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一種のフラッシュバックですね

ブクマしていただいた方には大変申し訳ありませんでした。あまりにも動がなかったので、少し話を動かしていました。前と対して内容は変わってはいません。

 大好きな父と母から告げられた言葉に私は盛大に喜び、少しみっともないかもしれないが小さな身体を跳ね上がらせた。周りの使用人などは「危ないですよ、お嬢様。 今すぐお止めください!!」と、慌てたように声をかけてくるが知ったこっちゃないわ。

 夢にも思わなかった出来事に飛び上がるのを止めることなんてできやしないわ。これも、私が可愛いからよ、そして父のおかげだ。私の願いはなんでも叶えてもらえるのね!

 嬉しさに舞い上がった私は、もう一度飛び跳ねた拍子にスカートの裾に足を引っ掛けた。グルンと反転していく視界に、私は何が起きたのか理解することもなく、頭を勢いよく打って、気絶してしまった。




「なんてこったい!!!」


叫びにも近い声をあげる私はなんて品のないものだろう。しかし、そんなことは気にしていられないし、それ以前にもう淑女の嗜みとかどうでも良くなってしまった。

 身体にかけられた毛布はどうやら自分の物なので、ここは自室らしい。身体を起し、周りに誰もいないか素早く確認をしてから、もう一度声を上げて叫んだ。


「どうしてこうなったの!!!」


 穴があったら入りたいが……、今はそれどころではない。

 どうやら私、リディア・ファン・ルディアークは転生したらしい。


 前世で私は普通の女子高校生をしていた。もちろん、なにもかもが普通な女の子。しいて言えば、ゲームが好きだったくらいで、それ以外は目立った所もない。顔も頭も運動神経も、ましてや性格もそこそこな人間だったのである。

 現在社会の日本を思い出し、思わず元いた世界と違うなと、6年間ここで生きてきた知識を生かし、この生まれた場所を考えることにした。

 比べるのもあれだが、ここは近未来に近い日本とは違い、科学はそこまで進んでいない。逆に魔法や妖精が飛び交うような世界である。科学の代わりに魔法が発展したということだろう。

 さて、ここは歴史ある中世の世界にも見えるが、どうやら違うみたいだ。言語も日本語だし。

 そうして、考えられるのは、パラレルワールドということである。さて、ここまでは多方予想だが当たっているだろう。

 問題は自分の今までの悪事にある。

 いや、6年間ちょいしか生きていない人間が何、悪事を働いているんだよと、思われがちかもしれないが、子供の可愛いいたずらとはどうも言えない。

 前世の記憶が戻ったことにより、より安定した精神は、生前の私と今の私が混ざりあい、ぴったりと定着した。いや、どちらかというと、生前の頃の方が勝ったかもしれない。それはもちろん重要視しなきゃいけないことかもしれないが、自分の性格など、もうとうにわかりきってる。そうじゃない、今までの性格が問題なのだ。

 言い訳かもしれないが、侯爵家の一人娘であった私は両親や周りの人に十二分に可愛がられて育てられた。それはもう、目に入れても痛くないほどに。おかげで、私はなんと傲慢で高飛車でわがままで意地の悪い性格になってしまったのだ。それはもう、欲しい物はなんでも手に入ると、与えられると思っていたのだ。なんて自分勝手だったのだろう、こんなんじゃ碌な大人になれないじゃないか。


 穴があったら入りたいのはこれが理由なのだが、もうどうしようもない。いい黒歴史だということで、闇に葬り去りたいところだが、そんなことをしている暇があるのなら、周りの印象を変えなければならない。今からでも遅くはないはずだ。周りに怯えや面倒な視線で見られるのはゴメンだし、何よりたくさん迷惑かけてしまった。


「それにしても、今の私とあの時の私じゃ大違いね……」


 ベッドに散らばったふわふわの長い髪を手に取り、思わず自分の容姿を思い出す。比較的地味だったあの頃とは違い、現在はとても派手な容姿だ。

 母親譲りの黄金色の髪に意思の強いエメラルド色の瞳。対し、陶器のように白い肌はもちもちとしていて、柔らかい。ぷっくりとした唇は赤く色づき、その姿は人形のようだ。

 ぱっちりとした瞳につり目がちの瞳はあの頃の私がとても羨ましかった容姿である。


 しかし、どこかで見たことがあるのだが――。まぁ、当たり前のことだ。だって、6年間とは言えないが、今までずっと自分の容姿や母を見てきたのだから、気のせいだろう。



「そういや、私は何をしていたんだっけ――……」


 考える時間の余裕もなく、扉が叩かれる。混濁してしまった記憶は後で思い出すことにして、今はそちらを優先しようではないか。


「お嬢様、お目覚めでしょうか?」


「……はい。 入って」


 聞きなれた声が聞こえ、すぐに入室の許可を出す。一瞬前のような砕けた対応をしてしまいそうになったが、そんなことをしたら、また母に厳しく教えられてしまう。さすがにチクられるのは嫌なので、きちんと対応を取った。


「お嬢様、ご気分はいかがでしょうか?」


 入って来たのは私につきっきりの侍女、アルリダだ。小柄な彼女は私の7つ上である。

 ……生前の私よりも幼い少女に私は迷惑をかけていたのだ。今は私の方が幼いにしろ、不甲斐ない。


「アルリダ、今まで私の面倒をよく見てくれたわ。 どうもありがとう」


 頭を下げる代わりに一心に彼女の瞳を見つめて言葉を放った。ちょっと恥ずかしいが、私の意思表示でもある。

 しかし、アルリダはただ驚いたまま固まっている。何を言われたのか上手く飲み込めていないのだろう。

 それはそのはずだ。前の私ならなんて間抜けな表情をしているのと叱咤していたが、今回は仕方がない。


「お、お嬢様……?」


「なに?」


「只今、お医者様をお呼びいたしますね! お待ちください!」


 礼儀よく、綺麗に失礼しますと、言って彼女は部屋を飛び出して行った。さすがに今のは、怒ってもいいかもしれない。


「まぁ、いっか。 よーし、これから第二の人生頑張るぞ」


 一人残された私はガッツポーズをする。まだ私は6歳。精神年齢を合わせた所で人生の半分は生きていない。

 ――ならば。せっかくのパラレルワールドを楽しもうじゃないか。

 過去に未練はないのかと言ったらいっぱいある。

 しかし、今の私はリディアとして生きていかなければならないのだ。ならば、いっそ楽しい方がいいだろう。


 それでは、私リディアはこの自分が夢に見ていたような世界で頑張って生きていきます!


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