MY FRIEND FOREVER【だんじり狸】②
その後、ラッカが聞いたレンの話を要約すると、こうである。
レンが隣町に住む子供達と遊んでいると、何をきっかけにか、町内の自慢話が始まったそうだ。
隣町の子が言う。
「うちの町にはな『黄昏セイレーン』っていう昔から有名なお化けがいるぞ。黄昏時になると、セイレーンが歌を歌うんだぜ!まあ、黄昏時ってのがどういう時なのかは知らないけどさ……。どうだレン。お前の町にはそんな有名なお化けはいないだろう?」
そう言われると売り言葉に買い言葉。レンはムキになって反論してしまう。
「へん、うちの町内にもお化けはいるやい」
「なんだよ?それなら名前を言ってみろよ」
レンは胸を張り、自信満々に言い放つ。
「ああ、うちの町内には『夕立吟遊詩人』がいるんだ」
それは死んだ父親が教えてくれた幽霊の名前だった。レンの住む町内には「夕立吟遊詩人」というものがいて、夕立の降る日に雨宿りをしながらリュートを弾くお化けがいるのだと。
だが、隣町の子供達はレンを笑い飛ばす。
「『夕立吟遊詩人』?そんなお化けは聞いた事ないぞ。嘘っぱちだな!」
必死に首を振るレン。
「嘘じゃないやい!死んだお父ちゃんが教えてくれたんだ!」
「へん。だったらお前の父ちゃんも嘘つきだ。嘘つきの子供は嘘つきだ!」
「やーいやーい嘘つきの子!」
子供とは時に残酷である。「嘘つきの子!嘘つきの子!」と、周りもはやし立て、指を差して笑う。
「父ちゃんの悪口を……言うなああああ!!」
レンは怒りに顔を真っ赤にして掴みかかるが、多勢に無勢、よってたかって袋叩きにあってしまった。
そしてボロボロになり、泣きながら帰る所に、ラッカとぶつかったのだ。
「そうか……そういう事があったのか」
ラッカはレンの服についた土や汚れをはたいてやりながら呟いた。
――いやはや、子供の喧嘩だが……酷い事をしやがる。こいつは大人げない大人の出番かもしれねえな。
物騒な事を思い浮かべながらラッカが鋭い視線を地面に落としたその時、レンが涙声で話しかけてきた。
「ねえ、ラッカおじちゃん……」
「ん?なんだレン坊?」
「……夕立吟遊詩人、いるよね?」
「……」
「夕立が降ると、リュートの音が聞こえてくるんだよね?お父ちゃんは嘘つきなんかじゃないよね……?」
「レン坊……」
すがるように見上げてくるレン。その無垢な瞳をしばらく見つめる。それからラッカはふと空を仰ぐと、ポツリと呟いた。
「そういえば、今日は雲が厚いや。夕方に一雨来そうだな……」
「え?」
そして、ラッカはレンに振り返り、満面の笑みを向けて言う。
「家に帰って聞いてなレン坊。今日は絶好の夕立吟遊詩人日和だぜ。奴さん、リュートを鳴らすに違いねえ」
「……うん!」
その言葉でようやく、レンの表情が笑顔で晴れ渡った。




