6-5 @町で 炎上
「なによ、これ!?」
メイは驚きと悲鳴を混ぜた声を上げていた。
「メイ、……何が起こっているの? ……焦げ臭いにおいがするけど…」
ヨーコは目が見えない。だが、この町で異変が起きていることには気づいていた。
「どうして、町が燃えているんだ‥‥」
町のあちらこちらで煙が上がっているが、煙だけではない。
町全体が赤く燃え上がっている。
目の前の景色自体が真っ赤になっている。
町から悲鳴は聞こえてこない。
「どうして何も、誰の声も聞こえてこないの!?」
ここにいる4人は気づいてないというより認めたくないという部分が大きいだろう。
もうこの町で意識をもって立っている人間はいない。
すなわち、もう誰も。
「お父さんは!? おとうさんはどこ!?」
メイは叫ぶ。4人を代表した声だ。
自分の父親はどこにいるのか、ここに4人ともそれぞれわからない。
この村の町長はどこに、
記憶のない自分の、父親はどこに、
もうこの世にいない自分の父親はどこに、
目が見えない少女の父親はどこに、
それぞれがそれぞれの父親の居場所を知らない。
「私…家を探してくる。」
メイの目がうつろになっている。
きっと、この火の海に飛び込んだら命が持たないこともわからないのだろう。
「メイちゃん、危ないよ!」
「私の家、私の家、 待っててね、お父さん。私はお父さんとちゃんと話がしなきゃいけないの。」
まずいぞ、話が通じないではないか。
これはきっと本当に現実を見れていないに違いない。
シャンプトが、火の海を進んでいこうとするメイの腕をつかんで必死に止まるように訴える。
「メイちゃん!これ以上行ったらだめ。」
「何で止めるの! こっちに私の家があるのに。」
メイもすごく抵抗するのだが、シャンプトに止められてはわずか数年の年齢と力の関係でこれ以上前に進むことができない。
その状態の中、シャンプトがメイにもう一度訴え始めた。
「メイちゃん、今飛び込んだらもう二度とあなたのお父さんに会えないかもしれない。今は耐えて。」
「…ん、」
メイは会えるという言葉に反応したらしい。
あまりに非現実的である現実だが、まだ現実的な非現実の可能性があることを教えられてようやく目の前が見え始めた。
「まだ、生きてるよね。」
「わからないわ。でも、ここで火の海に飛び込んでお空の上で会うよりよっぽどいい道を歩めるはず。」
「そうよね、まだお父さんは死んでないほうがいい。」
メイは本調子に戻ってきた。
これで冷静に脳を使える。
さてこれからどうするのか、このまま焼ける街を眺めていても仕方がない。
だからと言ってここにいる子供たちに何かができるわけでもない。
やはり、どうにかして情報を手に入れなければならない。
ちなみに、今は町から50歩ほど下がって眺めているだけだ。
「やっぱり、町に一回入ってみないと判断できないんじゃ、」
「でも、それは危険が大きすぎます。」
「わたしは、さっき止められた身だけど、冷静に考えたらやっぱり見てみないといけないと思う。」
「……私は、足を引っ張るだけだから、……どっちにしてもここで待っている。」
どうやら、多数決の結果、2対1対1で火の中組のほうが優勢だ。
「はぁ~、分かったわ。止めてもどうせ進んでいくのでしょう。私もいくわ。ヨーコさん、一人でここで待っててもらってもいい?」
「……私は構わないわ。」
こうして、4人のうち3人が町に突入することでまとまった。
「ヨーコ、すぐに帰ってくるから待っててね。」
「…うん、」
その時はそれだけで会話を終了した。
というか、それだけで十分だった。
目が見えないヨーコは、どう頑張っても足を引っ張るだけであったのは目に見えていた。
3人は突入した。
暑さが身にこびりついてくる。暑さというよりも熱さであるが。
燃える中心街を抜け町役場へ。
途中には水気がない元生物がいたが、目をくれれば現実を受け入れてしまいそうでなかなか目も向けられない。
