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ちゃっぴーの日常7

俺はちゃっぴー普段はギルドで飲んだくれている、今は生まれたてダンジョンの調査だ


「生まれたて?」俺は思わず聞き返した。「どういう意味だ?」


エフィーナは微笑みながら水晶柱を指差した。「見て。コアの表面に新しい文様が刻まれ続けてるでしょう?」


確かに彼女の言う通りだった。先ほどまで見えていた紋様が徐々に変化し、新たなパターンが浮かび上がっていく。


「通常のダンジョンは一度形成されるとその構造が固定されるの。でもこのダンジョンはまだ成長途中。つまり……」


「改変できるってことか?」俺は興奮を抑えきれなかった。


「正確には『成長方向を誘導』できるって感じね」エフィーナは補足した。「生まれたてのダンジョンは外界からの影響を受けやすいの。特に強い力を持つ人物であれば……」


彼女は突然俺の鎖を引っ張った。手綱を握られた俺が思わず前に倒れそうになる。


「なにをする!?」


「あなたのことよ」エフィーナは真剣な眼差しで言った。「ちゃっぴーは並外れた力の持ち主。封印具のおかげで普段は抑えられてるけど、この状態であなたがコアに接触したら……」


「つまり、俺がこのダンジョンの成長方向を決められるということか?」理解が追いついてきた。


「そういうこと」エフィーナは頷いた。「試してみる?」


俺はためらいながらもコアに近づいた。手を伸ばし、冷たい水晶に触れてみる。その瞬間、頭の中に様々な映像が流れ込んできた。迷路のような通路、巨大な空洞、そして……輝く魔石の山。


「おお……」思わず声が出た。「これは……」


「あなたの想像が反映されてるわ」エフィーナの声が遠くに聞こえる。「そのまま集中してみて。ダンジョンはあなたのイメージを取り込んで成長するわ」


俺は目を閉じた。意識を集中させると、さらに鮮明なイメージが浮かび上がる。広大な鍾乳洞に点在する魔石の原石群。透明な液体が流れる川。そして安全な避難所となる円形の大広間。


突然、コアが強く脈打ち、眩い光を放った。驚いて手を離すと、ダンジョン全体が揺れ始め、壁や天井に新たな構造物が現れ始めた。


「成功よ!」エフィーナが興奮した声で叫ぶ。「あなたのイメージが具現化されてるわ!」


俺は信じられない思いで変化する環境を見つめた。目の前の壁が溶けるように消え、代わりに幅広の通路が出現する。先ほどまで何もなかった天井からは巨大な結晶が垂れ下がり、不思議な光を放っていた。


「こんなことができるとは……」俺は呆然と呟いた。


「でも注意して」エフィーナが現実に引き戻す。「成長させた分だけ消費魔力も大きくなるわ。無計画に広げすぎるとコアが枯渇する可能性も」


「なるほど……」俺は考え込んだ。「つまり慎重に設計しないといけないわけか」


「まさにそう」エフィーナは頷いた。「ダンジョンは生き物みたいなもの。食べさせすぎて肥満させるか、飢餓状態にするかはあなた次第よ」


比喩表現に戸惑いながらも、彼女の言わんとするところは理解できた。ダンジョンの成長は有限であり、適切なバランスが必要なのだ。


「だったら最初は資源収集に特化した構造にしよう」俺は決断した。「魔石の原石が採掘しやすく、かつ魔物が繁殖しすぎない配置にしたい」


「賢明な判断ね」エフィーナが微笑んだ。「じゃあ再開しましょう。私の知識を活かして安全で効率的な構造をお教えするわ」


再びコアに手を伸ばし、今度はエフィーナの助言を受けながらイメージを具現化していく。彼女が示す理想的な採掘場の構造を思い描き、それをコアに送り込んだ。


「こうしたらどうかしら」彼女が囁く。「坑道の壁に魔石採掘用のツールを内蔵させたら?」


「それ良いアイデアだ」俺はイメージを調整する。「工具が勝手に採掘してくれるようになるわけか」


「ダンジョンの自己修復機能を応用できるわ」エフィーナが説明する。「採掘した部分は自動的に補充されるの。つまり半永久的に魔石の採取ができるわ」


その言葉に俺の心臓が高鳴った。もし本当にそんなことが可能なら、冒険者ギルドにとって夢のような施設になる。


「よし、やってみよう」俺は集中してそのイメージを送り込んだ。


またしてもコアが脈打ち、新たな変化が始まった。今度は壁から無数の鉤爪のような装置が現れ、自動的に採掘を始めたのだ。掘り出した魔石が自動的に分類され、別の場所へ運ばれていく様子が見える。


