天狼サマの拾い物
「え、何これ?」
間抜けた話だけど、それがあたしの第一声だった。
今日も寒いなぁと思いながら、手袋&マフラー&イヤーマフの3点セットをきっちり身につけ、1限目から始まる講義のために大学へ向けて出発進行!したはずだった。
バス停に向かう道のりで、ちょっとふわっとした感覚があった。
だからって、一瞬後に森の中とか意味わかんないんですけど!
「ちょ、あっつい!」
手袋&マフラー&イヤーマフの3点セットを外してトートバッグに押し込み、コートも脱いでバッグに引っ掛けるとようやく適温になる。
いや、適温になる、じゃない。明らかに冬の気候じゃないよね、これ。春か秋か、そんな気温だよ。
仕方なく、ほてほてと歩き始めたけど、見事なぐらいに景色は木・木・木。植生の関係なのか、足元には短い草しか生えていないのが幸いか。もっさぁって生えてたら、歩くのも一苦労だったろうし。
「とりあえず歩いてみちゃったけど、どっちの方向が人里か、なんてサッパリだよねー……」
もしかして遭難フラグ? とは怖くて口に出せない。だって、言霊信仰のある日本に生まれた人間だからね!
当てもなくとぼとぼと歩き続けること30分、あたしの耳にガチャガチャと金属を擦り合わせるような音が届いた。
鳥の声は聞こえるけれど、獣の姿は見ていない。さすがに、ガチャガチャと音を鳴らす猛獣なんていないだろうから、これはまさかの第一村人発見か?
「だー……」
れかー、と呼びかけようとしたあたしは、慌てて口を噤んだ。
「早く探せ! 何としても我らが先に見つけるんだ!」
「決して他国の奴らに遅れを取るんじゃないぞ!」
よく響くダミ声は、あたしに恐怖を呼び起こした。別に男性恐怖症というわけではない。けれど、まるで怒鳴るような荒々しい声に足が竦んだのもまた事実。
でも、どんどんと音と声が近づいてくる。なにやら人探しをしているらしく、エーコーノオトメと呼びかけているようだった。人の名前なんだろうか?
「おい、そこの人間」
「ひゃっ!」
ガチャガチャと音を鳴らして歩く一団に耳を澄ませていたあたしは、突然、すぐ後ろから話しかけられて、悲鳴を上げた。
何、いつの間に後ろに人なんて―――
振り返ったあたしは、口をあんぐりと開けて見上げてしまった。
すぐ後ろにいたのは、大きな獣だった。
真っ白な毛皮を持つその獣は、喩えて言うなら、犬に近い。あたしの知っている犬種はそれほど多いわけではないけど、ドーベルマンがゴールデンレトリーバー並みに長毛になったら、きっとこんな感じ。風に揺れる毛はさらさらとして触り心地も良さそうなんだけど、残念なことに、厳しい顔つきが近寄りがたい雰囲気を出している。
それに何より、大きさが問題だ。伏せのように腹ばいになっているくせに、その頭はあたしが見上げるような位置にある。頭の天辺までで3メートルぐらいはあるんじゃないか。
問:その高さってどういう状況を引き起こすでしょうか?
答:大きな口がほぼ真正面に見えます。
やばい。どうしよう。こわい。これ、オレサマ オマエ マルカジリ、ところじゃなくて、丸呑みだよ。噛まずにごっくんできるレベル。
「何を呆けている。お前だ」
「あ、ああああたし、ですか?」
「そう脅えるな。何もとって食いはせん」
無茶を言わないでいただきたい。
口元からのぞく鋭い犬歯とか、その奥に見えるゴムパッキンみたいな黒っぽい歯茎とか、脅えない理由がない!
「お前が我がテリトリーに来たおかげで、うるさくてかなわん」
「テリトリー……? す、すすみません。でも、あたしも、どうしてこんな所にいるのか、分からない次第でしてっ」
「分からない……?」
目の前の巨犬はあたしの目の前で、鼻をスン、と鳴らした。
「なるほど、お前がそうか」
「そう……?」
「暇を持て余した神の遊び、その産物」
えーと、お笑いの題目か何か? それとも乙女ゲー? よく知らないけど。
あたしと巨犬が話している間も、ガチャガチャとうるさい金属音は近づいてくる。どうしよう。向こうは人間、だよね? 目の前の巨犬よりも、人間を選ぶべき……っていうか、本当に人間なんだろうか?
せめて人間かどうかだけ確認しようと、後ろを振り向いたあたしは、突然、ぐいっと襟首を引っ張られた。
「ぎゃっ」
色気も何もないない悲鳴を上げて、すてん、と転がったあたしは、何だか巨大サイズの肉球にぺいっとコロコロされて、うつぶせになる。それでもバッグを手放さないあたし、偉い!