本来なら消火活動をしながら進んでいくものであろうが、あいにく近くにこの火を消せるだけの水はなく、水属性の魔法を使うことができる魔法使いも英雄もいない。
ここで初登場になるが、この世界にはおそらく魔法がある。
誰でも使えるわけではない。
一応の発現条件はわかっていない。突然使えるようになるもの、使えなくなるものもいる。
だが、この場で魔法はまだ関係ないので説明はまた出て機次第にしよう。
まぁ、消火活動もできないので火と火と間をかいくぐるように進んでいく。
時々服に火の粉が飛んでくるがそんなことを気にしていたのではまるで前に進めない。
燃え移らない限りそのまま前へ進んでいく。
ちなみに何回か服に火が付いたので、その時は騒ぎながら、服を焦がしながら消してはまた前へ町役場へ進んでいく。
この世界は私たちの世界でいう近代文明のはじめ、電気が利用されていない時代ぐらいの文明力を持つので、町役場はちゃんとある。
普段なら あのマードがそこで町長の仕事をしているはずだが、今はどうであろうか。
「ここね。」
ついについた、町役場。
例外なくここも燃えていた。
「入り口はこっちよ。」
メイが先導をとって指揮をする
「さっきよりえらく落ち着いているのね。」
「私は、もうすることが見えてるから。」
3人はそのまま突入する
真正面玄関にはかろうじて突っ込めるであろう程度の火の気。
「アチっ!」
「大丈夫ですか、ヒデオさま!?」
「うん、大丈夫。ちょっと、火傷しただけだから。それより急ごう、マードさんのところに。」
周りの火の粉をかき分けながら突き進んでいく。
服の端を焦がしながら進んでいく。
階段を上る、踊り場を5個過ぎて3階まで上がる。
メイの先導に続くようにヨーコ、シャンプト、ヒデオの順で続く。
「ここだよ。この扉の奥にいつもはお父さんがいる‥‥。」
燃える木製の扉。立て札には町長室と書かれていたが、扉自体が黒焦げになっており読み取ることは難しい。まぁ、ヒデオはこの世界の文字など読めず、ヨーコがいても目が見えないのだが。
「扉が燃えていて近づけない。」
シャンプトがつぶやく通り、扉が激しく燃えていて近づくことができない。
「クソ、ここまで来たのに。」
ヒデオが嘆く。
“進めばいいだ、ヒデオよ。”
「えっ、今誰が!?」
「なんか言いましたか?」
「いま、だれかが俺に“進め”って、」
「ヒデオ様、誰もそんなんこと言っていませんよ。」
「え、でも」
“進め、ヒデオ”
「やっぱり、誰か何か言いましたよね。」
「大丈夫ですか? 誰も何も言ってませんよ。」
「でも“進めって”」
ヒデオはそう言ってまっすぐ燃えているドアまで進んでいく。
「ヒデオ様!? 危ないですよ。」
シャンプトの忠告なんてどこ吹く風。ヒデオは突き進んでいく。
燃えているドアに手を触れる、ヒデオ。
「ウソ!?」
信じられない光景だ。
扉の火の揺らぎが止まっている。
見た限りでは燃えているドアの火の動きが止まって、時間が止まったようだ。
「ホントに、大丈夫だったよ…。」
ヒデオ自身も驚いている。
彼自身でもわからない謎の自信というやつにでも後押しされたのか、勢いでやったようだ。
「ヒデオ様、あなたは一体……」
「そんなことより、早くいくよ。この向こうにお父さんがいるかもだから。」
メイが、驚き状態からいち早く抜け出して先に進もうとする。
「そうだね、メイちゃんのお父さんが無事でいますように。」
「ヒデオ様、あとで何が起きたのか説明してくださいね。」
ヒデオとシャンプトもそれに続く。
「行くわよ、」
火の揺れが止まった不思議なドアだったが、熱くもなんともない。まるでドアの時間だけ止まっているようだ。
そして、メイがドアに手をかけてそのドアを開ける。
「お父さん! …メイよ。いるなら返事して、
あなた、誰?」
メイがマードのことを叫びながらドアを入っていったが、ドアの向こうにいたのはマードではなかった。
誰だ、こいつ?