「すごい……」俺は感嘆の声を上げた。


「でも油断しないで」エフィーナが注意を促す。「こういう複雑な機構には大量の魔力が必要なの。コアの生命力が尽きないように調整する必要があるわ」

確かに彼女の言う通りだった。コアの輝きが鈍くなっている


「確かに光が弱くなってるな」俺は不安げにコアを見つめた。さっきまでの輝きが失われつつある。


エフィーナは眉を寄せながら説明を始めた。「ダンジョンの魔力は自然生成だけでなく、他の源泉からも得られるのよ。特に重要なのが二つ—」


「魔物と冒険者の生命力?」俺は直感で答えた。


「正解!」エフィーナが嬉しそうに言った。「ダンジョン内で死亡した生物の生命力が魔力に変換されるわ。つまり……」


「戦いが起これば起きるほど強くなるってことか」俺は顎に手を当てた。「面白い仕組みだな」


「だからこそダンジョンは危険な場所なの」エフィーナが付け加える。「強力な冒険者が死ねばそれだけ多くの魔力が注ぎ込まれる。結果として更に凶暴な魔物が生まれるわ」


俺は考え込んだ。「じゃあ今のまま放っておくとどうなる?」


「過剰な魔物が溢れ出し、外部へ流出するわ」彼女はコアを指差した。「まさにスタンピードよ」


「それで村が危険だってことか」俺は理解した。「だが待てよ……これは逆にチャンスかもしれんな」


エフィーナは首を傾げた。「どういう意味?」


「つまり、俺たちがここで戦えば戦うほど、コアは成長するんだろう?」俺はコアに近づきながら言った。「なら……」


「意図的に戦闘を誘発するつもり?」エフィーナの表情が硬くなった。「危険すぎるわ」


「危険なのは承知だ」俺は冷静に答えた。「だが村の安全のためにもコアを制御する必要がある。それに……」


言葉を切った俺は壁を見つめ、ある思いつきに目を輝かせた。


「もしコントロールできれば、安定的に資源を採取できる施設になるんじゃないか?」


エフィーナは一瞬考え込むような素振りを見せた後、ゆっくりと頷いた。「理論上は可能よ。魔物の数と強さを調整すれば……」


「よし!」俺は決断した。「まず魔物の発生を抑制する構造を作ろう。その後で必要な分だけ誘導できる仕組みを」


再びコアに手を伸ばすと、今度は戦略的なイメージを送り込んだ。魔物の巣を作る区域と、冒険者が活動する区域を分離する壁。魔力の流れを調整して特定の経路に集中させる回廊。


