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第63話 達也VS由香里

父と娘。

拳と拳でぶつかり合い、言葉で救い合う――

これは敵同士ではなく、“親子”だからこそ成立した戦い。

達也VS由香里、その真意を見届けてください。

達也は、顕現させていた二本の剣をゆっくりと見下ろした。


次の瞬間――

剣は形を失い、魔力の流れを変えながら再構築されていく。


一本は、達也の両腕を覆う重厚な鉄甲へ。

もう一本は、脚部を包み込むレガースへと変じた。


「……由香里と戦うなら、剣よりこれだろ」


達也はそう呟き、拳を握る。

選んだのは、逃げ場のない――拳と拳の真っ向勝負だった。


「――――ッ!」


由香里が地を蹴る。


「幻日流奥義 炎舞三式・焔!!」


舞うような動きから放たれた連撃。

灼熱の軌跡が幾重にも重なり、達也を包み込む。


「甘い!」


達也は真正面から踏み込んだ。


「幻日流奥義 雷鳴瞬歩!」


雷光が炸裂し、達也の姿が掻き消える。

炎をすり抜け、由香里の死角へ――


だが、


「――遅い!」


「幻日流奥義 秋霜烈日!!」


由香里は間髪入れず、回転と共に斬撃のような拳圧を放つ。

空気が裂け、熱と冷気が同時に衝突した。


「くっ……!」


「幻日流奥義 氷雪大河!」


達也も同系統の奥義で応戦。

一度、熱で膨張しきった空気が――一気に凍りつき、

無数の氷晶が戦場に舞い散った。


だが、止まらない。


由香里は、さらに踏み込む。


拳。

肘。

膝。

蹴り。


一切の間を与えぬ連撃。


「……っ!」


達也は防御に徹しながら、徐々に押されていく。


(……いい。来い……)


あえて、下がる。

あえて、追い詰められる。


その間に――


(セイラ。頼む)


――精神回線が、静かに開いた。


(了解。アデューに接続。位置、確認……今)


闇。


由香里の周囲を覆う、濃密な闇の魔力。


その中へ――


「……由香里」


声が、届いた。


「……!」


由香里の動きが、一瞬だけ止まる。


「……お前、まだ自分の殻に閉じこもるつもりか」


達也は拳を下ろさないまま、言葉を続けた。


「残念だな……」


低く、しかし確かな声。


「お前が闇に堕ちたら――

 お前をイジメた紅音は、どうなる?」


由香里の瞳が、揺れる。


「……今でも、あの子は自分を責めてる。

 『自分の苛立ちを親友にぶつけてしまった』ってな」


一歩、踏み出す。


「だからこそ――

 お前は闇に逃げるんじゃない」


「紅音の前に、

 ライバルとして立ち続けるのがお前の役目だろ」


――沈黙。


そして、


「……あ……」


由香里の口から、かすれた声が漏れた。


「……紅音……」


次の瞬間――


闇が、砕け散った。


魔力の膜が崩壊し、光が奔流となって溢れ出す。


「――――ぁあああっ!!」


由香里は叫び、拳を振り抜く。


闇は完全に消え去り、

そこに立っていたのは――正気を取り戻した由香里だった。


「……ごめん、おとうさん」


「いい」


達也は短く頷く。


「……さて」


二人は、視線を交わし――わずかに笑った。


「ここからは……芝居だな」


「うん」


二人は同時に構えを取る。


「「――幻日流・秘奥義!!」」


あたかも、互いに全力で撃ち合うかのように、

二つの究極の魔力が正面衝突――


――した瞬間。


空間が歪んだ。


次の刹那、

達也と由香里は――魔王の正面に立っていた。


「――今だ!」


二人の拳が、同時に突き出される。


「幻日流秘奥義 魔殺激砲!!」


圧倒的な魔力が叩き込まれ、

魔王を覆っていた多重シールドが一枚、また一枚と砕け散る。


「な……ッ!?」


魔王の声が、初めて揺れた。


達也は拳を構え直し、

由香里は隣で、力強く頷く。


「さぁ……」


「――ここからだ」


魔王との決戦。


その火蓋が、今――切って落とされた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今回の戦いは勝敗ではなく、由香里が“戻ってくる”ための物語でした。

次はいよいよ魔王との本当の決戦。

最強親子の連携、その完成形をお楽しみください。

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