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第6話・冒険者

夏休み

学生が一番に楽しみにするであろう行事。

だが、俺は暇をしていた。することが無いのだ。

勉強?学校のことなんて勉強しなくても全部頭に入ってる。運動?午前中にメニューは全部終わらせた。メニューを追加したが、それも終わってしまってこれ以上はオーバーワークかと思い中断。遊びに行く?友達いないし、姉貴俺のこと嫌ってるし、アカリは連日店が忙しいらしくて遊べないし。


と部屋でボーッとしながらチェスでマヤとマルカを順番にボコしているとふと最近あった事件を思い出した。

ギルドに顔面がボコボコに腫れた冒険者2人が吊られていた事件だ(俺がやったんだけど)ガタっと勢いよく立ち上がり、「冒険者になろう」と呟いた。


「カレン様どうしたのですか急に、てかカレン様1回も勝てないんですがどういう事ですがチートですか?ズルですか?」

「冒険者と言いましたか?お父様に憧れるのは分かりますがまだ年齢的に早いのでは?」

「冒険者最低年齢は6歳、俺でも十分いける」

マルカとナヤは顔を見合わせて肩をすくめた。

「分かりました。ですが一つ条件があります」

「私達と試合して勝ったらにしてくれませんか?」

「いいけど、2人って強いの?」

「護衛が出来るくらいにはですかね。元々私達はどちらとも荒れくれて行き倒れていた所をお母様に拾って頂いた身ですしね」

「俺も同じ感じですね」

2人に荒れてた時期か……想像できん







と、いうわけでお外に来ました。カラっとした日差しが肌を指す。

「じゃあまずは私から行きますねー」

と言ってマルカが1歩前に出て軽く構える。

「どうぞかかってきてください」

どうやらマルカは俺のことを舐めているようだ。適当にあしらって終わりだと思っているのだろう。

「戦いだし、女だろうと容赦出来ないんだけど、いいかな?」

「どうぞ、全力でお願いしまぁ、、、グフッ!!!」

マルカがくの字に曲がる2、3歩後ろに下がりグッと堪えるが、下がった頭に容赦のないキックがマルカを襲う。

キレイに横に吹っ飛んで気を失ってしまった。その光景を見てナヤはあんぐりしてしまっている。

「んじゃ、次ナヤね」

「そ、そうですね。力に酔いしれて俺と同じ道を歩まぬようここで止めさせていただきます!」

「ああ、俺が勝ったら父様と母様には内緒にしといてね」

「分かりました」

ヤナが構える。マルカの何かよく分からない構えではない。腰をしっかり落とし、片方の拳を腰のあたり、もう片方を顔まで上げた本気の構えだ。ピリッとした緊張が場を包む。先に動いたのはナヤだった。

「ハァッ!」

無詠唱で身体強化をしていたようでとても早い拳が顔を目掛けて飛んでくる。だが俺も目を強化しているためすべて見えている

初手のパンチはフェイクで次にくる蹴りが本命と軽く曲がった膝と筋肉がそれを教えてくれた。

まずパンチを手を軽く添えて避ける。次に右からキックが飛んでくるので片足立ちになっているので左足を刈り取って転ばせる。最後に握った拳をナヤの頬に軽く添えて終了。


「はぁ、負けてしまいましたか…」

「結構いい線いってたと思うぞ」

「カレン様は反則過ぎます。目を強化するなんて俺なら怖くて出来ませんよ…」

「目を強化するのは危険なことなのか?」

「筋肉なら少し断裂するだけで済みますが、目なんで内側からやったら1発で失明ですよ」

知らなかった…俺のやってることは意外と危険なことだったらしい。

「んじゃまあ、行ってくるからマルカ頼んだぞ」

「ちょっと待ってください!せめて護衛として私が!」

とナヤが叫んでいるのが聞こえるが足を強化してダッシュで逃げた。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ギルドにやって来た。

ここまで来るのに少し疲れた。美味しそうな匂いに吊られて食べ歩きしてしまったり、貴族ボンボンだと思われて絡まれたりして今やっとギルドの入口に着いた。

いざ!とドアを開けると中は酒場と繋がっており正午から飲んでいる冒険者で賑わっていたが、俺が入ると同時にシンと静まり返る。中に入り、正面にある受付に行こうとすると、机から足が出てくるが下も見ずにそれを避ける。すると横から声をかけられた。

「おい、親切で言ってやる。貴族のガキがこんな所をうろついてんじゃねえよ今すぐ帰りな」

「ご忠告どうも」

一言礼をいいながら進むと前を巨体が塞ぐ。

「邪魔なんだが」

「バクの忠告を聞かなかったことを公開させてやんよぉ!」

いきなり殴ってくる

(遅いし振りもでかい巨体だけか)

などとぼんやり考え、ながら股の下をくぐる。背中目掛けて殴ってくるが、音や空気、気配を感じながら最小限の動きで避ける。そして足を引っ掛けて2人を同時に転ばせてカウンターまで到着する。


