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不吉な黒髪め!と言われましたが

作者: 井上さん
掲載日:2026/05/13

名前借りました

「お前とは婚約破棄する!」


 王城での夜会。

婚約者のワット王子から婚約破棄を言い渡された。


「まぁ!理由をお伺いしても?」


 私、オームは冷静に聞いた。


「白々しい!お前は私が愛するアンペアをいじめた!お前みたいな性悪女とは婚約破棄するに決まっているだろう!」


 ワット王子が叫んだ。


「そうですか」


「澄ました顔をして!前から気に入らなかったんだ!」


 むしろ、そっちが本音では?


「そうですか」


「アンペアはこんなに可愛いらしいのに!お前といえば!この不吉な黒髪め!」


 ワット王子が叫ぶと、横から声が聞こえた。


「それは私を侮辱しているのか?」


 隣国の王太子ジュールだった。

黒髪である。

隣国の人は、ほぼ黒髪である。


「そんなつもりは…」


 隣国は、我が国より領土も勢力も大きい。逆らえない。


「そんなつもりが無ければ無礼ではないと?」


 ジュール王太子が冷たく言った。


「そういうわけでは…」


 ワット王子の顔が青褪めた。


「では、どういうわけだ」


「王太子の事ではなく、この女の事です!」


 ワット王子は、私を指差した。


「オームは私の従姉妹だから、髪色が同じでも不思議はない」


 ジュール王太子は、私の顔を見た。


「従姉妹!?」


 ワット王子は、目を剥いた。


「知らなかったのか?」


「は…はい…」


 いや、有名だが?


「私の母の妹、つまりオームの母が、この国の公爵家に嫁いだのだ」


「知りませんでした」


 素直ですねワット王子。


「知らなかったら罪にはならないと」


「そんなわけでは」


「お前は言い訳ばかりだな」


 呆れたように言うジュール王太子。


「こんなくだらない夜会など、さっさと帰ろう。オーム」


 ジュール王太子は、私をエスコートして、夜会会場から連れ出してくれた。





 隣国との架け橋になりそうだった私との婚約は破棄され、国に損害を与えたワット王子は浮気相手のアンペアと共に、慰謝料を私と隣国に払い、国境の戦場に追いやられた。


 ワット王子、私と婚約した時から、嫌な顔してたもんね。

私も嫌だったから、婚約破棄してくれて嬉しい。




 その後、私はジュール王太子と婚約した。


「幼い頃は、可愛い妹だと思っていたんだが……私の可愛い婚約者オームよ」


「私も、格好いい兄様だと思ってましたよ。格好いい婚約者ジュール様」


 私達は、なんだかんだで、上手くいっている。


読んでいただきありがとうございます

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