なんて自画自賛したのも束の間、上から毛布がかけられた。違う、これ毛布じゃない。天然100%の毛皮だ。
「ちょ、何……」
「黙っていろ」
巨犬はどうやら、うつぶせにしたあたしの上で、腹ばいになったらしい。重くないのは体重をかけないようにしてもらっているからか。まぁ、そうでなければぺっちゃんこで煎餅になってるんだろうけど。
でも、なんで?
あまりにも材料が少ない中、どうしてこの巨犬がそんなことをするのかをウンウン唸って考えていたら、ガチャガチャと音を立てていくつもの足音が近づいて来るのが分かった。地面に伏せているから、余計に振動が伝わる。
「我がテリトリーに何の用だ」
「……っ! 神獣? もしやテンローサマでいらっしゃいますか!」
ダミ声が大きな声で発言した。
テンローサマ? いや、テンロー様か。この巨犬はテンローっていうのか。
「テンロー様も神託はお聞きになりましたでしょう。この樹海にエーコーノオトメが降臨された、と!」
「なるほど、貴様らはアレをそう解釈したのか。それで、彼の存在を手にいれんと我がテリトリーに侵入したと」
「テンロー様におかれましては、騒がしくしてしまうこと、誠にご迷惑をお掛けして申し訳ございません! ですが、他国にエーコーノオトメを連れ出されるわけにはいかんのです!」
「―――ふん、勝手にするがいい。だが、忘れるな。我がテリトリー内で無体をするようなことがあれば、その報い、必ずや貴様らに降りかかるだろうよ」
「はっ! 無益な殺生はいたしません! オトメさえお救いできれば、我々はすぐさま樹海より出ていきます!」
ダミ声はボリューム調整のつまみが壊れているのか、ここまで近いというのに、やたらと大声を張り上げていた。
ガチャリ、と複数の金属音が揃って鳴ったかと思うと、また足音とガチャガチャという金属音を鳴り響かせながら遠ざかっていった。じりじりと匍匐前進で毛皮の下から這いずると、陽光を反射して銀色にぺかぺかと光る鎧の群が遠ざかっていくのが見えた。なるほど、さっき揃って鳴ったのは、大方、敬礼でもしたんだろう。
「……聞こえたか」
「うるさかったです」
いつまでも下にいたいわけじゃない。立ち上がって、パンパンと服についた土を払う。さすがトートバッグは匍匐前進に邪魔で手放してしまったので、両手は空だ。
「えぇと、テンロー様?」
「間抜けた発音だな」
「え、でも、さっきの人達は―――」
「天狼だ」
巨犬の言葉に、何故かあたしの脳裏に、しっかりと漢字が思い浮かぶ。天狼、なるほどピッタリだ。心の中だけとはいえ、巨犬なんて呼んでごめんなさい。
「えぇと、天狼様。とりあえず、人里に向かう方法を教えていただけるとありがたいのですけど―――」
「ほう。人の下へ行くか」
「え? 人の居る所へ向かうのは、迷子としては当たり前の―――」
あたしの言葉に、何故か天狼様がグルルと喉を物騒な感じに鳴らしたので、思わず半歩下がる。
「察しの悪い娘よな。お前が『栄光の乙女』だというのに」
「え?」
栄光の乙女……? あぁ、さっきの鎧さんが口にしてた「エーコーノオトメ」ってそういうことか。
……って、はぁぁぁぁっ!?
「えぇと、何か誤解がおありで?」
「誤解ではないだろうな。お前、界渡りをしただろう」
「界、渡り?」
「こことは異なる軸の世界から来た、ということだ」
えー……?
あれですか、異世界トリップとかいう、ラノベあるあるな感じの、もうお腹いっぱいな設定ですか? ついでにチート特典多用して無双&ハーレム作っちゃう的な?