ジャンプしてカウンターに腕を引っ掛けて顔を出す

「ギルドは初めてなもんで登録から頼みたいのですが」

と、前を見ると自分より少し大きいぐらいの耳の長い女性、エルフがいた。生まれて初めて見るので少しまじまじと見てしまう。

「登録ですね承知しました。少しお待ちください。」

パタパタと奥へ引っ込んで行く。

「なあ、あんなちっさいのがこんな物騒な場所で働いてんのか?」

(((お前が言うなよ)))と、冒険者全員が心を揃えた。

「ああ、まだ子供だ。だが、エルフは見た目の割にかなり歳くってるからお前よりは結構年上だぞ。ああ、手を出すならよく考えた方がいいあいつはバックが怖いからな」

先ほど忠告してくれたスキンヘッドのバクという男が答えた。最後の言葉には冒険者達が顔を青くして「ああ……あれはな…」と言っていた。

「お、お待たせしましたーー」

何か持ってきたようなのでまたジャンプして腕をカウンターに引っ掛ける。

「こちらがギルドカードになります。登録方法は簡単です。こちらのカードに少量血を流していただければ結構ですー。」

「了解」

と言って親指の肉をかみ切る。何か差し出そうとしていたが、俺の親指を見て顔を青くする。

「ここにつければいいの?」

「は、はい…そうですぅ」

カードに指を押し付けると俺の血が勝手に動いて文字が形成されていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前

カリフォルド・カレン

種族

人族

属性

火・水・土・風・闇

魔力量

1万5千8百

所属

なし

所持スキル

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺は闇魔法が使えることがバレたと思い顔を青くする。が、前の少女は表情は何一つ変えていなかった。

「申し訳ありません。説明不足でしたね。ギルドカードは使用者が見せる部分を決められるのです。私に名前を見せるようにギルドカードに念じて見てくれませんか?」

「あ、ああ」

すると赤かった名前の文字が黒くなっていく。

「これで私にも見えるようになります。これは本人でないと出来ないので、身分証明にもなります。

あ、申し遅れました。私、アインクラウド・セルビス・エルンと申します。どうぞエルンとお呼びください」

「俺はカレンだ。宜しくなエルンさん」

「さんなんてつけなくていいですよ、エルンとお呼びください。」

「そうか、んじゃあ俺もカレンで」

「はい、宜しくお願いしますね。それで、カレンは討伐系の冒険者になりに来たの?」

討伐系?なんだそれは初めて聞いたのだが、と回答に困っているとあちらが察してくれたらしい。


「ギルドには討伐系の冒険者と主にあまり危険性のない依頼を受けるお手伝い系の冒険者の種類があります。討伐クエストのランクはEからSSSまであります。そのうちEからCまでがお手伝い系の冒険者さんのお仕事でBから上が討伐系冒険者さんのお仕事となります。ちなみに、お手伝い系から討伐系へ移るには試験が必要となりますが、討伐系の人がお手伝い系のクエストは受けられます。ですが、討伐系の冒険者になるための試験官が最近変わられまして、なかなか受かるのが難しくなっているんですよ…」


「なるほど…じゃあ俺は討伐系だな、試験とやらは今から受けられるのか?」

「は、はい!少し準備が必要なのでくつろいで待っていてください!」

パタパタと奥へ行ってしまう。後ろを振り向いてひとりでに呟く

「くつろぐ…ねぇ…」

豪快に笑う大男、ひっくり返る机、胸ぐらをつかみ合っている奴らもいる。くつろげるわけねぇな



とりあえず何か食べるためにカウンターに向かう。

「すみません、オススメを1品お願いします!」

「はーい!おとうさーん!オススメ一つ入ったよ!」

「7シムね」

俺は持ってきていた財布から7枚の銅貨を差し出す。

この世界の通過の基準は金、銀、銅で決まっており、金はラム、銀はロム、銅はシムという基準だ。

日本円に換算すると

1シム100円

1ロム1000円

1ラム10000円と言った感じだ。

ちなみに、ギルドカードは対象年齢になれば誰でも作れるようになるが、ギルドに足を踏み入れられない者も多いため持っていない人も多い。



「お待たせしました!当店オススメのデリルのウィンナーでございます!」

席に座って待っていると食事が到着した。

大きなあらびきポークだ。だが、それはステーキぐらいの大きさをした明らかに普通じゃないウィンナーだった。

ナイフを差し込んでみるとパンパンに破裂しそうな見た目と裏腹に肉汁はしっとりと出て来た。口に含み咀嚼するとさっきしっとりと汁が出てきたのが嘘のように肉汁が口の中を満たす。グッとした少しゴムのような歯ごたえに1口目でとてつもない満足感に襲われる。



食べ終わるとあまりの満足感に自分がここに何をしに来たのか一瞬忘れてしまう。

「カレンさーん!お待たせしました!準備が整いましたのでこちらへお願いしまーす!」

よっこらせと動きたくない足を持ち上げカウンターの前に進むと白髪が豪快に生えたムキムキの爺さんがいた。身長は俺より少し大きいくらいだが、どちらかというと小さいのだろう。

