第87話 紅音の恋心、瑠璃の憧れ
第87話をお届けします。
今回は――
瑠璃の成長、そして紅音の恋心。
これまで「気品ある優等生」として描かれてきた瑠璃ですが、達也との稽古を通して、戦いに対する意識が大きく変わります。
そしてその変化に、最も敏感に気づいたのは――恋する紅音でした。
恋と憧れ。
想いの形は違うけれど、同じ人を見つめる二人。
戦いの成長と、心の変化。
親子最強物語の中で始まる、少しだけ賑やかな“恋の戦場”もお楽しみください。
翌日
由香里と紅音は学校へ
久美は学校の保険医で出勤。
新堂弦之助、加山正樹はリモートでの
会議等参加の形にした。
朝から稽古を開始したのは瑠璃。
そして静香とその部下達。
正樹は由香と工作室にて作業する。
瑠璃との単独稽古。
「私は化け物の久美とは違うので」
「お手柔らかにお願いします」
瑠璃は暗にレベルを下げてと言っていた
「…良いのか…それで…久美だけか」
達也は瑠璃の心に語りかけた。
「…本当にイヤですわね…」
「心を見透かされるのは…」
瑠璃は呆れたように達也の目を見る
「"セイラ"が今の瑠璃を解析している」
「限界付近の稽古。伸び代もあるしな」
達也は成長する事を示唆する。
「達也さんが言うならそうなんでしょう」
「…わかりました。望むところですわ」
瑠璃は覚悟を決めた。
「とりあえず。俺と模擬戦だ」
「瑠璃ならどう俺を攻略する?」
挑発とも取れる達也の提案だった。
瑠璃は正樹製の防具と杖を取り出す
まずは先制攻撃。火属性極大魔法。
スピードが無いので余裕で避ける達也
避けた先に水属性魔法を放つ。
達也はシールドを張り魔法を弾く
瑠璃は周囲を凍結させる魔法を発動
"静寂な世界" 一気に辺りを凍らせる
達也が氷の世界から抜け出す。
しかしその先に魔法サークルが発動
超重力魔法で地面に叩きつける。
「これで終わり」
「そうなのか?」
勝利を確信した瞬間。達也が横にいた
「重力の渦に巻き込んだはず…」
「あれは質量を持った残像だ」
瑠璃は呆気に取られ言葉も出なかった
「多彩な魔法は流石だと思う」
「だか相手は人間じゃない」
「人外相手だと思って攻撃しないとな」
達也はまだ瑠璃は進化出来ると思った
しかし瑠璃の性格で馬鹿正直なのだ。
「相手の弱点を徹底的に叩け」
「それが出来なければ死ぬのはお前だ」
達也は厳しい現実を突きつけた。
「…やはりそうですね」
「紅音にも言われました。綺麗すぎると」
瑠璃は薄々わかっていた事を話す。
「カッコ良すぎるんだよ。瑠璃は」
「凛として気品があって」
「兄貴の娘とは思えないぐらいだ」
自分の思っている事を口にする達也
「…ありがとう。凛として気品がある」
「なんて思っていてくれたんだ」
瑠璃は少し俯いて嬉しそうに話す。
達也は瑠璃に異世界で戦った相手
これから戦うであろう相手の事を話す
"セイラ"も交えて戦略を考える
瑠璃は達也が眩しく憧れになっていく
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
静香達との稽古もひと段落。
瑠璃が軽食とお茶を用意してくれた。
「ただいま。さぁ頑張らなきゃね」
紅音が気合い十分で帰って来た。
恋する女の鋭い目は異変に気付いた
瑠璃が達也に自らお茶を入れている
メイドに頼むのでは無くだ。
達也と楽しそうに話す瑠璃。
紅音の中の何かが警告音を発していた。
「瑠璃。なんか楽しそうね」
「紅音ちゃんおかえりなさい」
「達也さんと稽古してたんだけど…」
「コテンパンに負けてしまったわ」
負けたのに笑顔で話す瑠璃。
「…あの瑠璃が負けを認めるなんて…」
「たっくんと何かあったんだ」
紅音は瑠璃にどうしようも無く嫉妬する
「…瑠璃。貴方と戦いたい。勝負して」
嫉妬心から思わず出た言葉だった。
「…わかったわ。達也さんよろしくて?」
瑠璃は紅音の気持ちに答える決意をした
「…紅音…瑠璃…わかった」
「但しあくまでも稽古だ。わかるな」
双方に言い聞かせる様に話す達也。
「達也さん。大丈夫ですわ」
「ありがとう。ワガママ聞いてくれて」
2人は訓練場の中央をそれぞれ目指す
「…はじめ!」
達也の号令と共に2人の戦いが始まる
先制は紅音。
気弾を放ってからの回し蹴り。
瑠璃はシールドを張りながら下がる。
紅音が追撃。しかし地面に脚を取られる
瑠璃は土魔法で地面を粘着ある泥に。
動きが止まった紅音に麻痺の魔法。
そこに追い討ちで重力魔法。
紅音戦闘不能。勝者…瑠璃。
「…完敗だわ。瑠璃姉…やっぱり凄い」
気絶した紅音を助け起こす瑠璃。
「達也さんと紅音の忠告のお陰」
「紅音には悪いけど宣戦布告するわ」
「…私も達也さんが好き。愛してる」
「今日から貴方の最大のライバルよ」
瑠璃からのライバル宣言。
紅音は意識が朦朧とする中、聞いた。
それは2人だけの意思表示だった。
由香の回復魔法で気が付いた紅音。
立ち上がり瑠璃と握手する。
「負けないよ瑠璃姉」
「こちらこそ。負けませんわ紅音」
周囲の心配を他所に2人の世界。
「2人とも頑張ってね」
「たっちゃんはもの凄く鈍いから」
2人の気持ちに気付いた由香。
経験者からのアドバイスを送る。
「瑠璃。戦略通りだな。それでいい」
「紅音も基本、瑠璃と同じだな」
「攻撃が正直すぎる。もっと狡猾になれ」
達也が戦闘のアドバイスをする。
「…ね。これから大変よ貴方達…うふっ」
由香はため息混じりに2人を激励する
「…確かに…前途多難かもね…」
「やっぱり素敵。達也さんって…」
達也が大好きな2人。
でも達也への気持ちは少し違う様だ。
達也道場…後半戦。
戦略UPになるか、それとも…
敵の動きが見えない状況での判断。
次回…動く敵。準備は間に合うのか…
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回は、
・瑠璃の覚悟と進化
・紅音の嫉妬と決意
・そして二人のライバル関係のスタート
という、今後に繋がる重要な回になっています。
達也本人は相変わらずの鈍感ぶりですが……
周囲の状況は、少しずつ賑やかになってきました。
そして物語の本筋では、
「見えない敵」も動き始めています。
恋も戦いも、次の段階へ。
次回は――
迫る脅威に対し、道場メンバーの判断力が試されます。
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