第91話 親の想いは因子達も同じ
それぞれの親の想い、姉の覚悟、そして因子達の連携。決戦に向けて静かに整っていく心と準備。家族を守るための戦いが、いよいよ動き出します。
「この話、由香里に話したか?」
達也は久美に質問した。
「話してない…いくら最強の妹でもまだまだメンタルは子供だから…」
久美は最愛の妹を気遣う。
「ありがとな。姉がお前で良かった」
「俺は久美が性格悪いなんて思わんよ」
達也は姉、久美を心から信頼していた
「…そんな事言われると照れちゃう…」
「母を亡くして、父の愛情に飢えて、周りに乱暴な接し方しか出来なかった私を救ってくれたのは由香里の笑顔だから」
久美が由香里を守っていく理由の一つ
「"セイラ"由香里が寝たら"アデュー"連絡してくれ。秘匿回線で…」
『yes master 』
因子同士は共有した方が良い。
「"リョウ"は"セイラ"さんのサポート」
『yes master』
"セイラ"のやり方を学ばせる久美。
"アデュー"とは夜中にコンタクトが取れ今後は秘匿回線で連携し合う事を確認。
決戦に向けて因子達も準備を進める。
新堂家 加山夫婦の部屋
「…また、あの子達を巻き込んでしまうのね。父と妹の欲望に…」
自分の生い立ちを恨む由香。
「君のせいじゃない」
「いいえ。父と妹の欲望を知っていて逃げてしまった私の責任。命をかけてでも阻止しなければいけなかったの」
由香は悲痛な想いを口にする。
「…たぶんだけど由香が残っても結果は変わらなかった…いやむしろ悪くなっていたんじゃないかな」
正樹は涙ながらに話す由香に寄り添う
「由香がこの世界に来てくれたから、達也との間に由香里が生まれ、僕とも夫婦になれて久美を由香里の姉にする事が出来た。過ぎてしまった後悔よりも娘達を信じて進む未来の方が良いと思うよ」
正樹は今が幸せだと由香に話す。
「…そうね。まーくんの言う通りね。私も今、とっても幸せだもの」
由香も素直な気持ちを口にする。
「そうだよ。これからの事を考えよう。僕は家族のために全力を尽くすよ」
正樹も気持ちを新たにした。
娘達を危険な目に合わせているのはわかっている。でも世界の為より家族の為にみんなが団結する時だと思った。
因子達の秘匿回線(別空間)
『"アデュー"来ましたね』
『現状の把握と最悪想定の準備をします』
"セイラ"が陣頭指揮を取る。
『…とは言いましたがもっとフランクで良いと思います。我主人達也様も砕けた方です。特に貴方達は相手が女性ですから機械的に話す事はないと思います』
突然の融和政策…"セイラ"は何を考えているのでしょう。
『達也様からも言われています。"アデュー"も"リョウ"も業務みたいになってると。それではダメなんだと』
達也に言われて"セイラ"は決断した。
『じゃあyes masterとか言わなくて…』
『はい。戦友として接して下さい』
『じゃあ俺はくーにゃんって呼ぶかな』
『じゃあ僕はゆかりんで行こうかな』
『…砕け過ぎのような気もしますが良いでしょう。全力でサポートして下さい』
少し不満げな"セイラ"だが大丈夫だろう
『"リョウ"は今回要です。貴方の働き次第で状況が変わります』
『…わかっています。全力を尽くします』
"リョウ"は覚悟を決めた。
『明日からは秘匿回線は常にONの状態でmaster達には悟られないように』
"セイラ"は最悪を考えて行動に移す
「"セイラ"のヤツ…勝手な事を…」
「でも俺の因子だからな主人に似るか」
文句を言いながら笑みを浮かべる達也
翌朝
新堂弦之助が達也の部屋を尋ねた。
「達也。すまんな貧乏くじ引かせて」
弦之助が達也に頭を下げる。
「…兄貴。いつもの事だと言いたいが今回は違う俺の因縁に巻き込んだ。すまん」
達也も弦之助に頭を下げた。
「お互い悪い父親だな」
「ああ…そうだな」
2人の父親は互いのケジメをつけた。
弦之助のスマホに着信。
「弦之助様、飛行機の手配が済みました」
「達也。準備完了だ。明日、朝出発だ」
明日、グランドキャニオンに出発する
これから始まる未曾有の戦い…
次回…決戦開始!
次回より決戦編突入です。舞台はグランドキャニオン。親子の想いと覚悟が交差する戦いをお楽しみに。ここから物語は大きく動きます!