「遅かったじゃねぇーか、危うく俺まで火事に巻き込まれるところだったぜ。」
火の小規模な海とでもいえそうな町長室のなか、野太い声で3人の少年少女たちに声がかかってきた。
一枚の布を体に巻いている、古代ローマ風の黒い衣装に身を包んだ、明らかにこの明治の最初当たりの文化を持つ世界の服装と比べたら時代遅れという言葉がふさわしい衣の、短髪赤髪いかつい顔をした男がそこにはいた。
そいつは部屋の真ん中の高そうな椅子の背もたれにどっしりもたれて、偉そうな胸の張り方である。
「あんた、誰だよ。」
ヒデオが威嚇を込めた声でその男に聞く。
「なに、そんな怪しいものじゃないさ。お前あれだろ、ヒデオだろ。
そうだな、強いて言うならばお前らの敵かな。」
自ら敵と名乗ったその男は、どうやらここにヒデオたちが来ることを知っていたらしい。
「どうして俺の名前を知っているんだ。」
「さぁな、今教えても面白くないだろ。安心しろよ、今の俺にはお前たちをどうこうするつもりはねぇ。
今日はこれをしに来ただけだ。」
そう言って男は椅子から立ち上がりその後ろの机のうらに行く。
机に隠れるくらいしゃがんだ後、男は何かを担いでまた椅子の前まで来た。
そして、ヒデオたちに見せつけるようにこう言うのだった。
「お父さん!?」
「うそ!?」
男の肩に担がれていたのは、この町の町長でメイの父親のマードであった。
「ん? この町の町長の娘はそこのお嬢ちゃんだったのか。まぁ、いい。俺はこいつをさらいに来たんだよ。」
「今、なんて?」
「だから、マードをさらいに来たんだよ。で、その途中でお前たちに見せつけに来たの。」
「おとうさん! 」
「待って、メイちゃん!」
メイが走ってその男の肩にいるマードのところまで行こうとするが、それを今度はヒデオが止めた。
「メイちゃんだめだ! あの男は何するかわからない。何かとても嫌な予感がする。」
「なんで、お父さんがそこにいるんだもん。お父さん返事してよ。」
「無駄だって。町長さんは今気絶してんの。さっき俺が殴ったからしばらくは目が覚めんよ。それにヒデオとやらが言うように今俺の近くに来たら間違えなく殺すよ。
あいにく、お前らに目の前で救えない悔しさを見せつけて絶望してもらことが目的だから、それ以上のことはさせないから。」
叫ぶメイの声をうるさそうに聞きながら、男は言った。
「そんなぁ……」
男の言葉にメイは肩を落とす。
「お前の目的は何だ。 できればそのままマードさんをここに置いて消えてくれたならこちらもありがたいんだが、そうさせてくれないか。」
「面白いことを言うんだな、ヒデオ。もちろんノーだよ。それと、俺の目的はお前じゃない。あくまで神様みたいなものにでも歯向かうことだ。そのためにいろいろと準備が必要なんだよ。これが目的だ。
だからその一段階として、お前たちに絶望してもらうんだよ。まぁ、無理そうならここから町長を連れてお暇させてもらうんだがな。」
ヒデオが平和的解決を望んだが、男は応じるつもりはないらしい。
「あなたは一体誰なんですか。正教会の修道着にも似たその服装、でも正教会の修道着は白だったはず。あなたのその黒い装いは一体どこの所属、いや何者なんですか。」
シャンプトが男に質問した。
すると、男の顔が一瞬驚きを見せたが、また元の厳つい顔に戻った。
「あんた正教会を知っているのかい? てっきりこんな北の辺境の町で正教会のやつらを見たことがある奴なんていないと思っていたが、まぁいいや。」
そういうと男はマードを担いだまま広い部屋のヒデオたちがいる入り口のほうまで一歩づつ、歩いてくる。
ヒデオはいっそう警戒を強めた。
「そんな、怖がるなって。今は何もしないさ。俺もそろそろお暇させてもらうから、その前にこれを渡しておきたいだけだよ。」
男が時代遅れなマント姿の衣装にあるとも思わない腰のポケットに、手を突っ込んでそのまま何か取り出した。
それを警戒度マックスのヒデオに差し出す。
「受け取れよ。」
「何だよ、これ?」
男が差し出してきたのは折り紙サイズの紙きれだ。
「俺の組織の現住所。」
「「はっ!?」」
驚きの声が重なった。
何言ってんだこの男は。
「何も驚くことじゃないさ。」
