榊
私の幹を撫でながら
あの方は愛おしそうに
私の名前を
呼ぶのです
お前は、さかき
境の樹
神世と現世を
隔てるもの
私の枝に手を伸ばして
あの方は秘め事のように
私の名前を
紡ぐのです
お前は、さかき
神威の樹
神世と現世を
繋ぐもの
私の葉々に触れながら
あの方は囁くように
私の名前を
呼ぶのです
お前は、さかき
賢者の樹
神世と現世を
成り立たせるもの
私は、さかき
榊の樹
あの方が名付けてくれたから
私は、さかき
榊の樹
呼ばれる限り、
私は、さかき