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ぼくらの無人島開拓ライフ!  作者: えっくすせりあ。
一章 一週間目
8/12

七話 魔法

書いてるときの急な思い付きで書いた魔法設定。

これ加えたら話が大分めちゃくちゃに。

やっぱり変なことするのは良くないですね。

 次の日冒険職組は、一層目、二層目をもう一度探索した後、二層目の下り坂の先、三層目を探索した。


「なんかちょっと変わったな……」


 上の一、二層目は最初からいくつもに道が分かれていたが、この三層目は降りた先に少し大きめの空間が出来ていて、丁度休憩するにはよさそうな広さだった。


 そして、そこから繋がる道は一本。


 虎島はその道の先へと足を踏み入れる。


 そこは大きな広間だった。

 およそ東京ドームほどの広さの円状の空間だった。


「……?」


 虎島は立ち止まった。

 立ち止まり、その空間の周囲に目を凝らす。


 何かがおかしいのだ。


 空間には、ゴブリン四匹と、部屋の奥の方に何やら光る玉が、そして、その隣には、


「ゴブリン……か?」


 光る玉の隣には、今までのゴブリンとは違う、自分たちと同じくらいの背丈のゴブリンが、石で作られている椅子にもたれかかって寝ていた。


 あれがなんとなく感じたおかしさだろうか。


「おい! お前ら一旦戻れ!」


 虎島は、皆に小さく叫ぶ。


「おい魁斗? どうしたんだよ?」


「いいから早く!」


 虎島の珍しく焦りの声が聞こえ、皆はすぐに下がる。


「どうしたんだよ魁斗?」


 一応指示には従ったが、未だ虎島以外の五人には疑問が残る。


「皆、いつも以上に気をつけてくれ」


「へ?」


 徳海がそんな声を漏らす。


「いいか? 道の先には、大体東京ドームくらいの広さの空間がある。そしてそこには、変な光る玉と、小さいゴブリン四匹と、そして俺たちと同じくらいの背丈のゴブリンが一体いた」


「……? それがどうしたんだよ?」


 徳海は不思議でたまらなかった。変な光る玉っていうのは少し気になるが、なぜ自分たちと同じくらいの背丈のゴブリンがいたことで虎島が驚いているのか、彼には分からなかった。


「何をそんなに怯えてるんだよ? お前らしくないぞ?」


「!? ……あぁそうだな……」


 虎島は、自分の気づいた違和感を、ちゃんと皆に伝えることが出来なかった。


 今の皆は、ほとんど虎島に依存してしまっている。


 初めて最高神と出会ったとき。虎島が皆をまとめ、指揮を執ったあのときから。


 もし虎島が何かに怯え、皆に不安を与えるような行動を取ってしまえば、その瞬間皆の今の状態は崩れてしまう。


 今皆が安心してこの無人島で暮らしているのは、自分たちが今この無人島で一番強く、尚且つ新しいものをどんどん生み出せる神のような気分になっているからだ。


 この場を逃げ出してしまえば、皆は不安に駆られ、王都造りどころかこの無人島で普通に生活することですら難しくなってしまうのだ。


 それだから、この戦いは逃げ出せない。


「いいか。これから戦うのは、今までのやつより大きくなったゴブリンだが、俺たちはゴブリンの全てを知っているわけじゃねぇ。今までのやつとはまったく違う行動を取るかもしれない。その上、普通のゴブリンも四匹いるんだ。注意しろよ。これは命が掛かってるんだ。ちょっと何かがあればおしまいかもしれないぞ」


