不吉な黒髪め!と言われましたが
名前借りました
「お前とは婚約破棄する!」
王城での夜会。
婚約者のワット王子から婚約破棄を言い渡された。
「まぁ!理由をお伺いしても?」
私、オームは冷静に聞いた。
「白々しい!お前は私が愛するアンペアをいじめた!お前みたいな性悪女とは婚約破棄するに決まっているだろう!」
ワット王子が叫んだ。
「そうですか」
「澄ました顔をして!前から気に入らなかったんだ!」
むしろ、そっちが本音では?
「そうですか」
「アンペアはこんなに可愛いらしいのに!お前といえば!この不吉な黒髪め!」
ワット王子が叫ぶと、横から声が聞こえた。
「それは私を侮辱しているのか?」
隣国の王太子ジュールだった。
黒髪である。
隣国の人は、ほぼ黒髪である。
「そんなつもりは…」
隣国は、我が国より領土も勢力も大きい。逆らえない。
「そんなつもりが無ければ無礼ではないと?」
ジュール王太子が冷たく言った。
「そういうわけでは…」
ワット王子の顔が青褪めた。
「では、どういうわけだ」
「王太子の事ではなく、この女の事です!」
ワット王子は、私を指差した。
「オームは私の従姉妹だから、髪色が同じでも不思議はない」
ジュール王太子は、私の顔を見た。
「従姉妹!?」
ワット王子は、目を剥いた。
「知らなかったのか?」
「は…はい…」
いや、有名だが?
「私の母の妹、つまりオームの母が、この国の公爵家に嫁いだのだ」
「知りませんでした」
素直ですねワット王子。
「知らなかったら罪にはならないと」
「そんなわけでは」
「お前は言い訳ばかりだな」
呆れたように言うジュール王太子。
「こんなくだらない夜会など、さっさと帰ろう。オーム」
ジュール王太子は、私をエスコートして、夜会会場から連れ出してくれた。
隣国との架け橋になりそうだった私との婚約は破棄され、国に損害を与えたワット王子は浮気相手のアンペアと共に、慰謝料を私と隣国に払い、国境の戦場に追いやられた。
ワット王子、私と婚約した時から、嫌な顔してたもんね。
私も嫌だったから、婚約破棄してくれて嬉しい。
その後、私はジュール王太子と婚約した。
「幼い頃は、可愛い妹だと思っていたんだが……私の可愛い婚約者オームよ」
「私も、格好いい兄様だと思ってましたよ。格好いい婚約者ジュール様」
私達は、なんだかんだで、上手くいっている。
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