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8 存在意義②

前話見た方が読みやすいかもです。すみません

「何をしている!

ここは公共の店内だぞ!

喧嘩なら市民の居ないところでやれ!!」


あ、ちゃー

しもうた… そうや、この子保安官やった…無理ないな〜


ロナが満足気に男達を睨み付ける…が



「なんじゃぁ…!?

ねえちゃん邪魔せんといてやあ!」



そう言い放ったのは子連れの女性客だった。



「は?」


ロナ本人は当然感謝されることをしたと思っていたので、今の言葉の意味を暫く理解できなかった。

すると次々と他の客やら野次馬やら、さらには店員まで文句を言う。



「折角いいとこだったのに」

「空気読めんなあ!!」

「早よう出てけ!」

「邪魔邪魔あ!!」

と、人々に圧倒されて呆けていたロナの腕が誰かに掴まれる。

その手を即座に払い除けたのはエドだった。

ざわついていた店内が一瞬静まり返る。

エドは周りを人懐っこい笑顔で見回しながら



「すんませんなあ

俺のハニーが粗相やらかしおって…

お詫びといっちゃあ何だが…」

「あ"ぁ"ん?」



突然エドは片手を掲げ

「はあい!!

皆さんここに金貨がございます!誰が一番にこれを手に入られるでしょぉか!!

一番になった方にそれ、差し上げます!

はい、よーいどん!!」


と彼は金貨を放り投げた。

人々は我先にと金貨を追いかけたちまち店内は大騒ぎ。


そのすきに二人は店を脱け出した。



「…な、なんだこの店は!!」


暴徒と化した店内を見ながらロナはやっと絞り出した言葉を放つ。そしてエドを睨んだ。


エドは、ははは〜と困ったように笑う。


「あー…

ロナには先に説明しとくべきやったな〜

あんたが居た町は穏やかなとこやったけえ無理もない。

でもな、ここではこれが普通なんよ。」


「は?」


「つまり、このウ"ィレッタという街自体が不良のオアシスっちゅうこと。

暴力、乱闘すべてが許される、と言うより誰も取り押さえる役目がいないんだ」


「うそだろ…」


「ごめんな…

俺がおるって言ったのに、騒ぎ起こさしてしもおた…」



エドはシュン…となった。



「…!

いや、こちらもすまなかった。

大事な所持金を…」


「…あ、あんた…!」


「どうした?」


「謝れるんやな…!!」


ドスッ

鋭いパンチがエドの脇腹に入る。


「失礼な!」


「うははっ

さっき店ん中で俺を悲しませたお返しや!…って〜」



そう痛みを堪える彼は何だか楽しそうだ。


「んでは、次何買う〜?」




にこにこ野郎は私を催促する。

変なやつ

だけどこっちも笑ってしまいそう…

保安官のときは(今も保安官だが)毎日忙しくてこんなにゆっくり買い物もできなかったな…

少しはこいつのところでのんびりしてもいいか…

休暇だと思えばいい




今日も晴天である。

少ししか歩いていないのにロナの額には汗がにじんでいた。






一方船番組



シャコシャコシャコシャコ


ディールはじめ、他の船番の人々は甲板掃除をしていた。


「エドのお頭の女好きには困っちゃいますよね〜」


船番組の一人が呟く。


「あ"?誰が女好きって?」


「だからエドのお頭っすよー

、ディールさん。

あの女保安官が来てから浮かれまくりじゃないすか」


「あー、てめぇそう言えばこの船に乗ってまだ日が浅かったな。兄貴は別に女好きって訳じゃねぇよ。

新しい仲間が出来て嬉しいんだ。お前が入ってきたときも兄貴あんな感じだったぜ?

それにお前も買い物連れてってもらったろ」


「ん〜…、言われてみれば…てか連れてってもらったっすね〜、俺はかっくい〜短剣買ってもらったっす!

