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第67話 由香里、久美、紅音、瑠璃、そして…

第67話です。

由香里の帰還を祝う、久しぶりに賑やかな現代パート回。

仲間たちとの再会、異世界での出来事、そして――

物語は静かに、次の波乱へと向かっていきます。

「お邪魔しま〜す!」


紅音がいつもの元気な声で、加山家の玄関に飛び込んできた。


「由香里さん。無事で本当に良かったです」

瑠璃が心から安堵した表情で、由香里の生還を喜ぶ。


「……まったくアンタは……心配ばかりかけて……」

紅音は泣きそうな声で言った。


「ごめんね、紅音。瑠璃さん」

由香里は深々と頭を下げる。


そして瑠璃に向き直り、改めて礼を述べた。


「学校の件、休学扱いにしてもらえて……本当に感謝しています。ありがとうございました」


「いつ帰って来るかわからなかったからね。それに、休学を強く訴えてきたのは紅音なのよ」


「ちょっと、瑠璃! なんで言っちゃうのよ。恥ずかしいじゃない」


「紅音……ありがとう」


「どうせ瑠璃が学校の役員を脅したんでしょ」


突然、久美が口を挟む。


「何ですって〜!?(怒)」


二人の間に、火花が散り始めた――その時。


「何をしているんです。人様の玄関先で」


静かながらも有無を言わせぬ声。

北条静香が立っていた。


「久美様。由香里様の姉として自覚をお持ちください。

瑠璃様も、新堂家を背負うお立場でしょう」


静香の説教が始まり、二人のバトルはあえなく終了した。


「静香さん、お久しぶりです。それとも“三田村先生”って呼んだ方がいいですか?」


由香里は久しぶりの再会に、少しだけ揶揄うように声をかける。


「……本当に、ご無事で何よりです……」


静香は一礼すると、そのままリビングへと向かった。


「……? 私、何か悪いこと言ったかな」


由香里が首を傾げると、久美が小声で耳打ちする。


「達兄と一緒に異世界に行ったあなたが羨ましいのよ。

静香って、達兄にゾッコンだから」


「久美様。そのようなデマを流さないでください。

私は達也様をお守りするため、お側にいただけです」


冷静に言い切る静香。


「……静香さん、耳が真っ赤ですよ」

瑠璃が追撃する。


「……瑠璃様まで……からかわないでください」


そう言って、再びリビングへ向かう静香。


「バレバレなのにね。意外と可愛いところあるわ」

久美、瑠璃、由香里は顔を見合わせ、くすっと笑った。


「もう〜!(怒)早く行くわよ!」


紅音が不満そうに急かす。


「……もう一人いたわね。達也信派が……」

三人はヒソヒソ話しながらリビングへ向かう。


不貞腐れた顔で、紅音も後を追った。



加山家の面々、新堂瑠璃、新堂紅音、北条静香。

全員が揃い、由香里帰還のお祝いの宴が始まった。


由香の料理に舌鼓を打ち、久しぶりに集まった仲間たちは賑やかに盛り上がる。


「由香里、異世界の生活ってどうなの?」

久美が興味津々で尋ねた。


「日本で言うと……昭和って感じかな。

最初は戸惑ったけど、おとうさんと魔物討伐をして、騎士団の人たちと助け合って……

強敵を倒して、認められたのがすごく嬉しかった」


由香里は、異世界での日々を語り始める。


「どんな敵と戦ったの?」

久美の目が輝く。


「最初は先発隊の魔物。でもすぐに四天王が現れて……」


“四天王”という言葉に、場の空気が一気に引き締まる。


「東と西、それに中央の砦があってね。

おとうさんは東の砦、私は中央の砦で英雄騎士団と一緒に守ってたの。

そこに魔王軍が攻めてきて……」


全員が食い入るように耳を傾ける。


「四天王のガニメデって、大きな亀みたいな魔物で。

硬いけど遅かったから、幻日流の奥義でなんとか倒せた」


「おとうさんは東の砦で、空の覇者フレイヤを倒して、フレイヤ軍も全滅させてた。

しかも倒した後、王城に戻って国王に報告してから帰ってきたって聞いて……

四天王一体倒したくらいじゃ、胸を張れないって思ったんだ」


それを聞いて、正樹が呆れたように笑う。


「アイツらしいな。先の先まで考える。

やり過ぎだろって思うけど、結果的に正解なんだよな」


「皇子の失態も暴いて、魔王軍の動きも予測して……

参謀の策略まで見抜いてた。

それで、私が一緒に戦ってるように見せるために――

おとうさんと同じくらい、髪を切ったの」


一同、言葉を失った。


「たっちゃんに言われたの?」

由香が尋ねる。


「ううん。自分で。

王都の人たちを守りたかったから」


その真剣な眼差しに、誰もが納得した。


「帰ってきた時、髪が短くなってたから……何かあったと思って触れなかったんだよね」

久美が言う。


「久美から“髪の毛には触れるな”って神託が来てたし」

紅音たちも苦笑する。


「やっぱり……気を使わせちゃってごめんね。ありがとう、みんな」


由香里は、心から嬉しそうに微笑んだ。


「それから、どうなったのですか?」

静香が身を乗り出す。


「騙すことには成功したんだけど……四天王が逆上して超獣化して。

でも私も因子に名付けして進化したから、倒せた」


さらっと、とんでもないことを言う由香里。


「ちょっと……それって、達兄が名付けした“セイラ”と同じ?」

久美が恐る恐る聞く。


「うん。私のは“アデュー”」


「……私も異世界に行く! 由香里に先を越されたなんて許せない!(怒)」


久美が暴走を始める。


「どうやって行くつもりなの!?

アンタはいつも考えなしで突っ走って、その後どれだけ迷惑かけるかわかってるの!?」


瑠璃と久美、いつものバトルが勃発。


紅音と由香里も止めに入るが、気づけば四つ巴に。


――由香の雷が落ちる……かと思った、その時。


「相変わらず賑やかだな、お前たちは」


その声に、全員が一斉に振り向いた。


「たっちゃん」

「達兄」

「たっくん」

「達也」


そして、誰よりも驚いたのは――


「おとうさん!!」


達也の登場は、何を意味するのか。

そして、これから彼は――

どんな出来事へ、皆を巻き込んでいくのか。


風雲急を告げる、現代の仲間たちだった。


お読みいただきありがとうございます。

今回はコメディ寄りの会話回でしたが、最後に“あの人”が登場。

ここから現代編にも、少しずつ異世界の影が落ちてきます。

次回もお楽しみに。

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