならまだ)







そう言えばリコーエレメックスさんってば、タカノの復刻版をまた出しましたわ。


それも手巻きじゃなくて自動巻きで。


しかも機械ムーブメントはミヨタ。


あんさん、タカノ出すなら手巻きでっせ。


ミヨタなのに設定価格高いし、シャトーなのに自動巻きだし……で見送り決定。


手間ヒマかかってることはわかるけど。


購入層の設定がどの辺りなのかわからない。


出たばかりの頃のレクサスみたいにグループの役員辺りに買わせる設定なのか……


記念して自己満足で出した?


これ買うお金で程度の良いキングセイコーを何本買ってOH出せるだろう……と考えてしまう。


程度に拘らなければGSの1st.ですら購入できてしまうわけで。






リコーの手巻きや自動巻きの機械式時計のモデルは、当時のセイコーやシチズンなどの国産メーカーの時計達に比べると、どことなくヨーロッパっぽい香りを感じてしまうのは私だけでしょうか?


前身のタカノから引き継いだばかりの頃のモデルであるシャトーなんかは、リコー製とは言ってもモノそれ自体はタカノそのもの。


 挿絵(By みてみん) 挿絵(By みてみん)


 一本めがリコーシャトーカレンダー21石手巻き防水ケース

 防水ケース入りとは言っても現在の日常生活防水程度

 タカノのシャトーではなくリコーのシャトーなはずですが、表にも裏にもどこにもリコーとは表記していません

 珍しくもカレンダー表示が当時のラドーなんかのように赤字です

 防水ケースシリーズで4000、5000、6000がありますが、これの他に赤字表示は見たことがありません

 数字が上がっていくほど防水性能が上がるんですが、今となっては大差ないでしょう

 

 二本めはセイコーのチャンピオンカレンダー860手巻き防水ケースですが、そっくりさんです

 興味無い人には単なるカレンダーの色違いにしか見えません

 ちなみにシャトーカレンダーの方が恐らく5年ほど先に出たものです

 リコーの正しい製作年月の見方は資料がありません(笑)

 当時の周辺状況から判断するしかない状態

 このシャトーは中の機械がタカノのままな頃の製品ですから、リコーが引き継いだばかりの時代な筈

 1962年にタカノからリコーに移管されました

 チャンピオンは第二精工社(亀戸セイコー)のクロノスの簡略普及品版

 クロノスは諏訪セイコーのクラウンのライバルです(蛇足だなぁ)


 別にセイコーが真似した訳じゃない、当時の標準とも言えるごくありふれたデザインだし

 シチズンさんはラグの伸び方が直線的なものが多かった印象です

 この時代のデザインが一番好きです


 挿絵(By みてみん)


 ラドーゴールデンホース30石自動巻き

 前の二本とは違って自動巻きですが、大まかなデザインは一緒

 ね、こちらもそっくりさんでしょ?

 完成されたデザインとも言えます、大好物です(笑)

 その後各社ともに色々な新しいデザインが試されますが、どうも好きになれません

 カレンダー表示は赤いです

 後に復刻されたものでは黒く変わってます



出たばかりの頃のダイナミックオートなんかも、裏蓋にはまだ在庫の残っていたタカノ当時のものを使用したものもあるくらい(ガッチャではないので是非欲しいったら是非欲しい)


ダイナミックオートはリコーになって初めて出したニューモデルだそうです。

1962年にリコーが継承し、その翌年の1963年デビューの時計です。

とは言え、タカノ以来の手巻き機械に自動巻きローター部分を載せただけという話もチラホラ……

当時は他社も含めどこもそうでしたが。


 挿絵(By みてみん) 挿絵(By みてみん)


 一本めがダイナミックオート33石、二本めがダイナミックオート45石

 当時流行し始めた自動巻きの気合の入ったニューモデル

 石の数が無闇矢鱈と多いことからもその気合が伺えるというもの

 その後の国産多石競争の先駆でした

 この45石の方は文字盤上のロゴが全てアップライトな植字になっており、尚且つ文字盤自体の色も乳白色

 放射状になった金属候うの文字盤は見慣れていますが、これもまた珍しいバージョン

 18金無垢のものでは見たことがありますが、FGPケースのものとしてはこれ以外に見たことがありません

 乳白色の文字盤は当時のグランドセイコーファーストモデルやクラウンスペシャルを彷彿させる色

 国内ナンバーワンメーカーの高級機に対抗心を持ったものかもしれんと類推してます

 楔形インデックスもオールド感満載でとても良い感じ

 33石版は入手当初からキレイでしたが、45石版も今はキレイですが……

 風防とケースを気合で磨いてこの状態になりました(遠い目)

 文字盤は奇跡的に劣化も無くキレイな状態でしたよ

今の季節に4日間続けて使って+15秒ほどと結構正確な優秀機


 挿絵(By みてみん)


 セイコークラウンスペシャルSD文字盤23石手巻き

 俗にプアマンズグランドセイコーと呼ばれる「プアマンズ」の部分が私にピッタリな時計(笑)

 経年入って劣化した乳白色な文字盤はおそらく初めは同様な白だった筈

 太いインデックスから両津勘吉モデル(太眉)と呼ばれることがあります

 GSの1st.は憧れますが、程度が良くマトモなものは高くて手が出ません><

 金回りの良かった頃に買っとけばよかった、いやホント!!