……でも、あいつは生活用品ワンセットっす!」


「それはあいつが女だからだよ!女は俺らとは勝手が違うの!

兄貴もああ見えて、この男だらけのなかあの女をどう扱っていいか色々考えて行動してんだ。それが嫌ならその短剣捨ててこっから出てっちまえよ」


「それはいやっす!!

俺お頭に憧れてこの船乗ったんすから!!

でも、ディールさん流石っすね。お頭のことよくわかってる!!」


「ふ…まーな」


シャコシャコシャコシャコ


「ディールさん。一つ聞きたいんすけど、……………あのお頭の左手って…」


シャコ…

ディールは手を止めた。


「その話はすんなっつったよな…………。てめぇその話兄貴の前でしゃべってみろ、俺がてめぇの喉捻り潰してやるよ」


「ひぇっ………

は、はいっす…

すんませんした…」


ディールは持っていたデッキを彼に乱暴に押し付け、船内に入っていった。






「はあっ」


ボスっとディールは船員たちの寝室にある自分用のベッドに倒れ込んだ。



─兄貴は指を失ってから、泣かなくなった。辛いときも笑って誤魔化すようになった。

いつもの兄貴の笑顔はツクリモノなんだ。

でも、兄貴が心から笑顔になってるってわかる瞬間がある。それは、新しい仲間が増えたときだ。

兄貴が本当に嬉しそうだから、俺も嬉しい…

でも、俺がもっと嬉しいのは兄貴が本当の自分を取り戻すことだ。

…あの保安官は頭に来るが、兄貴をいい感じに振り回してくれそうだよな。


頼むぞ…保安官…



……ああ、少し昔を思い出しちまったよ。

くそ………兄貴……




そしてディールは瞼を閉じた。






ウ"ィレッタという街は奥に行くほど華やかで盛況になっていく。ちょっとした広場の様なところでは、人々が曲に合わせて手拍子をしたり、踊り合ったりしている。



「こんな風に栄えてるのに…、賊のオアシスとはな」


「まあいいじゃないですのん?みんな好きにやってるみたいだからさ」


「お前らもよくここに来るのか…?」


「よくとは言わねーけど、たまに気晴らしに来るよ。

武術大会とかようあるし、店もそれなりにあるしなぁ」


「へーぇ、…私の町では祭のとき以外こんなに騒いではいなかったな…。

ここでは毎日が祭だ」


「ふーん」



…コロナードでもそうやったけど、目ぇキラキラキョロキョロさせよるなぁ〜

もしかして、賑やかなの好きなんか?



そうロナを横目で見るとニヤリと口角を緩ませ、いきなり彼女の左手を掴んだ。



「!?なっ」


「あっちで踊ろうや!!」


「は!?ちょっ」



エドは広場へ駆け出した。




「っなんで私が踊らないといけない!!」



ロナは腕を振り払う。



「え、楽しそうやん」


「…荷物もあるし、何しろ私は踊れない。

もう何も買うものもないし、帰ろう」


「え〜」


「お、エド兄貴」


「あ、お前ら」



エドは部下と鉢合わせた途端、荷物を彼に預けた。



「さっきは怒鳴ってすまんかった。俺も子どもっぽかったな。じゃあ、これよろしく」


「え、ちょ、それ謝る人の態度じゃないっすよー兄貴〜…!」

「行っちまった…」


「なんかお頭って悩み事なさそうだよな…。

俺さっきのこと結構気にしてたのに…。

あの人がああだから、保安官のこともどうでもよくなってきたわ、俺」


「………だな」


「ディールの言う通りだ…」





「やだよ!私は踊れないって言っただろ!!」


「じゃあ俺が教えたろ!ちょいと型崩れした北洋踊りですが。ほい、右手はここで、左手はここ!それっ」


「うわああっ」





「二人とも楽しそうに…」



ロナの艶やかな金髪は日光に照らされ、とても美しく煌めいていた。

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