第82話 守れなかった悔しさと涙
ついに久美が覚醒――。
守れなかった悔しさと涙が、“最後の英雄”を誕生させます。
親の覚悟、娘の決意、そして迫る絶望。
物語は新たな段階へ。第82話、どうぞ。
「死になさい。"英雄"もどき」
アガレストが放つ衝撃波が迫る。
久美は立ち尽くすしかなかった。
衝撃波が久美を襲う。
その時、久美の前に正樹が割り込んだ。
「お前を死なせはしない」
自分が作った特製の盾で久美を守る。
衝撃波が正樹の前で爆散する。
正樹の盾が衝撃波を防いだ…はずだった
盾がボロボロになって崩れていく。
正樹はそのまま後ろに倒れた。
「お父さん。お父さん…私を庇って」
「ダメだよ。お父さん死んじゃヤダ」
久美の腕の中に倒れる正樹。
血のついた手を見て狼狽える久美。
「バカな男ですね。貴方に死んでもらっては困るのですが…まぁいいでしょう
最悪、頭さえ残っていればなんとかなります」
アガレストは不敵に笑った。
「…久美…お前は生きろ…」
「黙ってお父さん…今助けるから」
「これは…今日までの成果だ」
正樹は一つの金属を久美に渡す
「さぁ終わりにしましょうか」
「出来損ないの"英雄"よ」
アガレストは両手が巨大な光球を放つ
久美と正樹に容赦のない攻撃
アガレストの光球に包まれ爆散する
「あっけないですね」
「さぁ加山正樹の脳みそを回収です」
アガレストは爆風の中に入って行く。
「参りましたね。何も残っていませんか」
「力の加減を間違えましたかね」
アガレストは残念そうに辺りを見る
正樹が運転して来た車が光っていた
「なんです。あの光は」
アガレストが車に向かう
「なっ…なんです。この痛みは」
突然アガレストが崩れ落ちる
アガレストが顔を上げた時、見たもの
それは…
車の上。光り輝く久美だった。
「まだ足掻くのですか。見苦しい」
アガレストは静かに怒りを露わにした
久美は光り輝く防具を纏っていた。
「今更、そんな防具で何をする」
アガレストは左右の手を振り下ろす
衝撃波が二つ、久美目掛けて襲いかかる
衝撃波は久美に届いた瞬間、霧散する。
「今、何をした?」
アガレストは理解できなかった。
「ありがとう。お父さん…」
「これ以上、守れないなんて嫌だ」
久美の想いが身体の中を駆け巡る。
『貴方の想い受け止めました』
『今、全てを解放します。my master』
久美からもの凄い気が爆発する。
「これが私の力。凄い身体中に流れる力」
『これが貴方の真の力です』
「そう。由香里が言っていた英雄因子」
『はい。貴方の願いが因子を覚醒させました』
「じゃあ名前付けないとね。由香里達の様に」
『yes master』
「…決めた。貴方の名前はリョウよ」
『認証しました。"英雄"因子 "リョウ"』
久美の膨大なエネルギーは収束していく
『最適化終了。敵を粉砕します』
"リョウ"が気の流れを制御。
最後の"英雄"ここに降臨する。
「お父さん。もう少しだけ頑張ってね」
「今、コイツを倒してくるから」
久美は落ち着いた表情で構える。
「まさかこのタイミングで」
「"英雄"が覚醒するなんて」
アガレストは不敵な笑みを浮かべた。
「正面切っての闘いでは時間のロスです」
「今回は彼だけにしましょう」
そう言うとアガレストは分身した。
分身したアガレストは向かってきた。
一体は久美に、もう一体は車に
しかし久美は狼狽えることもなく迎撃
「この車もらって行きます」
「ごきげんよう。また会いましょう」
アガレストは立ち去ろうとした。
「何故?結界が反応しない」
「俺が制御してるからな」
「正確には"セイラ"がだけどな」
「なっ…磯崎達也…いつの間に」
「まぁ逃してやっても良いんだが」
「その車も正樹の特製なんでな」
車の中に横たわっていた正樹が消えた
「"セイラ"が作った幻影だからな」
「本物の正樹は由香に託した」
「娘を囮にしたのですか?」
「私に悟られない様にする為に」
「正樹を助ける為に何をするか」
「それだけだ。お前程度が相手だからな」
その言葉に憤怒するアガレスト
一つの体に戻し魔力を増大する。
「吹き飛びなさい。全て」
これまでにない極大魔法陣
全魔力を開放する。
アガレストが放った凶悪な攻撃
今、正にこの一帯が焦土と化すのか
覚醒した"英雄"は防げるのか。
次回…ご期待下さい。
久美の覚醒回でした。
守れなかった悔しさが力へと変わる瞬間を書きたくて構成した一話です。
そして背後で動く達也と“セイラ”。
次回、極大魔法との激突です。お楽しみに。