「お前から神気の残り香がする。おそらく、神に引っ張られたんだろう」
「な、んで、ですかっ! あたしは別にそんな―――」
「神に理屈などない、おおかた」
ドドドドドド……
地響きが足元から伝わる。なんだろう、これ。
「別口か、また面倒な」
「え?」
「栄光の乙女とやらを探しに来た輩だ」
「だからその栄光の乙女って」
「話は後だ、引っ込め」
「引っ込めと言われても……ぷぎゅっ」
頭を大きすぎる肉球で押さえつけられ、あたしの意識はあっさりと暗転した。
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目を覚ますと、そこは映画のような世界だった。
薄暗い洞窟の中、壁の鉱石がまだらに光を放っている。これはあれだ。ジブリだ。天空の城に出て来た坑道だ。
などと現実逃避はさておいて、とりあえず薄暗い中で自分の状況を確認。ケガなし。服よし。
白っぽい分厚い布の上に寝かされていたのは、誰の仕業だろう。この布、やけにガサガサ言うな……って、下は干草か。洞窟の中なのにお日様の匂いのする干草ベッドとはいかに。それに、干草ベッドって、アルプスの少女な世界じゃないか。
「誰か、いませんかー……?」
小さな声で囁くように呼びかけてみるも、返事はない。
仕方がないので、入り口を目指して歩き出してみると、十歩もいかないうちに広い空間に出た。そして、そこにデデンと寝そべっているのは、……薄暗い中でも分かる、真っ白な毛並みの天狼様だった。
「起きたのか」
「おはようございます……?」
とりあえず、前足パンチの届かないラインで立ち止まり、ぺこりと頭を下げる。
「体調はどうだ?」
「えと、別に不調はないですけど、……あたし、どうして寝てたんでしょうか?」
その質問に、天狼様が、ふい、と顔を逸らした。
「急ぎ隠そうとしたのだが、我の手が勢いよく当たってしまったようでな」
「……手、って、その極太巨大な前脚ですか?」
「……」
「……」
なるほど、どうやら悪かったと思ってくれているらしい。そういう感情が見えてしまうと、なんだか一方的に恐れるのもバカらしい気がした。
「天狼様、もう一つ、お伺いしても?」
「何だ」
「森で会った鎧の人が、神託がどうのと言っていたと思うのですが、どういったものなのでしょう?」
天狼様はその金色の目でじっとこちらを見ると「お前には説明しておいた方がいいのだろうな」と呟き、座るように言ってきた。
きちんと拝聴するのだから、ここは正座かな、とジーンズを履いた足を折り曲げようとしたら、ぶぅん、と唸る尻尾があたしの背中を押してきて、よろけるように前脚キルゾーンに足を踏み入れてしまった。
「あ、の……」
「地に直接座るはつらかろう。我が身に体を預けるがいい」
「体を……、て」
それは、寄りかかれとか? このもふもふした体に? 天狼様って偉いんじゃないの? 不敬罪とかで、前脚べちんされたりしない?
「遠慮するな」
「は、あ……」
そこまで勧められると、たぶん断った方が不敬かな、という判断のもと、あたしは天狼様の脇腹のあたりに背を預け、体育座りをするように膝を抱えた。
「1月ほど前だったか、その神託が降りたのは。『近く人間の乙女を下界に降す。庇護せしめる者は幸福を約束されるだろう』といった内容だったか」
「幸福? 栄光ではなくて、ですか?」
「神託は受け取る者によって解釈が変わる。言葉として降りるものではなく、概念が伝えられるものだからな」
「なるほど……」
ということは、人によっては栄光を約束させる、というふうに解釈できた、ということなのかな。
「半日ほど前だったか、光の柱がこの樹海に立った。我は面倒なことになったと思いながら、その光の柱の立つ先へ向かったのだが、着いたときには誰もおらんかった」
「……あぁ、あたし、すぐに歩き出したから、ですね」
「であろうな。幸いに神気がぷんぷん匂ったのでな、それを辿ってみれば、お前に行き着いた、というわけだ」
「なるほど」
なるほど?
いや、全然、『なるほど』じゃない。
そもそもの疑問、どうしてあたしがこんな目に、というところがサッパリ分からないままだ。帰れるんだろうか。
「お前はどうするつもりだ?」
「分からない。……どうしてあたしなんかが、こんなことになってるのかな。帰らないと、家族も友達も心配して―――」
「心配はしてないだろうな」
「は?」
なにそれ。家族や友達があたしのことを見捨てるぐらい薄情だって言うの? さすがにそれは―――
「お前が寝ている間、ちょいと調べてみた。我もこの身は神ほどではないが神に近しい存在なのでな」
「調べて……?」
「まず、なぜお前が、という疑問について話そうか」
ぐり、と首を動かせば、こちらを見つめる金色の瞳とばっちり視線が交差した。
「おそらく理由はないのだろう。神は退屈して世界を揺らそうとしたに過ぎん。材料を探しているときにお前を見つけた。それだけだ」
「見つけた、て、あたしは―――」
「お前は稀有な存在だ。いや、稀有な存在だったというべきか。おそらく、お前の世界の神が何かに使う予定だったのかもしれん」
だめだ、天狼様の言っていることがさっぱり分からない。稀有な存在? 単なる大学生のあたしが? 言っちゃなんだけど、幽霊の存在も感じたことないし、超能力だってない、学力だって平均ちょい上ってぐらいだ。
「お前の存在値は、通常の人間のおよそ2倍だったようだな。だからこそ、その半分をこちらの世界に引きずり込んだのであろうよ」
「そんざいち?」
「人が一人存在するがゆえの値。まぁ、他に言いようがないのでな。そういうものだと思えばいい」
「ちょっと、待って、半分? 半分ってことは―――」
やだ、それは考えたくない。考えられる限り最悪の想定が脳裏をよぎる。
「察しがよいな。残り半分は、お前のいた世界にそのまま残されている。服や持ち物は神が複製したのだろう。無生物であれば複製はたやすいゆえな」
「……今、あたしが、二人いるって、そういうこと?」
「お前を調べた結果、そういう結論が出た。片方はそのまま元の世界で暮らしているのだろうよ」
なんだ、それは。
だって、それなら、あたしには、帰る場所なんてない、ってことじゃないか。
「それで、何とする?」
「……?」
天狼様の金色の瞳は、あたしに向けられたままだった。その瞳に労わりの色があるのは気のせいだろうか?
