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第52話 参謀VS参謀

王都決戦、開幕。

戦場は剣だけでなく、知略でも火花を散らす。

国王軍参謀ケイセンと、魔王軍参謀エバンス。

英雄親子が剣を振るう裏で、参謀同士の読み合いが始まる――

これは、戦争を動かす“頭脳”の戦いの物語。

王都が、かつてない危機に瀕していた。

魔王軍が――王都へ直接、侵攻してくるという報が入ったのだ。


この状況を打破できる者は、ただ一人。


国王軍参謀、ケイセン。


「ケイセン……王国のために、頼む」


国王の言葉に、ケイセンは一瞬、視線を伏せた。


「……わかりました。しかし……」


言葉を濁すケイセンに、静かに声をかけたのは達也だった。


「俺たちも手伝う。魔王軍を、叩き出そう」


その申し出に、ケイセンは苦い表情を浮かべる。


「……私は、魔王軍の企みを読み切れなかった。

“英雄”達也……正直に言えば、あなたの方が適任ではありませんか」


不安を隠さぬケイセンに、達也は首を横に振った。


「今回は、ただ俺の疑い深さが役に立っただけだ。

全軍を動かす作戦行動なんて、俺にはできない」


しばしの沈黙の後、ケイセンは深く息を吐いた。


「……わかりました。国の危機です。

全力で、やらせていただきます」


その言葉に、国王は静かにうなずいた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「王子だけでなく、こちらが用意した側近まで捉えられるとは……」


苛立ちを隠さず呟いたのは、魔王軍参謀。


魔王軍参謀――エバンス。

死霊を操る、ネクロマンサーである。


「“英雄”達也……やはり、最大の敵だな」


魔王バーミリオンは重くため息をついた。


「ええ。さらに問題なのは――

彼の娘、由香里が英雄因子を覚醒させ、因子に自我を持たせたことです」


エバンスは冷静に、しかし淡々と現状を分析する。


「ですが……王国は今、戦勝ムードに包まれています。

油断している今こそが、好機」


その進言に、バーミリオンは腕を組んだ。


「……確かに、四天王を失い戦力は半減している。

それでも、今なら勝機はあるかもしれん。

だが……嫌な予感がする」


エバンスは一歩踏み出した。


「では、部隊を二つに分けましょう。

現在の魔王軍戦力は、王都地下道へ投入。

そして王都正面には――私の力で、四天王を四体、超獣化状態で復活させます」


「可能なのか」


「はい。ただし、限界は六時間。

ですがその間、“英雄”二人を正面に釘付けにできます」


エバンスの眼が、妖しく光る。


「そうすれば、地下から王都へ侵入した部隊が暴れ回る。

勝機は――生まれます」


沈黙の末、魔王バーミリオンは決断した。


「……わかった。

すべて、お前に任せよう」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


その頃、達也は英雄騎士団の部隊長クラス、そして由香里を騎士団本部に集めていた。


「今夜――魔王軍が攻めて来る」


唐突な宣告に、空気が凍りつく。


「そんな……魔王軍には、もはや戦力が無いのでは?」


第三部隊長サイナスが問いかけた。


「王子の側近が、洗脳された囚人だったと確認された」


達也は淡々と説明を続ける。


「側近が流した誤情報で、王子は敗走を重ねた。

正直、王子の能力じゃ巻き返しは無理だった」


騎士団の面々が息を呑む。


「囚人はヒュプノで洗脳されていたが、効果は一日限り。

つまり――その間に、魔族は王都へ地下道を掘り進め、侵入していた」


ざわめきが走った。


「……王都に、魔族が潜入していた……」


震える声が、あちこちから漏れる。


「だからだ」


達也は一歩前に出て、深く頭を下げた。


「参謀ケイセンの指揮のもと、作戦行動を取ってほしい」


「達也様、頭を上げてください」


サイナスをはじめ、部隊長たちは即座に応じる。


「ケイセン様なら、信頼できます」


その言葉に応えるように、扉が開いた。


参謀ケイセンが、姿を現す。


「……英雄騎士団の協力なくして、王都は守れません。

どうか、よろしくお願いします」


深々と頭を下げるケイセンに、騎士団長ラーハルトが前に出た。


「ケイセン殿、頭を上げてください。

我々英雄騎士団は、あなたの作戦のもとで動きます」


その場に、確かな結束が生まれた。


「ケイセン。魔王軍は、どう出ると思う?」


達也の問いに、ケイセンはしばし思考を巡らせる。


「戦勝に酔った今を好機と見るのは当然。

ですが、“英雄”が二人いる以上、正面から全軍で攻めれば敗北は必至」


一拍置いて、続ける。


「敵にネクロマンサーがいるとなれば――

四天王を復活させ、王都正面に配置。

“英雄”を釘付けにし、残りの戦力で王都を攻める……それが最善策でしょう」


「つまり――」


「ええ。

達也様と由香里様は正面。

英雄騎士団は、王都防衛」


達也は短くうなずいた。


「わかった。

俺と由香里で、正面を引き受ける」


「……お願いします。“英雄”」


その言葉に、騎士団の面々は戦慄した。


王都に一歩でも侵入され、煙一つでも上がれば――

それは、英雄騎士団の敗北を意味するのだから。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

今回は戦闘前夜、参謀同士の駆け引きを中心に描きました。

次話からはいよいよ王都決戦本番。

達也と由香里、そして英雄騎士団の運命が交錯します。

続きをお楽しみください。

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