現存数は極少ないんですが、ダイナミックオートの33石機械を使用したオートジャストも作られましたが、儚く消えました。

(リコーの機械式時計については資料が無いのでハッキリしたことはわかりませんが、33石なのでおそらくダイナミックオートの機械だろうと思ってます)

リコーエレメックスさん、記念事業でタカノを復刻するくらいなら機械式時計の資料を作成してもらえませんかね?

多少高くても買いますよ……たぶん……おそらく……きっと……


当時のカレンダーがゆっくりと時間をかけて変わっていくのと違い瞬間チェンジ機構を備えていた希少モデルで、国産他社ではその後暫くしてからしか出ていません。


挿絵(By みてみん)


リコーオートジャスト33石自動巻き

 曜日日付け(デイデイト)が瞬間チェンジで切り替わります。

 独自メカで変わる瞬間を見てると小さなメーカーなのに頑張ったと、割と感動します

 当時の国産機としては画期的な意欲に富んだ時計ですが、残念ながら返品の山だったそうで><


その後自動巻き機械を新設計してのダイナミックワイドシリーズがデビュー、手巻きではダイナミックエスコートシリーズなんてものもありました。


 挿絵(By みてみん) 挿絵(By みてみん)


 一本めがリコーダイナミックワイド25石自動巻き

 新設計の自動巻き機械を搭載しデイデイトの表示方法がどこかで見たようなデザインの時計

 デイ表示の配置違いが何種類か存在しますが、この配置が一番好きです。

 デイト送りが竜頭の2段引きなので気をつけていないと泣きをみる羽目に


 二本めがダイナミックエスコート23石手巻き

 自動巻きと同様にダイナミックという名称を冠しているので自動巻きかと思いきや、実は手巻きというもの

 オーソドックスなデザインで好ましい時計ですね





ちなみにこれら一連のここの機械式時計は全てロービート(5振動、18,000振動/h)で、メカの耐久性には大きな不安はありません。


ロービートでもキチンと手を入れてもらうとかなり精度は期待できます(少なくとも日常使用に不安はありません)

 





好事家の間では有名な話ですが、1959年(昭和34年)の伊勢湾台風で大きな被害を受けたタカノは、経営の継続が困難になりました。


その技術力を惜しんだ当時の経済界の人々がどこか立て直しを引き受けてくれないかと探した結果、リコー三愛グループを率いていた市村清氏へと話が行ったという経緯でリコーブランドの時計ができるに至ったわけです。


この時代の詳しい(タカノからリコーへの)変遷・経緯はネットにも沢山の情報が出回っておりますので、興味のある方は是非お調べ下さい。


「えっ?興味無いですって?……ん~~~まぁ、普通の人はそうでしょうとも、仕方無いですね」


但し、興味の無い方にも一つだけ知っておいて欲しいことがあります。


リコーは(と言うかリコー三愛グループは)、決して積極的にタカノを引き継いだわけではないってことなんです。


当時創業者としてリコー三愛グループを率いていた市村清氏が、あえて火中の栗を拾ったというのが相応しい。


市村学校と呼ばれる彼を取り巻く人々の中には五島昇、盛田昭夫なんていう錚々たる顔ぶれが揃っておりました。


少々理想主義的な人ではありますが、尊敬すべき人物という印象が強く残ります。


そういう人物だったんです。


時計自体には全く関係無い話なんですけど。


ちなみに私はリコーの回し者じゃないですよ(笑)





こんな時代の時計達を趣味として楽しめるのもOHを引き受けてくれる時計師さん達のおかげで、全くもって感謝することしきり。


以前は購入した価格よりメンテ費用がかかる時にはここ一択と言われるくらい、破格に安くやってくれる有名な東北にある時計店へゆうパックで送ってOHしてもらっていました。


外装仕上げなどは望めませんが、取り敢えず日常使用できるレベルで仕上げてくれるという心底ありがたい時計店です。


最近は自宅から車で20分ほどのところにそこそこ安く引き受けて下さる時計店を見つけたので、そちらへ持参しています。


送料分を考えると、例のあの福島のお店と大差無いんだから、本当に格安で嬉しい限り。


近年そういった街の小さな時計店(田舎の時計店?)は、店主の老齢化や経営上の理由などで次々と店をたたんでますから、今のうちに精々通わなきゃいけません。








文中にも書きましたが、リコーさんの回し者じゃないです(笑)


色々と褒めたりしたんで……その内にリコーさんから接触とかあるかと思ったが、よく考えたらそこまで既読数が伸びてるわけでもない(笑

その後保有数は大きく増えたが、ほとんどの人はマイナーメーカーに関心なんか無いわけで……

リコーの腕時計20本くらい持ってる一般人って珍しいと思うわ。


まぁモノそれ自体は良いものなんだけどな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分も風防磨きに挑戦しようと思っています。 まずは安いスウォッチレベルから試してみます。 最近はリコーも入札が増えている感じがします。ただ、個人的には今は無き?スイスメーカーの時計を買い漁っ…
[一言] ご丁寧なご返信ありがとうございます。 早速調べて、検討させて頂きます。時計についても色々と教えてくださりありがとうございます。 大切にしたいと思います。 重ねてお教えいただきありがとうござい…
[一言] 初めまして、先日1960年代のリコーのダイナミックオート33石を購入し、調べていたところ Fさんの投稿を拝見しまして、ご連絡させていただきました。 というのも、オーバーホールが必要な時計だっ…
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