何だかんだで、アストにいいように操られる魔王
久方ぶりの更新でっす。
自動文字下げ機能を習得しました。てれってれー♪
レベルが上がった。だが知能は上がらなかった。
だからこんな感じな内容になりました!!
「アスト…余はもう駄目だ……後はお主に託す」
「いえいえ私なぞ、魔王様の足元にも及びませんので、後を託されても困ります」
「ブンギャーブンギャーアンギャー!!!」
泣きわめく赤子…リュシーの声と、その周りでとある事をしなければならず、お互いに押し付けあう魔王と、アストの姿があった。
「こんな時ばかり余を敬いおって、調子のいい奴であるな?」
「そんな事は御座いません。こういう時にこそ、魔王様の地位がものを言うのです。さあ、手早くお願いしますね?」
「余の地位って、リュシーのオムツを取り替える事と関係ないのではないか?」
「………………………手が止まっていますよ?オムツ替えの鉄則は手早くです。説明したでしょう?」
「ウヌウッ…。最初の間が気になるが、リュシーのオムツを早く替えてやらねばならんのも、アストの言う通りではあるな」
実は現在二人が挑戦しているのは、リュシーを育てるに中り、避けては通れないオムツの取り替え作業である。
スヤスヤと大人しく眠っていたリュシーであったが、数時間置きに泣き出す…いわゆる夜泣きである。
最初は突然泣き出したリュシーの周りで、右往往するしかなかった二人であったが、エキドナを再び召喚してイロイロ教えてもらったのである。
エキドナはリリスと違い優しく丁寧に赤子について教えてくれ、また何かあったら何時でも呼んでくれて構わないとまで言ってくれた…。素晴らしい悪魔である。リリスにエキドナの爪の垢でも煎じて飲ましてやりたい位である。
「あうあっ…きゃっきゃっ…だぁ~」
「よしよし…ご機嫌になったなリュシーよ。尻は綺麗に拭けたぞっと。次はオムツを装着させるのだな?」
「魔王様、少々お待ち下さい。エキドナに書いてもらったメモによりますと、オムツを装着させる前にこのパウダーなる粉を、リュシーのお尻に付着させてやるそうですよ?」
アストがスッと差し出してきた缶には、白い粉がギッチリと入っている。
「フム…。オムツ装着の前に、粉を付着させるのだな?………しかし何の儀式なのだそれは?」
「赤子は肌が敏感なため、直にオムツを装着させると、蒸れて大変…と、メモには書いてありますが…詳しくは書いてありませんね…。ですが必須と赤い文字で書いてあるので、絶対に必要なんでしょう」
「……………まあ、必須と書いてあるならば、やらねばなるまい。いざッ!!」
パタパタ……パタパタ……ポンポン……ポンポン。
リュシーのお尻にパウダーをはたく音が静かに響く。そして真剣に取り組んだ結果、
「ゲホッ…ゲホゴホ……オエッ………オエエッ…」
魔王はパウダーで大いに噎せたのであった。
「ゼーハーゼーハーゼーハー………」
「大丈夫ですか?全く……この様な粉ごときに噎せられて……もう、お歳なんですかねぇ?」
「なっ…何を言って…ゲホゲホッ……。余はピチピチの…………何歳だったか………まあ…一億歳位だったか…?」
「はあっ?魔王様は、去年も一昨年もずっと一億歳っておっしゃってましたよ?」
自分の年齢を忘れるほどには、生きている魔王であった。
「じゃあ、余は永遠の一億歳って事で………」
「一体何をおっしゃっているのですか?頭に蛆か何かが湧き出しでもしましたか?」
「冗談だったんだが………」
「ハイハイ…そんな事より、口よりも手を動かしましょうか?ムービングハンドですよ」
いつもと変わらず塩対応なアストの反応に、しょげながら魔王はリュシーにオムツを装着させた。
「きゃっだぁ……あぶー……うにゃあ………」
ご機嫌なリュシーと、一仕事終えた感の漂うアスト(実際は指示を出していただけ)と、萎びたモヤシみたいになってしまった魔王の三人が居る部屋に、勢いよく駆け込んで来る者が居た。それは、
「たっ大変だぜっ!!天使どもがこの地界に侵入してきたっ!迎撃に行かなきゃならねぇぞ!」
ベルゼであった。そしてそのベルゼが空を指差しながら、慌てた様子で部屋に入ってきたのだが、アストはリュシーと戯れていてベルゼを無視。
そして、魔王は気付いてはいけない所に目ざとく気付く。
「ほう……天使どもが…なぁ…。うん?それよりもベルゼ……どうしたのだ?」
「はっ?どうしたって…何がだ?」
主語が無い魔王の問いかけに、首を捻って聞き返すベルゼ。
「いや…その両手首…痛くないのか?」
「……っ…………………」
ベルゼは顔色が紙のように真っ白になり、そのまま動かなくなってしまった。
「ベルゼよ?おかしい…。アストよ、ベルゼが突然動かなくなってしまったのだが………」
魔王に話しかけられたアストは舌打ちをし、その後にこう言った。
「チッ……。昨日リリスに連れてかれたでしょう?
原因はそれですよ、間違いなくね。もう忘れられたのですか?流石はバ……魔王様ですね?」
「今お主…余の事をバカって言おうとせんかったか?」
「イエイエ…とんでもないですよ?バ……魔王様に向かってその様な事を言うわけがないじゃないですか………………………………」
「えっ?やっぱり余の事をバカって言ってるよな?それに何なのだ?その最後の間はっ!」
「空耳でしょう。魔王様の戯言は置いておいて、ベルゼが言っていた天使が気になりますね……」
「あっ……。余の事とベルゼの事は?」
魔王の発言はアストに無視されて居る様で、アストは一人でブツブツ言っている。
「この部屋のバルコニーからも見えるでしょうか………」
「完全に余の話は無視であるな……はあ~………」
魔王の切ない呟きがまた哀愁を誘うのであった。
今後も更新は鈍ガメになりそうです。
気長に…お待ちいただけると…有り難いです。