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第46話 超獣化する四天王

四天王シーザリオンとゴルディアスが、ついに本性を解き放つ。

超獣化という切り札を前に、由香里と英雄騎士団は圧倒的劣勢へ。

英雄の娘は、この絶望を前に何を選ぶのか――

第46話、四天王の“本気”が牙を剥く。

戦場の空気が――変わった。


否。

**“圧縮され始めた”**と言った方が正しい。


シーザリオンとゴルディアス。

2体の四天王が、同時に動きを止めた。


「……ほう」

シーザリオンの声が、低く、深く響く。

「ここまで追い込まれるとはな」


ゴルディアスが、ゆっくりと四肢を踏みしめる。

大地が軋み、戦場全体が震えた。


「認めよう、ヒューマン」

「貴様は、確かに英雄の域に足を踏み入れた」


その2体から――

異常なまでの魔力収束が始まる。


「魔力反応、急上昇!?」

「四天王クラスの上限を超えてる……!」


騎士たちの警告が飛ぶ。


由香里は歯を食いしばった。

(……来る)


「……奥の手、ってやつか」


2体が、同時に吠えた。


「――解き放て」

「――我らが本性を!」


次の瞬間――

爆発的な魔力の奔流が、2体を包み込む。



シーザリオンの身体が、軋みながら膨張する。


鱗が再構成され、より鋭く、より神秘的な紋様へ。

首が伸び、角が分岐し、翼は龍そのものへと近づいていく。


宙を泳ぐ魔獣ではない。

**“海と空を支配する龍王”**の姿。


「超獣化形態――」

「真なる名は不要」


シーザリオンが、ゆっくりと頭をもたげる。


「我は、海竜王」


その一言だけで、

空気中の水分が完全に支配下に置かれた。



対照的に、ゴルディアスの身体は――収縮した。


だが、それは弱体化ではない。


巨体が引き締まり、筋肉が凝縮される。

体毛が一斉に抜け落ち、即座に生え変わる。


黒く、鈍く光る――硬質化した獣毛。


爪は細く、長く、刃物のように研ぎ澄まされ、

牙には、紫黒色の毒が滴っていた。


「陸は、研ぎ澄まされるほど強くなる」


ゴルディアスが、低く笑う。


「超獣化――刃獣王形態」


一歩踏み出しただけで、

地面に深い裂傷が刻まれた。



次の瞬間――


2体が、同時に咆哮した。


「――――――――!!!!!」


音ではない。

衝撃でもない。


存在そのものによる破壊。


「第三部隊、防御――!!」

「由香里様、シールドを――!!」


反射的に、動いた。


「“幻日流――シールド多重防御展開!”」


由香里と英雄騎士団三部隊が、

重ねに重ねた防御障壁を展開する。


だが――


一瞬だった。


咆哮が触れた瞬間、

魔力障壁は紙のように砕け散った。


「――なっ!?」

「防御値、測定不能……!」


衝撃が、遅れて襲う。


兵士たちが吹き飛ばされ、

由香里の身体も、後方へ叩き飛ばされた。


「ぐっ……!」


地面を転がり、ようやく踏みとどまる。


「……そう、だよね」


由香里は、苦笑した。


前を見る。


シーザリオンが、尾を一振りするだけで、空間が引き裂かれる。


ゴルディアスは、構えただけで、

殺意が刃となって溢れ出す。


「これが……四天王の本気……」


英雄騎士団も、立ち上がれない者が続出していた。


「由香里様……」

「すみません……」


誰もが理解している。


――今度こそ、詰みかけている。


シーザリオンが、冷ややかに告げる。


「ここまでだ、英雄の系譜」

「超獣化した我らに、抗う術はない」


ゴルディアスが、刃のような爪を鳴らす。


「誇りは認めよう」

「だが――ここで終わりだ」


2体が、同時に踏み込んだ。


死が、確定する距離。


由香里は、武具を変化させ構え直した


膝は、正直に震えている。

息も荒い。


それでも――


(……まだ)

(まだ、終わらせない)


だが現実は非情だった。


次の一撃が来れば――

誰も、生き残れない。


戦場は、完全に沈黙し、

死の瞬間だけが、目前に迫っていた。


――由香里と英雄騎士団、

絶対絶命。

四天王の切り札「超獣化」お披露目回でした。

完全に格上の力を前に、由香里たちは追い詰められます。

次話では、この絶望をどう覆すのかが焦点です。

ここから物語は、さらに加速します。

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