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第90話 それぞれの想い

決戦を前に、それぞれが胸に抱く不安と覚悟。由香里、紅音、瑠璃、久美――仲間と守りたい想いのため、彼女たちは自分と向き合う。静かな夜に交錯する決意の物語。

新堂家 由香里の部屋


「"アデュー"私勝てるかな?」

『masterなら大丈夫です』

「今回の闘い。胸騒ぎが止まらない」

『"セイラ"から聞きました。達也様も不安だと…でもだから徹底的に準備をするのだと』

父も不安だと聞いてホッとする由香里


「一度聞いた事がある。試合前はいつも不安だったって。だから誰よりも稽古をするんだと」

父の言葉を懐かしく話す由香里。


「"アデュー"今までの戦闘を解析」

「レベルを上げて脳内シュミレーション」

『yes master』

父の言葉通り、やれる事は徹底的にやる

全てを守る為に…



新堂家 新堂紅音の自室

「瑠璃はたっくんの事…」

「…2人とも私にとっては大事な人」

「絶対負けられない。この闘いは…」

紅音は大好きな2人の為に闘う決意をする。尊敬する達也と瑠璃。紅音の目標でもあった。


「前回の闘いは圧倒的だった。何とか起死回生の作戦が上手くいったけど、本当は手を抜かれた感じがしていた」

一か八かなど戦場では通用しない。

策謀の匂いが危険なぐらい感じる。


「敵の狙い…たっくんがらみだとは思う」

「でもなんか釈然としない何かがある」

能力が覚醒しても違和感を感じるだけ


「周囲に神経を集中して見つける」

「この違和感の正体は何なのかを…」

静かに意識を集中しながら有事に備える



新堂家 新堂瑠璃の自室

「…自分の気持ちに今頃気付くなんて」

「わたくしとした事が無様ですわね」

達也への想いにようやく気付いた瑠璃。

淡い気持ちと戸惑いとが交差する。


「紅音の気持ちを知っていたのにね」

「姉としても情けない限りです」

姉としての立場が瑠璃を追い詰める。


「でも…何か感じたのでしょうか」

「わたくしと紅音に気を使っていたようでしたわ。あの達也さんが…」

達也の気持ちが嬉しかった。


「これからの事は後で考えます」

「今は、全力で仲間の力にならなければ」

瑠璃らしい決断だった。

全ての想いを込めて瑠璃は進む。



新堂家 加山久美の部屋

「"リョウ"私達は全然ダメだった」

『はい。覚醒してもあの2人には到底敵いません。天と地ほどの差があるかと』

「はっきり言うわね。流石、私の因子」

「性格まで似てるんだから参るわよね」

『yes master』

「…褒めてる訳ではないのだけど…」

「やっぱり似てるわ、性格悪い」

因子と会話が漫才のようだが、事態は深刻だった。自慢のパワーでも由香里に負けている。達兄はまだしも由香里にまで差をつけられているのだから。


『master 達也様の言っている通り、基本技を更に磨きをかけるのが早道なのでは』

「やっぱり"リョウ"もそう思う?」

図らずも因子と同じ答えだった久美。


「でも何で私を覚醒させたんだろう」

『…覚醒させる前提でしたね』

「何か踊らされた気がする」

久美は意図的に覚醒させられた事が不可解だし腹立たしい思いをしていた。


「やっぱり達兄が言ってた通りだね」

「クソ女神…性格悪そうだよね」

『masterがそのクソ女神なら…』

『意図的に覚醒させてどうしますか?』

"リョウ"は素直に久美に聞いた。


「私ならかぁ…拉致して洗脳かな…」

「ん…それって私が性格悪いって事?」

『masterなら的確に答えられるのでは』

暗に久美が性格悪いと言う"リョウ"


「アンタねぇ。masterを立てなさいよ」

『敵の思考が読めるのは良い事かと』

「私はあそこまで性格悪くない」

"リョウ"の問いに拗ねる久美。


『性格が悪いのを良い方にするには時間がかかりますが、より悪くするのはすぐに出来ると思います。その感じで考えれば敵の出方がわかるのかも知れません』

"リョウ"は更に続ける。


「…性格が悪い、悪いって連呼するな」

「わかったわよ。最も性格が悪い感じで考えてやるわよ」

久美はデリカシーのない自分の因子に怒りを爆発させながら考えていた。


聴いていると漫才のような会話だが、本人達はいたって真面目なのである。


「前回、アガレストは私とお父さんを拉致して自分達の世界に連れて行こうとした。でも出来なかった…」

「…いや、おかしい。じゃあなぜ覚醒させたかったんだろう。拉致する確率が下がるのに…初めから目的が違う?」

久美は相手の意図が違う事に気付く。


『masterの言う通りかも知れません』

『何か別の目的があるように思います』

"リョウ"も同じ意見だ。


「"リョウ"達兄の"セイラ"さんにコンタクトして。今の疑問をぶつけて」

『yes master』


数秒して"セイラ"から連絡が入る。


『…成長しましたね。2人とも…』

『貴方が疑問に思っている事は、達也様と話をしています』

"セイラ"も達也も同じ疑問を持っていた


「でもその先がわからない。なぜ…」

『やはり性格の悪さでは敵が上手だと』

「ん…そこ重要?アンタ、私を何だと…」

『masterの方がまだマシだと言って…』

久美と"リョウ"は言い争いを始めた。


「お前ら下手な漫才より面白いな」

『…ちょっとズレてるような気も…』

達也と"セイラ"は緊張が解れた。


「久美が覚醒した時にアガレストに何か仕込まれた。多分、暴走させるつもりだ」

『"英雄"の一角を崩すと共に、暴走した"英雄"を抑えなければならない』

「奴らからすれば"英雄"因子を覚醒させた俺達を如何に戦場に出さないかだからな。まぁ対策は考えたから奴らの思い通りにはならないが…」

達也は対策した割には歯切れが悪かった


「達兄もそう思う…まだ何かありそうな」


「ああ、エリザベートが裏にいるとしたら、もっと悪い事を考えている」

「最悪のクソ女神だからな。ワガママだけなら良いが頭も切れやがる」


『油断は出来ません。最悪も考えなくてはいけません。"リョウ"もそのつもりでいて下さい』

"セイラ"がいつになく慎重だ。


『わかりました。最悪を考えて戦術を構築します。もうmasterを危険に晒さないと誓います』

"リョウ"も決意を新たにしていた。


消えない不安。胸騒ぎ。

それでも立ち止まってはいられない。

久美は全てを守るにはどうしたら良いか必死に考えていた。


達也もそんな久美を気に掛けながらも、誰も死なせない為に動くのだった。


次回…決戦の地へ


それぞれの想いが揃い、いよいよ舞台は決戦へ。不安の正体と敵の真意とは――次回、戦場へ。ブックマーク・評価・感想で応援いただけると励みになります!

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