「いや、驚くよ! 何でわざわざあんたらの居場所教えてくんの!?」
「どうせここで絶望してくんねんだろ、その様子じゃ。だったら、俺の組織のところまで来てもらいながら絶望してもらおうかなって。」
「別にお前らの居場所を知ったからって俺たちが来るとは限らないだろ。」
「大丈夫だよ、お前らは来る。 そのためにこの町長さんをさらわせてもらうんだから。」
「あんた、お父さんをどうするつもり。」
「おいおい慌てるなって、お前のお父さんは俺の組織で丁寧に対応させてもらうよ。手は加えないさ。でもあんまり遅かったら指から……、 分かるよな。」
自分がこの状況で最も上位の存在であると自覚があるのか、男は侮蔑するような上からな表情でメイを眺めた。
「あくまで、来なかったらだ。来れば何も痛い思いはしないさ。」
「てめぇ‼」
とうとう我慢の限界を迎えたヒデオが、男のところへ詰め寄ったが、
「ヒデオ様、今はダメ。」
シャンプトがヒデオを止めるように声を上げるが、ヒデオは聞こえても止まりたくないようだ。
「そうだぜ、ヒデオ。 お前がこれ以上俺たちの思い通りに動いてくれないなら、ここで町長さんを殺していってもいいんだぜ?」
「だめ! お父さん!。」
男の脅迫に反応したのはメイであった。
「 ッく…、どこまでも卑怯な奴め。」
「おいおい、その言い草はないだろ。俺だって好きでやっているんじゃないさ。ただ、上が神様みたいなのに嫌がらせをするのが面白そうだから、心苦しいけど俺の娯楽のためにやっているんだ。」
完全になめ切った男の口調。しかし、現実としてこの町長室の中で男に敵うものはいないとだれもが直感と理性で判断していた。
そうこうしているうちにも、火は勢いを増し、町長室の中を、息をすることも難しいくらいに赤く熱く染め上げていったのだった。
「あんたらがどうせ絶望してくれないとわかったから、俺そろそろ帰るわ。」
男が肩に気を失ったままのマードを担いだまま、ヒデオたちのほうを再び強く見つめながらそう言った。
「てめぇ、逃げるのか!!」
「俺に会いたかったら、その住所をたどってこい。そんなに長くはかからないさ。あくまで会いたかったらだけどな。 ハッハ、笑えるな。
それじゃぁ、また会おうな、ヒデオ。」
最後にその言葉を残して、男の周りに火が巻き付いていった。
まるで男を覆い隠すかのようにその日は密度と量を増して巻き付いていく。
次第に火が赤い布か何かで覆い隠すかのように男の姿を見せなくする。
男がいた場所にあるのは、人の背丈を超えそうな2mほどの巨大な火柱が不自然にその場にあった。
火柱は10秒ほど立ち込めた後、だんだんと細くなっていく。
そして、火柱が完全に消えた時、そこに男の姿はもうなかった。
「クソッ、逃げられた。」
ヒデオが八つ当たりにそこに転がっていた木製の椅子を勢いよく蹴る。
その椅子はもろく崩れていった。きっと火事の影響でもう寿命を迎えていたに違いない。
だが、火事の影響を受けていた椅子を蹴ったのだ、もちろんその椅子だって燃えていた。
「アチッ!あいつがいなくなっても火は消えないのかよ。
みんな、早いことこの火の海から出よう。このままじゃ俺たちまで焼き豚になっちゃう。」
「『ヤキブタ』が何かはしりませんが、ここから早く出ないとまずいようですね。」
シャンプトはヒデオの提案に応答したが、メイからの反応はなかった。
不思議に思ってヒデオがメイのほうを見ると、メイは
「……お父さん、(:_;)」
その年に相応な涙を流していた。
「メイちゃん、ここから出よう。じゃないと、俺たちが焼けちゃう」
もう一度ヒデオがメイに声をかけるが、
「……お父さん、(:_;)」
メイちゃんの耳には届いていないようだ。
「メイちゃん、ここで生き残らないと本当にお父さんと会えなくなるよ。もし生きていたら、きっとまたお父さんと会える。あいつだって手は加えないって言ってた。メイちゃんがここにいてもお父さんと本当に空の上で会うことになるよ。」
ヒデオがさっきのシャンプトのようにメイに声をかける。
「もう無理だよ! こんなの。
私の町が燃えて、私のお父さんがいなくなって、もう町のみんながいるところはない。
こんなのあんまりだよ!
