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小さな町の小さな港に、ある一隻の旅船が停泊している。その甲板には、一人の男が手摺に肘をつき、自身の変わった形をした左手をなにすることもなくただ眺めていた…。


風に混じり、遠くで警告鐘を叩く金属音が聞こえる──




─朝日が地平線から半分程顔を出したころ、数人の男たちが森林の中を駆けていく。 「っお城の護りがお堅いこと!なんも盗めちゃあいねぇ!!」

「まあ、また今度頑張ろうや」「それより、後ろ!誰も追ってきてないよな?」

「ああ、上手く撒いたみたいだよ。とにかく急ごう、あの人が起きてしまう前に!」

おー!という掛け声とともに男たちは走りを速めた。

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