「これは……」エフィーナが驚いた表情で言った。「魔物の移動経路を限定してるのね?」


「ああ」俺は頷いた。「こうすれば不用意に魔物が外に出るのを防げるし、必要な時に誘導することも可能だ」


コアが再び脈打ち、新しい構造が現れ始めた。半透明の壁が迷路のように形成され、特定のポイントで交差するデザインだ。


「でも生命力の循環はどうするの?」エフィーナが鋭く指摘した。「戦闘が起きないと魔力が増えないわ」


俺はニヤリと笑った。「それについては考えがある。この壁自体に魔力を貯蔵できるようにするんだ」


「壁に?」


「ああ。戦闘の余波や残存魔力を吸収する仕組みさ。それで魔力が枯渇するリスクを減らせるはずだ」

それにだ


「初心者向けダンジョンだ」俺は唸るように言った。「それなら生命力を犠牲にする危険が少ないだろう」


エフィーナは目を輝かせた。「素晴らしいアイデアね!初心者の訓練所として利用すれば、定期的な戦闘と魔力供給が期待できるわ」


「ただし問題もある」俺は腕を組んだ。「初心者が簡単に死ぬような罠は作れない。でもあまり簡単すぎると魔力が集まらない……微妙なバランスだな」


エフィーナは微笑んだ。「だからこそあなたが必要なのよ。ちゃっぴーは長年の経験で冒険者の心理をよく理解してるでしょう?」


「まぁな」俺は照れ隠しに鼻を掻いた。「俺自身が何度も死にかけた経験もあるしな」


二人で協力して新たな構造をデザインしていく。初心者向けの基礎トレーニングエリアを作り、徐々に難易度が上がるステージを準備する。安全地帯にはポーションや装備の補給所も設置した。


「これなら初心者も挑戦しやすくて安全ね」エフィーナが満足げに頷いた。「それに定期的に戻ってきてレベルアップできる環境なら、長期的な魔力供給源にもなるわ」


「よし」俺はコアに向かって最後のイメージを送り込んだ。「完成だ!」


コアが激しく脈打ち、ダンジョン全体が再構築されていく。壁面には魔物のレベルに応じた警告標識が現れ、各区域には適切な設備が整っていった。


「素晴らしい出来栄えだわ」エフィーナは感激した様子で見渡した。「これなら冒険者ギルドに正式なトレーニング施設として認められてもおかしくないわ」


「認めるか?」俺はふと思った。「こんな酔っぱらい冒険者の作ったダンジョンをか?」


「大丈夫よ」エフィーナは安心させるように言った。「私に任せて。ギルドマスターには以前から顔が利くの」


「そうだったな」俺は納得した。「なら早速報告に行ってくるか」


俺はコアから離れようとしたが、エフィーナが呼び止めた。


「ちょっと待って」彼女は真剣な表情で言った。「まだ大事なことを忘れているわ」


「なんだ?」


「名前よ」エフィーナは微笑んだ。「新しいダンジョンには名前が必要だわ。」


「うーん……」俺は考え込んだ。「わかったよ。じゃあ何か良い名前はあるか?」


エフィーナは少し考えてから答えた。「『ちゃっぴーの初心者訓練所』とかどう?」


俺は思わず噴き出した。「おまえなぁ……俺の名前を使うのか?」


「だって事実じゃない」エフィーナは悪戯っぽく笑った。「あなたが創ったダンジョンなんだから」


「まったく……」俺は頭を掻いた。「まあいいか。他に良い案もないし」


コアに最後の命令を送る。「我がダンジョンよ、これより『ちゃっぴーの初心者訓練所』と名乗れ。管理はこの俺、ちゃっぴーが行う」


コアがこれまでで一番強い光を放ち、新たな名称と管理者情報を刻み込んだ。


「さて」俺は大きく伸びをした。「これで一仕事終わったな。報酬は何にしようかな……」


「相変わらずお金の話?」エフィーナが呆れたように言った。


「当たり前だろ」俺は胸を張った。「冒険者の原動力は金と酒だ。それがなけりゃモチベーションも維持できないぜ」


エフィーナは苦笑しながらも優しい目で俺を見た。「そこがあなたらしいわね」


「褒めてるのか?」


「もちろんよ」彼女はそっと俺の肩に手を置いた。「帰ったら一杯奢ってあげるわ。特別サービス付きで♡」


「特別サービス?」俺は眉を上げた。


「秘密♡」エフィーナは楽しげに笑った。「さあ、早く村に戻りましょう。みんな心配してるわ」


「そうだな」俺は頷いた。「じゃあ帰るとするか」


エフィーナに鎖を引かれながら、俺たちは新しく生まれ変わったダンジョンを後にした。これからこのダンジョンがどのように育っていくのか、楽しみでもあり少し不安でもあった。だが一つ確かなことは、今日という日が冒険者人生の中でも特に印象深い一日になるだろうということだ。


俺はちゃっぴー普段はギルドで飲んだくれている、今は新しく生まれたダンジョンを自分の初心者訓練所に改造した所だ

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