ダマヤ問答【蒟蒻問答】――解説――
今回の話は「ダマヤ問答【蒟蒻問答】」です。
これも有名な噺ですね。とんちの効いた、素晴らしいネタです。
あれ?どうされました?
え?なんですって?
「おいおい朱雀よ。大丈夫か。投稿順を間違えているんじゃないか?」ですって?
いえ、間違えておりません。
実は今回は事情がありまして、解説を先にさせて頂きます。
ですからストーリーのネタバレや展開については述べられませんので、淡泊でおためごかし感溢れる短い解説になるかと思いますが、どうぞお付き合いお願いします。
「蒟蒻問答」ですが、私自身は上方版の「餅屋問答」の方が馴染みが深いですね。と言いますか実は「餅屋問答」しか聴いた事がありません。
浅い知識の中で、ただ「蒟蒻」と「餅」が違うだけで、後は似た様な噺だと勝手に認識しております(違ったらスイマセン)。
まあ、簡単に筋を説明しますと、蒟蒻屋(餅屋)の店主の口利きでお寺の住職となったぐうたら男が、本物の修行僧に問答を吹っかけられるというお話です。困り果てた男から話を聞いた蒟蒻屋(餅屋)が、自分が代わりに問答してやろうと言って受けて立つ事に。そこで、勘違いで受け答えをしたら修行僧が「あの方は只者ではない……」と平伏して去っていったという痛快なお話です。
今もよく漫画や小説、ドラマ等で使われる様な「勘違いギャグ」の走りと言っても過言ではない、本当によく考えられたネタです。
本当は喧嘩が弱いのに色々と偶然が重なって「アイツは……只者じゃねえ……ゴクリ」という展開になる「特○の拓」的な、アレです。
先程も述べましたが私自身「餅屋問答」はかなり馴染みがある演目です。
可愛がっていた後輩の六宝松君が得意とするネタだったからです。
よく練習を観た記憶があります。
彼は「餅屋問答」の他にも、餅を食べる振りのある「蛇含草」というネタも演っておりました。つまり、大の「餅好き落研」だったのです。というか今私がそれに気が付いて勝手に名づけました。なかなか恰幅の良い子でしたので「餅好き落研」という名はぴったりですね。
……ですが「黄金餅」や「尻餅」は演っていませんでしたので、それほど「餅好き」でもないのか。
「餅好き」は言い過ぎかもしれませんね。すいませんでした。
三行で前言撤回となりました。六宝松君にはがっかりしました(なんて勝手な言い分)。
とまあ、こんな薄っぺらい文章で行間を埋める自分に、恥じ入る思いではありますが、ここはそれも承知で先へ進みます。
さて、今回この噺を異世界落語にしようと試みましたが、これはかなりの難易度でありました。
特にサゲ付近。元々が仏教用語等が巧みに生きてくるサゲなので、それをどうターミナル風に変換しようか、蒟蒻を何に置き換えようか等と、かなり頭を使いましたけど、なかなか良い案が浮かびません。
原典が頭の良い噺をアレンジするのは難しいのだと、思い知らされました。
更にはこちらが進めて行きたいストーリーの方向性等もあいまって、筋と制約と約束事で思考ががんじがらめになってしまい、どうしようもなくなりました。
そこで私が最終的に取った手段は「原典に縛られない形式」です。
同形式の異世界落語の「エターナル」や「アマテラス」よりも、もっと原典から離れている形となっておりますので、決して「ダマヤ問答」を読んで「蒟蒻問答」を観た気分にならないようご注意下さい。
例えて言うなら「カニカマ」を食べて「蟹を食べた」と豪語する程、全く違うものだと思っておいて下さい。
そして、興味を持たれましたら是非、原典の「蒟蒻問答」を御覧になって下さい。
本当に、頭の良い、素晴らしい噺です。
さて、そういう訳でまさかの敗北宣言から始まった「ダマヤ問答」。
語りますのは三代目楽々亭一福。
お耳汚しかと存じますが、是非聴いていって下さいませ。