 虎島は、違和感のことは伝えず、それ以外の出来る限りのことを伝えた。


「最初にどいつが来るかは分からないが、小さいゴブリンはできるだけ素早く倒すんだ」


 虎島は、周囲の皆が頷くのを確認した。


「……それじゃあ、行くぞ」


 六人は、先の大部屋へ入った。


 幸い、最初入って来たときは見つかっていなかったようで、球弥と嘉山の先制攻撃の弓を近くのゴブリンにそれぞれ放つ。


 お互いの矢はしっかりそれぞれのゴブリンの方へ飛んでいき、まだ鎧を付けていないゴブリンの体を簡単に貫いた。


「よっしゃぁ」


 球弥が、小さく声を上げる。


 仲間のゴブリンがやられているのを見て他の二匹が鎧を付けて動き出すが、石に座る大きなゴブリンは動かなかった。


 大きなゴブリンは確かに六人の方を向いているのに、まったく動こうとしない。


 徳海だけが、そのゴブリンの顔が少し笑っているように見えた。


「まず小さなゴブリンを倒すぞ」


 虎島が声を上げる。


 小さいゴブリンはあと二匹なので、倒すのは時間の問題だった。


 楽宮がゴブリンの背後に回り、とどめを刺そうと剣を振る。


 が、その直後に楽宮は突如何かに押されたように吹き飛ばされた。


「どうしたんだ楽宮!?」


 そのときの一瞬、皆の意識がゴブリンから離れ、その瞬間にゴブリンが守山を襲う。


「はっ!? ひぃっ! やめてくれ!」


 守山がそう叫ぶが、ゴブリンの勢いは止まらない。


 ゴブリンの剣が守山の簡素な鎧を切り裂こうと振り下ろされる。


 しかし、その攻撃は虎島によって防がれた。


「大丈夫ですか、先生」


「あ、ありがとう虎島くん」


 虎島はすぐにゴブリンに向き直る。


 今、虎島たち四人がゴブリンを包囲する形になっている。


 普段なら、もうゴブリンはその素早さを使うことが出来ず、あっさりやられるはずだった。


 しかし、もう一度、今度は同時に攻撃を繰り返すと、今度は四人全員が何か風なようなもので吹き飛ばされる。


 虎島は、なんとかその風に耐え、ゴブリンをもう一匹倒した。


 ふと虎島が大きいゴブリンを見ると、大きいゴブリンは目を見開いて驚いていた。


 虎島は、大きいゴブリンの様子が変わった理由が分からなかった。


 やがて、もう一匹のゴブリンは嘉山の矢によって仕留められ、残るは大きいゴブリンだけになった。


 大きいゴブリンは、最後の一匹をやられてもまったく動こうとせず、人差し指だけを伸ばしてくるくると回していた。


 それを見た六人は、残るゴブリンに近づき、それぞれの攻撃を行おうと走り出す。


「「「!?」」」


 しかしその直後に皆の足は止まってしまった。


 ゴブリンの手に、人の顔ほどの大きな火の玉が浮かんでいたのだ。


 そしてその直後に、火の玉が一番近くにいた虎島にまっすぐ飛ばされる。


 矢を射たときほどの速さの火の玉を、虎島は何とか避けて回避したが、見ればゴブリンの手にはもう、同じくらいの火の玉がたくさん浮かんでいた。


 虎島はようやく、なぜ攻撃しようとしたときに吹き飛ばされたのか、そもそも最初の違和感の正体が何だったかに気づいた。


「皆! 一旦離れろ! 奴は魔法を使ってくるぞ!」


 ゴブリンは魔法を使っていた。


 数人がゴブリンの攻撃を見てその場で足を震えさせていた。


「くそ! どうする!? 一旦離れて矢を……でもそれはやつに燃やされる。一人に攻撃を集中させる? でもその場合避けられるかが……」


 虎島は、どうすればいいか必死に考えていた。


 ただ、すぐにその必要はなくなった。


 嘉山の放った矢が、風で飛ばされることなく当たり、ゴブリンが大きな呻き声をあげふらつく。


 そして、その直後に球弥が放った矢も、飛ばされることなくゴブリンに命中し、そのまま倒れた。


「何が起こってるんだよ……?」


 虎島がそうつぶやくが、何が起きているのか、結局誰も分からないまま戦闘が終わった。


 そしてその場には、光る玉だけが残った。


 虎島がその玉に近づくが、その前に守山が光る玉に飛びついた。


「どうしたんですか? 守山先生?」


 虎島がそう言葉を発した直後、玉が今よりさらに光を帯び、気づけば大部屋全体がまぶしい光で満たされていた。


 光はすぐに収まった。


 そして、先生のもとに光る玉は、もうなかった。




「おい最高神! 聞こえるか!」


 ダンジョンの洞窟から地上に上がると、虎島はすぐに最高神を呼んだ。


「どうしたんじゃ?」


「ダンジョンに普通のやつよりでかいゴブリンが現れた。それにそいつが魔法っぽいのを使ってきたんだ」


「なんだと!?」


「それに、なにか光る玉があって、守山先生がそれを触ったらいきなり大きな光を発して、すぐに消えたんだ」


「成長玉か!?」


「……成長玉だと?」


「……えーとまず、大きいゴブリンについて話そう」


「おそらくそいつは、ゴブリンメイジというやつだ」


「……なるほど?」


「そいつは、直接攻撃はしてこないが、風と火の魔法を使ってくる魔物なんだ」


「最高神さん!」


 球弥が叫ぶ。


「俺魔法使ってみたいんですけど! 魔物が使えるんだったら俺たちも使えるんでしょ!」


「いや、魔法が使えるのは魔物だけだ」


「嘘! それだったらうちら魔法使ってくるやつらに対して超不利じゃん!」


「いや、対抗策ならある」


「なるほど、その対抗策ってのはどんなやつだ?」


「強くなる」


「は?」


 虎島が、珍しく目を見開いて固まった。


「さっきの話とつながるんだが……。きみたち、光る玉を見つけたんだろ? それは成長玉といって、手にしたものの強さを飛躍的に上げるんだ。成長玉で強くなったものは、単純に剣や弓が鎧や魔物に当たったときの攻撃が強くなったり、あとは、自分より弱い敵になると魔法が効かなくなる。相手が魔法を使おうがまったくこちらには影響がない状態になるんだ」


「なるほどな……」


 虎島は嘉山を見た。


 嘉山はずっと最高神を見ていて、虎島には振り向かなかった。


「なぁ最高神? その成長玉ってどうしたら手に入るんだ」


「うーむ。申し訳ないが、それはよく分かっていないんじゃ。とりあえず、極稀に魔物が持っているらしいんだけど……」


「そうか……」


 虎島は、もう一度嘉山を見た。


 こいつは、どこで成長玉を見つけたんだろうか?


 虎島は、きっと聞いても答えてくれない気がした。

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