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4 アカリ①

今回の依頼は、運び屋(郵便配達員)からのものであった。その内容は、

この街のある家に多量の荷物を運ぶというものだったが、その家の位置する場所に行くには一山越えないと行けなかった。

当然多くの人手が必要なのだが、なにしろここコロナードには運び屋が数えるほどしかいない。

「だから私らが行くのか」

「そ。これぐらいやったらあんたの初仕事に丁度よいかと思ってな」

「……………!…もしかして」

エドは優しく微笑むと、ロナの頭をポンポンと軽く叩いた。



彼らが向かった先は役場の倉庫のような所だった。その中には今回の依頼の荷物がある。


「こりゃあ…」


中に入ったロナたちの目の前にあったのは、荷車に乗せられた溢れんばかりの荷物だった。



「よし、運びましょう!これくらいで中々の額が貰えるんすから、安いもんすよ!」

「…そうやな」


と、エドがズボンの左ポケットにずっと仕舞っていた左手を出したとき、ロナはあることに気付く。


「………………」


エドはその視線に気付き、困ったように笑った。


「ああ…これな。…まあ、海の男には色々あるんよ。てか昨日の時点で気付け」(笑)


そう言うと、荷車を押してさっさと外に行ってしまい、船員たちを見ると彼らの表情はどこか苦し気だった。


「…保安官、手のことは追求しないでおいてくれ。……………………………………………………あの人はこの頃笑顔しか見せてくれなくなった。」


「……ディール」










エドの左手の指は3本しかない。薬指と小指の第一間接から先が無いのである。

その断面はキレイに真っ直ぐであった。

まるで、刃物で切り落としたように。










「っかあー!重ぇー!」


「なんだ、もうお手上げか」


「バ…カ言え!!こんなの余裕だよ!!」


ロナたちは山の斜面を登っていた。辺りは木々に囲まれ、頼りは地図と彼らが辿る一本道だけである。

荷は少し分担して持ち、先頭を歩くロナはワインを3瓶持っていた。


「くそ…何であいつは軽いもんを…」


「………………」


彼女が荷車を引くエドの方を見る。


さっきからあいつ何も話さなくなったな…


‘─あの人はこの頃笑顔しか見せてくれなくなった─’


ディールの言葉も気になる…

…一体何が─


「!」


ふとロナは立ち止まった。


「…!どした?」

「………線路?」

「何?」


エドは荷車を部下に任せて彼女に近づく。

そこには道を横切るように線路が走っていた。


「へぇー、こんなとこにトロッコなんか走っとんのか?」


エドは線路の中心に立つ。

ゴロゴロゴロゴロ…

「………おい、なんか聞こえないか?」

「ん?そうがっ」

「「!!」」

「エド!!」 「兄貴!!」


突如現れたトロッコにエドは連れ去られてしまった。


「おい!!保安官!!」


ロナは衝動的に駆け出した。


「あんたらは先に荷物を目的地へ!!あいつは私が!」


彼女は懸命に追い付こうとするが、トロッコはどんどん小さくなっていく…










ガッ


「ぶべっ」ドサッ


トロッコが急停止した拍子にエドは体を投げ出された。


「っ痛ぇー………。 …洞窟?」


見渡すと四方は岩壁だらけで、壁には灯りがともしてあった。

「…!」


トロッコの中から小さな男の子が顔を出している。5〜6歳だろうか、ぷっくりとした頬は淡く赤付いていた。

男の子はパッチリとした目を更に見開いて、驚いた様子である。


二人は暫く見つめ合っていたが、男の子が決心した顔つきで立ち上がるとトロッコの中からワイン瓶3つを先ず出し、よじよじと自分もトロッコの外に脱出した。

そして手に抱えきれない瓶を引きずりながら、足早に立ち去ろうとする。


「おい」


エドの声にビクつき、男の子は立ち止まる。



「手伝おうか?」



















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