「今回の挑戦者はお主か」

疑いのある視線が俺をとらえている。

「そうですが、なにか?」

「お主、いくつじゃ?カリフォルドの息子なのは聞いたがそれにしても…」

「6歳です。父さんを知ってるんですか?」

「ああ、あやつもA級の上の方の冒険者じゃしの。して、何故今回は討伐系を志願したのか聞いても良いか?」

理由なんてないが、ここは直感で素直に話した方が良さそうだと思った。

「………………暇だったんで」

「ヒマだったとな?」

ポカンとしてからクククッとおかしそうに笑った。

「ええじゃろう。合格じゃ!こっちに闘技場があるそこでやってもらうぞい!それとワシのことはギルドマスターと呼びなさい。」

「本名は教えてくださらないのですか?」

「そっちの方がカッコええじゃろ」

(なんなんだよこの爺さん)


そんな話をしつつ細長い通路をゆっくりと歩いていく。そして光の奥には3人の影があり、それを見るとあることを納得した。

(最近討伐系冒険者の審査基準が厳しくなったと言っていたが、そういうことか…)

そこにいたのは……………勇者だった





闘技場に着いて一番最初に見たのが勇者だった。

勇者は俺を1目見るとその目は見下した目に変わった。

「君が今回の志願者かい?」

「そうです。カリフォルド・カレンです宜しくお願いします」

「あれ?君は帰らないの?」

「帰る?」

「いや、最近はみんな僕を見ると背中を向けて帰ってしまう事がしばしばあってね。君もそのくちかと」

まあ、勇者だし逃げたくもなるだろうなと心の中で納得した。

「あ、紹介が遅れたね。

僕は猪野駿(いいのしゅん)

左のマッチョが松田金太(まつだきんた)

そして右が牧野由依(まきのゆい)だ。よろしくな」

「はあ、宜しくお願いします…」

「というか、君武器は何を持ってきたんだい?何も持ってないようだけど、」

「あ……忘れてた………」

「いや、普通忘れんじゃろ」

「いやぁ、あはは…んで、武器は貸してもらえるんですか?」

「ああ、貸すのは構わんのじゃが手馴れた剣でやった方がいいんじゃないのかの?」

「自分の剣まだ持ってないんですよ、なかなかいい剣がなくって」

「そうか、ならついてこい」



1度ロビーに戻り、隣の部屋へと入る。扉の奥にまた扉があり、パネルらしき所にギルマスが4本指を当てる。

その指先から赤、青、茶、緑の4色が発されていた。

(なるほど、全基本魔法属性を使えないと開けられない仕様になっているのか……)

硬そうな扉がギギギと音を立てて開くとそこにはたくさんの武器があった。

「ほれ、この中から選べ」

「おおー!」

と感嘆の声を漏らしつつ、中をグルグル見てわまる。

「これとかいいんじゃないか?サイズ的にピッタリだし」

と、勇者が差し出してきたのはかなり短い短剣だった。サバイバルナイフぐらいだろうか?

試しにもらって振ってみる。

「うーん、良いんだけど……これじゃないかなー」

「これじゃないってな、これ結構いいやつだぞ?魔力浸透も早いし、切れ味、耐久、すげえんだけどなー」

(それは分かる。だが、なにかしっくり来ない。いや、よくわからないが何か別のものが……)

などと考えながら武器庫をぐるっと一周すると

「これは……」

一刀の刀が目に付く。黒い、吸い込まれるような漆黒に赤色の脈みたいなものがこびり付いている。

「爺さん、この刀は…」

「ギルドマスターと呼びなさい。これか……これはな、元勇者の愛刀だ。」

勇者3人の顔色が少し悪くなる。きっとその勇者のことを思い出しているのだろう。

関係ないはずなのに何故か俺もほんの少し、本当に少しだけ胸がピリピリした。これは何の感じなのか俺には分からなかった。

「元勇者………いいね、気に入った」

振ってみる。漆黒の黒の刀が空を切る。やはりしっくりくる。体、と言うよりも心がだ。持っていると何やら安心する。

「気に入ったのならば結構だが、その刀はある属性以外の魔力を通さん。」

「ある属性以外?」

「闇…だよ。」

駿が答える。その顔には何やら含みがあるようだった。試しに火属性を通そうとしてみるが…

「本当に通らないのか……まあでもいいか」

「は?何言ってるんだ?闇以外通らないんだぞ?」

「いや、でも……なんかしっくりくるからさ」

「まあ、それでいいんならいいんじゃない?」

「それでいいんじゃな?なら闘技場に戻るぞ、せいぜい頑張ってみるのじゃ」



闘技場に戻ってきた。

俺は駿と相対する。胸の疼きが激しくなっていく。

「「オーバードライブ」」

俺達は同じ魔法を口にして睨み合う。胸の疼きは取れそうにない。


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