「人の国へ行けば、栄光の乙女、栄華をもたらす乙女と崇められ、暮らしに困ることはなかろうよ」
「で、でも、あたしにそんな力なんてない。あたしは、単なる学生で―――」
「界渡りの際に、神より何ぞ祝福を受け取っているかもしれぬぞ?」
「祝福って言われても、だって、そもそも崇められるなんて」
ぞくり、と鳥肌が立った。あたしの専攻は宗教史だ。神だ、聖女だ、預言者だ、と崇められた人の大半は、栄光とは逆の不遇・非業の死を遂げていたりする。よしんば、その地位にあり続けたとしても、その先にあるのは、人ではなく神格化された存在という位置づけだけ。別に贅沢がしたいわけじゃない、普通の人生を生きたいだけなのに……
ぽろり、と涙がこぼれた。
「っ! 選べぬというのであれば、ここにおいてやっても構わぬぞ?」
「天狼様……?」
「即答できぬということは、頭の回転は悪くないのであろうよ。愚かな者ほど目先の利に食いつく。お前にはそれがない。……我も暇を持て余す身ゆえ、話し相手に事欠いておる」
あぁ、目の前の獣は優しい人だ。いや、人じゃない。獣だ。
こうやって、困惑しているあたしを受け入れてくれようとしている。牙とか怖がってごめんなさい。
でも、その前に、確認だけ。
「……天狼様は、お食事は何を?」
「木の実や野草だな。たまに人間が貢物を持って来るから、それを口にすることもある」
「お肉は?」
「――人肉は食わぬぞ」
ぶぅん、と尻尾が唸って、あたしの頭をぽんぽん、と軽くはたくように撫でた。
よし、食べられるフラグはないみたいだ。
「堀宮早紀、です。よろしくお願いします」
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そんなわけで、同居させていただくことになった天狼様に対し、あたしがいったいどんなお返しをしているのかというと……
「もう少し、下だ」
「このあたりですか」
「あぁ、そこを重点的に頼む」
同居を始めてから一週間。意外と快適な洞窟生活を過ごしていたあたしだけど、やっぱり何もしない、というのは精神的にちょっと。ニート志望にはなりたくなかったし。
最初は細々とした物の整理なんかを、自主的にさせてもらっていた。樹海を守護する天狼様には、近隣諸国から貢物が届けられるらしく、かといって天狼様には不要なものが大半なので、洞窟の奥にしまいっぱなしになっていたのだ。宝石やら反物やら刀剣やら鎧やら、人にとっては価値あるものでも、天狼様が使えるわけでもないし、使う必要もない。近隣の集落からの豊作のおすそ分けの方が、ずっと有用だとボヤいていた。
で、そこで見つけたのだ。宝石でゴテゴテと飾り立てられていたブラシ(特大サイズ)を。天狼様本人も、貰った当初は気になっていたものの、自分では使えなかったとのこと。それでしまいっぱなしですっかり忘れていたらしい。
これぞ我が仕事! と思い込んだわけじゃないが、あたしはせっせと天狼様をブラッシングする日々を過ごしている。
「うむ。そのまま背筋の方をやってくれ」
「はーい」
残念ながら、天狼様に比べるとずっとミニマムなあたしは、たまに背中に腰を落としたりしながら、せっせとブラッシングを続ける。馬の毛でできているというこのブラシ、梳けば梳くほどつやつやペカペカになる素敵ブラシなので、汗水垂らしながらブラッシングを終えれば、天狼様のもふもふっとした毛もつやつや二割増し! 本人も気持ちいいらしくて、ご機嫌なのである。
「サキ」
「はい、次はどこですかー」
「意外と嘘ではなかったのかもな」
「何がです?」
「神託だ」
「栄光の乙女ってやつでしたっけ?」
「あぁ」
「……? あたし、何かしました?」
「ずっと神獣と崇められて一人だったからな。こんな幸福が手に入るとは思わなかった」
「……」
「幸福をもたらす乙女、神託の通りだ」
「ちょ、誉めたって何も出ませんからね!」
今日も今日とて、天狼様とあたしの凸凹な同居生活は続くのだ。