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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

殺人衝動前夜

作者: 春市
掲載日:2025/11/13

よろしければ、感想をどうぞ。

タイトルはなんとなくです。

遠山恭子は決意した。

明日、夫を殺すと。


斎藤恭子が遠山淳と結婚したのは八年前だ。大学で知り合って交際。

趣味がよくあった。

イタリアン、小物類の収集、朝がめっぽう弱い。偏頭痛も。

4年後に結婚した。幸せだった。

朝、先に起きた方が、もう一人を起こす

恭子はゴミだしをする。

淳はスーツをビシッと決める。

玄関でいってらっしゃいの口づけ。

週末の昼は外食にいき、夜は愛を育む。

しかし冷めた。

学生時代、耳元で囁いた愛は消えた。帰ってくれば、味付けがどうの、

シャツのシワがとれていないだの。

文句ばかり。

専業主婦が楽だとでも?

否。食事、ごみ捨て、風呂掃除、選択

買い出し、近所付き合いetc....

デスクワークではない。

肉体労働なのだ。これのどこが楽と?

二人とも特に欲しいわけではないので

子どもはいない。

子持ちだったらどんな苦労がまっているのか。想像すると、夜しか眠れない。

淳はいつもこういう


「俺だってがんばってる。この案件が成功すれば昇給間違いなしだ。」


私だってつらい。


「そんなにつらいけりゃ、手伝いでも呼んだらどうだ?」


淳はなにもわかっていない。

わかろうともしない。

私は解決策が欲しいのではない。

同情が、愛が、欲しいのだ。

淳は今日も帰りが遅い。

彼は、後輩と飲み会が~とか

上司に付き合えって言われて~とか

言い訳する。

私は知っている。


浮気だ。


淳の会社の新人がたまたま私の大学の

サークルの後輩だった。

そして、連絡してくれた。

「センパイの旦那さん、最近、営業企画部の飯島って女性(ヒト)と一緒に帰ってるんスよね」

気づいた。気付いてしまった。

飯島...飯島直子だ。

学生時代、私達が付き合っていると

知っていたくせに、

淳にアプローチをかけてきた女。

下品な金髪に、香水をプンプン臭わす女

淳が拒絶したあとも、たびたび

ちょっかいをかけていた女。

怒りがこみ上げてきた。

体を怒りがめぐってめぐって...

心臓から飛びだして、脳内へ突っ込んだ

そのとき、

なにかが切れた。

ヒトとして、失ってはいけないタガが、

理性の縄が切れる音が響いた。

殺す。

話し合いで解決する?

とんでもない。

罰を与えなければ。

ごめんなさいですむなら、死刑制度は

いらないんだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


まずは、行動パターンの調査。

淳は...あいつが出社するのは月から金

計五日。

はじめは帰りが遅いのは週に一回程度

しかし、ここ最近は、3日は深夜に帰宅する。


尾行だ。


あとをつける。そう難しい事じゃない


二日後、恭子は淳の会社の向かいのカフェにいる。そろそろ定時だ...

出てきた。

飯島直子も一緒だ。

談笑しながら出てくる。

苛立ちが加速する。

落ち着け。いま考えることは

そうじゃないでしょう?

尾行のときは相手の足元を見ると

見失いにくい。

相手が道を曲がったときは、

自分は直進する。後からついていく。

ギリギリ見失うことのない範囲を保つのだ。

そうして数十分。

電車を乗り継ぎ、吉祥寺まできた。

さらに、駅から二十分ほど。

アパートだ。

そして一階の部屋に入っていく。

予想外だ。ホテルではないのか?

そういえば、途中、スーパーへ入って

何か買っていた。何だろう...


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


浮気と断定するには、早かったか?

翌日、淳は早くに帰ってきた。

食材をもって...

なぜ?

あの...料理下手で味音痴な淳が...

「今日さ、結婚記念日だろ?」

「飯島直子って...覚えてる?あいつのところで料理教えてもらってたんだ」

ハッとした。

もうそんな時期だった。

「せっかくだからサプライズにしたくて...」

頭から...すっぽり抜けていた。

私が勘違いをしている間...

淳は...

私は...なんて...

「ごべんなさい... あなだのこと...

疑ってしまっで......」

涙が出てきた。

ひどい女だ、私は...

愛するヒトを疑って...

親切心から手伝ってくれたヒトを...

初め(ハナ)からうたがって...

「わたぢ...最低だ......」

淳が困惑した顔で

「大丈夫...大丈夫だから...」

と慰める。


夕食のハンバーグは焦げてて、

ボロボロ崩れて、へたっぴだったけど

塩気は十分だった。


私は...短絡的過ぎた。

私が、ホントは愛を信じていなかったんだ...


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


暗い室内。

充満した熱気。

ここはどこだろう。

そこで...二人の男女が一つになっている

ドアが開く。

冷気が床を舐める。

月下に影が一つ。

彼らはまだ気づいていない...

ナイフが鈍い光を放つ。

パーカーを着た女だ。

まだ二人は気づかない。

そして...

「サヨウナラをしようね」


愛の(あか)さは血に染まった。



ベタ過ぎか...?

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