6-4 @町で 始まる
どれくらいたっただろうか。
ヒデオは眠りについている。
彼は久しぶりに夢のない眠りについている。
意識がないから夢の向こうに名前を知らない彼女を呼ぶこともできない。
そんなわけでシャンプトたちが倒れたヒデオを背負って村まで引き返している苦労なんて知るよしもない。
そろそろ彼も目を覚ますようだ。
意識が戻ってくるたびに、体が揺れているのがわかる。
声がたくさん飛び交っている。
女の子の声(?)が‥‥3つ?、であろうか。
とにかく聞こえてくる。
内容まではまだ入ってこない。
「何でこの兄ちゃんは突然倒れてんのよ。」
「わかりません、ただ早く村に戻らないと嫌な予感がします。」
「……私も、そんな気がします。」
「二人そろって、私を不安にさせないでよ。」
「さぁ、早く村に戻りましょう。」
「…すいません、……私が目が見えないばっかりに迷惑かけて。」
「全然問題ないよ、ヨーコ。それより、シャンプトのほうが兄ちゃんを背負って大変だろうし。」
「わたしは大丈夫です。」
“『背負って』……俺、背負われてる!?”
そう、彼は今、シャンプトに背負われている。
彼は体を動かそうとした。しかし、体がおもりのように重たくかさかさと体を揺らすことしかできなかった。
「 ヒデオ様、気が付きましたか?。」
シャンプトがヒデオにたずねる。
「は、はい。」
ヒデオもそれにこたえる。
「お、兄ちゃん起きたね。」
「‥‥目が覚めてよかったです。」
周りの幼子たちも反応する。
まだ、彼の体はシャンプトの背で揺れている。
「シャンプトさん、おろしてもらえませんか?」
「大丈夫ですか? 」
「えぇ、自分の足で歩かないと酔っちゃいそうで、。」
適当な理由をつけて今すぐにでも降りたかったに違いない。
女の子に背負われている高校生なんて想像しただけで恥ずかしい。
自分が高校生だったなんて覚えてもいないヒデオであったが、それを恥ずかしいと思う神経は残っていたようだ。
ゆっくりとヒデオをその場に降ろす。
「ありがとうございました。…って、え、あ、え~。」
自分の足で立とうとしたヒデオだったが、体がぐらついてしまう。
それもそうだ、さっきろくに体を動かそうとしてできなかった人が、自由に動けるはずがない。
「大丈夫ですか?」
「いててて、…大丈夫です。」
「やっぱり、私が町まで背負って」
「それはいいです。自分で歩けますから。」
「でも、いまよろけて」
「だいじょうぶです!」
頑張ってヒデオはその場に自分の足で立った。
「大丈夫ですか、本当に? 足震えてますよ。」
ヒデオの腰から下はふらふらに震えていた。
「さぁ、早く町にもどろう。」
「兄ちゃんにそういわれても、説得力無いなぁ~」
彼らは町へ向かうのであった。
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「なによ、これ!?」
メイは驚きと悲鳴を混ぜた声を上げていた。
「メイ、……何が起こっているの? ……焦げ臭いにおいがするけど…」
ヨーコは目が見えない。だが、この町で異変が起きていることには気づいていた。




