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第1話 目覚め

最初に感じたのは目を開けようとしているのに目が開かない。呼吸が苦しいという事だ。


周りからは「おめでとうございます!」「男の子ですよ!」などと聞こえてくる。俺は自然と自分は赤子なのであることを理解する。理解出来てしまう。


それよりも先に呼吸の確保だ。俺は大きく息を吸い込んでみる。そうすることにより呼吸は簡単に確保できた。だが、目はまだ開かなかった。


「ねえ、この子さっきから1度も泣いていないけど大丈夫なの?何かの病気なのかしら?」


と、女性の声が聞こえる。多分俺の母親だろう。


「いえ、身体に以上は見られません。脳も全て正常に稼働しています。病気の可能性はほぼゼロに等しいかと。」


そうか、子供は泣かなければいけないものだった!だが、ここで泣いては不自然なので泣かないことにした。そうしていると頬に何か柔らかい感触が当たる。


「そんなことはどうでもいいわ。生まれて来てくれてありがとう。私の可愛いカレン。」


どうやらカレンというのが俺の名前らしい。そして場が整っていくに連れて自分について考えるようになる。どうしてわかる?自分のことは何も分からないのに必要なことは全てわかる。それがなんだか不気味で怖かった






数日経って俺は自分の家にいた。

性をカリフォルドから始まり、

母親の名をリーン

父親の名をアルファ

姉の名をアリシャ

そして俺カレン。これが俺の家の家族構成だ。家はなかなか大きく、家は貴族でその中でも中の下ぐらいの地位らしい。俺には2人の教育係が付けられた。

獣耳が着いた元気な獣人の女性をマルカ

社交性のありそうな爽やかイケメンの男性がナヤ

今のところ俺が把握できるひとはこれくらいだった。そして、意識があることはいいことばかりでは無かった。まずは排便だ。


「オムツ外しますよー。」


オムツの変えは2人が交代でやってくれているが、死ぬほど恥ずかしい。そりゃもう裸で公道を突っ走るぐらいに。もう一つは食事。

俺は赤子なので母親の乳を吸わなければならないのだが、ムラムラする訳ではないがなんだか意識があるぶん申し訳ない気持ちになってしまう。生まれてから1年はめちゃめちゃ暇だった。






俺が生まれて1年が経とうとしていた頃。いつものベットでゴロゴロしていた俺は考えていた。

(子供ってどれ位で喋れるようになるのかな?)

