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しゃしょり座なのじゃ!  作者: 桜林路 はぴ
花津色の章
8/66

金の小枝

 赤鸞の後尾が跳ね上げられ、板額は大鎌を弾き返されて、摩天楼の夜空に飛び残される。

(多少削られはしたが、刃筋を逸らせば斬撃もどうにかなるぜ)

(咄嗟!出番取られちゃったかな)

ひびき!言えっ!お前ら何やってる!?」

「語れば周くんの退路を塞ぐ事に!」

「言えっ!お前が何を抱えていようが、俺に何が降り掛かろうが!一撃に賭ければ、後から先行きに何かが見えてくる!言えっ!」

「ぼくらが賭けているのは『女王』!」

「取り合ってんのか!?」

「宇宙の為に!」


(フィーバー南淡町ー!)

(今夜も朝までグイグイはじけて、お楽しみ下さい!)

(ニイさんお強い!)

 極彩色の照明が、薄明かりの店内を巡り差している。

「ふむ。動き出したか」

寿永じゅえい勢を中心として、平家が事を構えておる様子」

「景清の忠勤、天晴あっぱれ。されど我等は、彼奴きゃつ等のいくさをこそ利するべき」

「女王の力。手中に収めるのは我等よ!」


挿絵(By みてみん)

 周は、夜気が巨大な呼吸に晒される感覚を覚える。

「何だ?急に追っ手が消えたぞ」

 覇道を慰めるが如き、優しげな笛の音が街路上空に高鳴る。

 周達の目路の先で、金襴きんらん鶴の直垂ひたたれ萌黄匂もえぎにおうの鎧兜を身に付け、金の太刀を佩き、きん紗鎖しゃさが輪郭をかたど綾透あやすきの面頬を当てた、細身の若武者が単車の上に立ち、月光に照らし輝き出されて横笛を口許に構えている。

「あいつ!」

「あれは小枝さえだ!」

 周は、敦盛が伏し目を上げて視線を合わせた刹那、響もろとも単車ごと烈風に吹き飛ばされる。

 突風を遡上して、板額が周に大鎌を振り上げる。

 周は横殴りに加速し、大鎌の襲来に先んじて赤鸞を板額の単車に激突させる。

(体勢を崩して、崩して、崩して、一撃!)

 周が車体当たりでの数度の追い打ちの後、姿勢を崩した板額の単車を烈風の流れへ一挙に蹴り飛ばすと、狙いを逸れた大鎌が、響の『飛竜』を切り裂いた。

「おい!」

「なんとか!」

「嵐を起こして横っつらをはたきに来るか!」

 敦盛が、横笛に粘り付く上唇を奥へ剥がして、涼しい目つきで周を見据える。

「これぞ虎狼の陣!さて、相手になるとは約したものの」

 敦盛が横笛を構え直す。

「あの横笛。やはり小枝さえだ!」

如何様いかさま、こなたまで来られようか?」

 敦盛が『小枝』の唄口の縁を微笑む唇で覆う。

「腰が重てえな。お前のつらにいい音させてやらあ!」

【新生淡路高校】

執印 周 (しゅういん あまね):本編の主人公。あだ名はシュウ。単車の名前は赤鸞 (せきらん)

きよ:謎の女の子。メカフェチ少女ライダー


妙義 稀人 (みょうぎ まれひと):周の友達。あだ名はマレト。

源 綺子 (みなもと あやこ):周の友達。あだ名は元気。


響 彼方 (ひびき かなた):周の同級生?自称、光の忍者


【南淡高校】

平敦盛 (たいらの あつもり):南淡高校の生徒会役員。

伊藤七郎:南淡高校の総番長。響曰く平家最強にして侍大将の「藤原景清」

城板額 (じょう はんがく):南淡高校のスケ番。ゴシック少女。


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