搾り出せっ!
誤字脱字はいずれ直します。一応書き上がったので。
「いっ…今の叫び声は何なんだっ!!」
ドタドタと大きな足音を響かせながら、ベルぜまでやって来てしまう始末……。
そこでベルゼが見たのが、片腕に赤子を乗せ、尚且つもう片腕でアストを拘束している魔王の図であった。
これはベルゼが勘違いをしてしまっても、仕方がない場面であった。
ベルゼがブルブル震えながら、こう言い放った。
「お…お前ら、そうか…そう言う事だったんだな?全然女遊びをしないと思ったら……二人は……出来ていたんだな?」
ベルゼのとんでもない台詞に、言われた魔王はキョトンとし、アストはベルゼを、コイツ遂に頭まで脳筋になったのか?と、いう目付きで睨んで居ました。
流石に脳筋と評されたベルゼでありますが、ここまで二人が慌てる様子も無いので、自分の勘違いだと、察したのでした。別に、アストの刺すような目付きに怯んだのでは、決して……無い。
「す…すまんすまん。俺様の勘違いだったな?HAHAHA……いや、本当に申し訳御座いませんっしたぁ~~~~!!!」
軽く謝り、流そうとしたベルゼであったが、アストの視線が先程よりも、一層冷たくなった為、土下座までしてしまったのである。
魔王はどうでも良いのだが、アストの怨みを買うのは、得策では無い事を、ベルゼは本能的に察して居た。
「ふうっ。ベルゼの事は置いておいて、まず貴方です、何時まで私の拘束をして居るつもりですか?」
アストは、魔王に放せと暗に言って居ます。しかし、残念……魔王には伝わらなかった。
「お前が、余の気持ち(断じて余の子供じゃ無いという事)を落ち着いて受け止められる様になるまでだが?」
魔王の空気が読めないこの発言のせいで、またベルゼが、ヤッパリな~と、言う目線でアストを見てしまう。
「っ……私の事より、先ずはその赤子の説明が先です!」
「赤子?」
ベルゼは今初めて、魔王がもう片方の腕で持って居るのが、赤子だと認識した。しかも、その赤子の背中にあるのは、白い天使の翼であった。
「ほんげぇ~~!!!なんじゃそりゃあ、ま…まさか……拐って来たのか?魔王の癖に……やるじゃねえかっ!見直したぞ?」
アストとは、別の勘違いをしたベルゼは、今まで情けないとか、頼りないと思って居た魔王が、仇敵の天使の赤子を拐って来たという、ビッグニュースにワクワクが、止まらないのであった。
「おい、大体1000年ぶりか?天使共との、戦いは?腕が鳴るぜっ!」
テンションが最高潮のベルゼに、水をかける出来事が発生する。
それは、赤子が魔王に抱き抱えられて居るのに、泣き出したからである。
「あんぎゃ~~~~。ふんぎゃ~~~~」
「なっ…どうしたのだ?何故泣くのだ?余が抱っこして居るのに?」
「うるさっ…。どうにかして下さいっ!耳が…」
「口を塞げば、良いんじゃねぇの?」
ベルゼの案を採用すると、泣き声は止まったが、息も止まるという事態に陥った為、今後はベルゼの意見はほぼ不採用と、決まったのであった。
「あわわわ……そうだっ!コヤツ産まれてまだ、飯を食しておらん、それではないか?」
「そっ!それですよ、きっと!私も同意見です!」
「俺様も……「「お前は、黙ってろっ!」」………はい……」
ベルゼの同意は、却下された。
「赤子は、何を食すのだ?オーソドックスに生肉とかか?」
「いえ……乳とかでは?」
「ふむ。乳か……。ではアストよ、宜しく頼む。チャッチャと搾り出して、コヤツに飲ましてやってくれ……」
「何を仰っているのですか?バカですか?バカでしたね?」
「失敬なっ!余は、バカでは無いっ!だが、余は男だ……乳は、出ない!!」
「はあっ!?それならば、私も出ませんよ?」
「何でだ?気合でどうにか搾り出すのだ!」
「………………まさかとは、思いますが、私の性別……分かってますよね?」
「何を今更言っておるのだ?お前は女………じゃ……ろ?」
アストの怒りが、頂点に達したのであった。
「貴方はっ!何億年っ!一緒にっ!居るとっ!思ってっ!るんですかっ!!私は男ですっ!!!」
「「ふぎゃ~~~~~~~~~~~~」」
赤子と魔王の泣き声が、重なったのであった。
はい、魔王はずっとアストが女だと勘違いしてました。
女にしては、身長でかいなぁとか、女にしては、胸無いなぁとか、思ってましたがそういう種族なのかな?と、思ってたんですよ。
駄目男です。節穴です。