思い立ったらすぐに行動。俺も1歳だし、そろそろ喋ってもいい頃だろうと思ったので喋ってみることにした。


「マルカ」

「へ?ナヤさん今私の名前呼びました?」

「いや、呼んでないが…」


こいつら主人を無視とはいい度胸をしておられる。まあ、俺は寛大なのでもう1度


「ナヤ飯食いたい」

「「!?」」


2人は口をポカンと開けたまま棒立ちで固まっていた。


「「カレン様が喋ったああああああああああ!!」」


いや、俺だって喋りますよ。


さらに半年が経った。相変わらず俺は暇をしていた。ベットの上で一日中ゴロゴロゴロゴロ。外は5歳から出れるのが家のルールらしいが、あと半分…気が遠くなるよ。


「ベットの上もそろそろ飽きたなあ…」


などと思ったので立って見ることにした。だが、


「うわっと!」


子供の体で立とうとしたのは初めてだったので、頭が予想以上に重く、倒れてしまった。

倒れたのがベットの上で良かった。赤子は色々と傷つきやすいからな。

そしてもう1度足に力を入れ直す。今度は頭の重心をしっかりと感じながら。

すると今度は失敗せずに立つことが出来た。


「よしっ!意外と簡単に立てたな」


などと満足感に浸っているとドアの付近からガシャンという音がしたので振り返ると


「…………立った」


ナヤが口をあんぐり開けて立っていた。


「カレン様が立ったァァァァァァァァァァァァ!」


と、雄叫びのように叫んだのであった。






ということでめでたく立つことに成功した俺は新たな目標を掲げた。

家の家族のルールでは5歳までは家から1歩も出ては行けないというおかしなルールがある。なので、筋トレを始める所にした。

と言っても所詮は赤子の筋肉。どれだけ力を入れようとできる回数は限られている。


「いっっっっち!」


まだ1回だが、腕を伸ばした所でもう限界だったが、


「ヒール!」


と、腕に魔力を集中させて魔法名を言うと腕の傷ついた筋肉繊維が回復して言っているのがわかる。


「にっっっかい!ヒーー……る」


だが、魔力も生まれつき多い人間もいるが、普通の人間はヒール1回で倒れてしまうぐらいだ。

俺の意識はゆっくりと沈んでいった。


この世界には魔法が存在する。俺が使ったヒールは、属性問わず誰にでも使えるお手軽魔法だった。

魔法の属性は6つ存在する。火、水、風、土、光、そして闇だ。

属性は普通の人間に1つ与えられるものである。だが、例外ももちろん存在する。2つの属性を持つ魔法師をデュアルといい、3つ持つものをトリプルと呼ぶ。

そして俺はこの中の5つの属性が使える。

何故かは分からないが、使えることはわかる。そしてこれがばれれば間違えなく軍事に利用されることもわかった。だから俺は平凡に生きるためにこのことを隠すことにした。

そして仮説を立てるもしかしたら俺は記憶喪失なのかもしれない。そうでなければこれ程の知識は説明がつかないが、何も思い出せない。少しもなにも。必要な知識以外には全て霧がかかっているようなそんな感じだった。それが何となく、自分の事なのに何故か怖く感じてしまった。





そして年月は過ぎ、念願の5歳になった。この数年で筋トレをおこたった日はただの1日もない。お風呂で体を拭く時にナヤに見られると


「これ、3歳の体じゃ無いですよ?何をなさったのですか?」


と、言われる程にはムキムキになった。だが、「筋トレ」とも言うわけには行かないので


「秘密だ!」


と、少し可愛げがあるように人差し指を口に当てて言ってみた。我ながら少しキモイと感じた。




そして今日は5歳の誕生日!遂に外に出れるand明日から父さんから剣の特訓を付けてもらえるのだ。


「おめでとうカレン。立派なおとなになることを祈っているぞ。」


「はいっ!父様の期待にお答えできるよう精進いたします!」




という儀式を終え、今日俺は初めて家の中以外の敷地に足を運んだ。


「よし!やるか!」


そう意気込んで走り出した。子供が初めて外に連れて行ってもらった時のように両手を広げて走るのではない。L字に腕を曲げ、持久走のように全力で走っているのだ。


「いやー、カレン様喜んでいらっしゃいますねー。」


「いや、アレそんな走り方じゃねーだろ、しかもなんであんな全力なんだよ。」


「嬉しいんじゃないんですかー?初めてのお外ですよー?」


「いや、姉様の時はあんなんじゃ無かった…無かった…はずだ」





「はあはあはあはあ、う、うぐぉぉぉぉぉぉぉ!」


た、確かにスクワットなどで足の筋肉なども鍛えたはずだ。だが、肺活量は別だった。どれだけ足の筋肉があろうが、肺活量が鍛えられていなければ意味がない。

目の前がうっすら白くなり、俺は足がもつれて倒れてしまう。


「カレン様!」

「大丈夫ですかー!?」


ナヤとマルカが走ってくる。水分を貰って2人にお願いをした。


「ナヤ、マルカ、これから気絶するかもしれないからそしたらベットまでたのむ。んで、夕飯には絶対に起こしてくれ。頼んだ。」


「なりませんカレン様!もうお疲れでしょう戻りましょう!」


ナヤがそう言うが、あまり上手く聞き取れない。


「カレン様、お父様にああ言われたのは分かりますが、まだそこまで頑張る必要はないと思いますよ。」


マルカも心配した顔つきでこちらを見てくるが、


「命令だ」


そう言うと2人は黙ってしまう。


「心配かけてすまない。でも、なんでかな?やらなきゃいけない気がするんだ。」


そう。なぜだかは分からない。分からないが、やらなければならない謎の使命感が生まれていた。


「承知しました。心ゆくまでご奮闘下さい。」


「後のことは私に任せてもらって大丈夫でっすよー!」


2人はそう言って送り出してくれた。

俺はそんな2人に一つ頷いてまた走り出したのだった。その数分後俺は意識を手放した。

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