いっそ、空の上でお父さんと会うほうが楽だよ!」
それは少女の悲痛な叫びであった。
確かにこの出来事がまだ10代の少女に一日でやってくるにはきつすぎたのかもしれない。
けれど、
「だめ!」
シャンプトが信じられないほどの鋭い声でそういった。
「自分から死にたいだなんて絶対に言ったらだめ!」
「でも…、」
「確かに今のメイちゃんの状況は限りになく最悪に近いのかもしれない。私になんか分かってあげられないメイちゃんだけの闇なんだと思う。
でも、死にたいだなんて絶対に言っちゃだめ。
この火事で死んだ人は死にたいと思って死んだんじゃない、生きたいと願って死んでいったの。どうしようもない絶望の中でも生きたいって願って、それでもどうにもならなかっただけ。」
「そんなの、分からないよ!
自分の町が燃え尽きて、対抗する手段も何もなくて絶望して死んでいったのかもしれないじゃん!」
「それは無いわ。」
「どうして!?」
「私には聞こえるのよ。この町で死んでいった人たちの声が。それが私の力なの。」
さりげなくとんでも発言をしているが、
「どういうこと?」
「私の生まれてた町は、私が3歳のころに天災で無くなったの。で、その時からその場所で死んでいった人たちの気持ちが聞こえるようになったの。
だから、私にはわかる。
メイちゃんはまだ生きることができるのに、ここで死にたいなんて思っちゃダメ。」
シャンプトの意外な生い立ちを知ったヒデオとメイであったが、どんな言葉を返すこともできなかった。
ただ、無言で3人とも目を合わせることもできずに、火の燃える音だけがうるさくなっていた。そうこうしているうちに町長室の床もだいぶ熱くなってきて、立っていることもつらいわけになった。
「メイちゃん!」
シャンプトがそのことを察知して、黙りこくっているメイに催促する。
「わかった、私まだ生きる。お父さんにヨーコのことを認めさせるまでは絶対に生きる」
「メイちゃん。」
ようやくゴーサインが出た燃える町長室。
「よし、じゃぁ早くヨーコを待たせているところまで戻ろう。ヨーコのところまで燃え広がっていたら、ヨーコは目が見えないから気づかなくて危ない。早く戻らないと。」
「わかりました。」
「わかった」
今度はヒデオを先頭にどんどん元来た道を戻っていく。
その途中でシャンプトに質問もされた。
「ヒデオ様、この町に来てまだ初めてのはずなのによく迷わずに進めますね。」
「何でだろう? この道を行けば着くって思った道を進んだら見覚えがある道なんだ。」
ヒデオは走りながら答えた。
メイちゃんが現れた時といい、町長室の火を止めた時といい、謎の男に目当てにされている理由といい、ヒデオは何か特別な存在で特別な力を持っているのかもしれない。
そう思ったシャンプトであった。




