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第45話 ゴルディアスとシーザリオン

四天王ガニメデ撃破の余韻も束の間、新たに現れたのは“海”と“陸”を司る二体の王。

英雄の娘・由香里は、仲間と共にその連携へ挑む。

これは守られる存在ではなく、前線に立つ英雄としての戦い――第45話、開幕です。

四天王ガニメデが倒された。

それは、魔王軍にとって明確な動揺を意味していた。


「流石は英雄の娘だな。……英雄・達也と同格として相手をしなければならんようだ」


その声と同時に、後方の空間が歪む。

圧倒的な威圧感を放つ二体の魔物が、ゆっくりと姿を現した。


「海の王――四天王シーザリオン」


長大な体躯をうねらせ、宙を泳ぐように浮かぶ魔物が名乗る。


「陸の王――四天王ゴルディアス」


四本の脚で大地を踏みしめる巨獣が、低く唸るように続けた。


次の瞬間――

二体は一切の間を置かず、必殺技を放つ。


「“ダイダロス”」

「“トルネード・タイフーン”」


空と大地から、破壊の奔流が同時に襲いかかる。


「“ホーリーシールド”!」


第三部隊が即座に防御を展開する。

だが――


轟音。

ダイダロスの衝撃を防いだホーリーシールドは、続くトルネード・タイフーンによって粉砕された。


「くっ……!」


「“幻日流二式――通さないって言ってるでしょ!”」


由香里が前に出る。

即座に展開された彼女のシールドが、部隊全体を包み込んだ。


だが、それも長くは持たない。


「“タイダルウェーブ”」

「"ライジング・ミラージュ”」


波と幻影の連撃。

由香里のシールドに、無数の亀裂が走る。


(……まずい。このままじゃ……)


その瞬間――


「“幻日流奥義 炎舞一式”」

「“幻日流剣技 雲海蒼天”」

「“バーニング・インフェルノ”」


イライザ、レガイア、ミューゼ。

三人の騎士が、由香里の前に並び立つ。


「皆さん……ありがとうございます」


由香里は小さく頷き、シールドを解除した。


「――“幻日流秘奥義 神那多”」


四つの技が重なり合い、爆発的な光となって解き放たれる。

二体の四天王の攻撃は、完全に相殺された。


「……ヒューマンの分際で、英雄の技を扱うか」


ゴルディアスとシーザリオンが、明確に動揺を見せる。


「達也は、俺たちにも自分の流派を教えてくれた」


レガイアが剣を構えたまま、静かに言った。


「達也がいなくなってからもな……俺たちは毎日、修行を続けてきた」


「英雄は、もう一人じゃない」


イライザが微笑む。


「今は――由香里様がいる」


その言葉に、由香里は一瞬だけ目を伏せ、そして前を見据えた。


「……父の背中を、ずっと見てきました」


由香里の気が、さらに高まる。


「だから――私は負けません」


「来るぞ、ヒューマン……いや、“英雄の系譜”よ」


二体の四天王が、同時に殺気を解き放つ。


それに応えるように、由香里と騎士団が一歩踏み出した。


だが二体の四天王が、同時に動いた。


「面白い……では試してやろう」

シーザリオンの巨体が、空を滑るように旋回する。

その動きに合わせ、周囲の空気が一気に湿り気を帯びた。


「海は全てを呑み込む」

「“アビス・テンペスト”」


上空に巨大な魔力の渦が生まれ、無数の水刃が雨のように降り注ぐ。


「第三部隊、防御展開!」

「第二部隊、魔力障壁を重ねる!」


即座に対応するが――

水刃の一つ一つが、砲撃に等しい威力を持っていた。


「ちっ……厄介だな」

レガイアが歯噛みする。


その隙を突くように、今度はゴルディアスが地を踏み鳴らした。


「陸は我が支配領域」

「“グラウンド・ドミネーション”」


大地が唸り、戦場一帯が歪む。

足場が崩れ、兵たちの体勢が大きく揺らいだ。


「……二体で連携してる」

由香里は瞬時に理解する。


空から削り、地で拘束する。

純粋な力だけでなく、戦術として完成された連携だった。


「由香里様! このままだと――!」

イライザが叫ぶ。


「大丈夫」


由香里は短く答え、一歩前へ出た。


「空と陸なら……」

小さく息を吸う。

「――まとめて相手にするだけ」


その瞬間、由香里の気が爆発的に高まった。


「“幻日流三式――陽炎・展開”」


彼女の身体が揺らぎ、残像が複数生まれる。

水刃がすり抜け、攻撃が捉えきれない。


「なに……?」

シーザリオンが目を細める。


次の瞬間――

由香里は一気に距離を詰め、ゴルディアスの正面へ躍り出た。


「“幻日流奥義――大瀑布”」


縦に叩き落とされる一撃。

大地ごと割れる衝撃に、ゴルディアスの巨体が僅かに沈む。


「ぬぅっ……! 小癪な!」


だが、止まらない。


「今度は――空!」


由香里は地を蹴り、常識外れの跳躍でシーザリオンの高度へと迫る。


「“幻日流奥義――空牙”」


放たれた斬撃が、シーザリオンの胴体を掠める。

分厚い鱗が削れ、魔力の血が宙に散った。


「……ヒューマンが、ここまで……!」


その瞬間――


「由香里様、今です!」

ミューゼの声と共に、魔力増幅陣が空中に展開される。


「第四部隊、援護射撃!」

「第一部隊、左から圧を掛けろ!」


英雄騎士団が、一斉に動いた。

由香里を“一点突破の刃”として、戦場全体が噛み合う。


「……いい連携だ」

ゴルディアスが低く笑う。

「だが、それでも――」


「足りない、でしょ?」


由香里が言葉を被せた。


「父なら――もっとやる」


次の瞬間、由香里は深く構えた。

全身の気を、一点に集中させる。


英雄・達也の背中。

何度も見てきた、あの“本気の構え”。


「“幻日流・準秘奥義――神那多・連”」


連続する斬撃と蹴撃が、光の奔流となって解き放たれる。

ゴルディアスとシーザリオン、二体同時に叩き込まれる衝撃。


「ぐっ……!」

「馬鹿な……二体同時に……!」


二体の四天王が、初めて明確に後退した。


戦場に走る、ざわめき。


「……押してる?」

「由香里様が……!」


由香里は静かに息を整え、二体を見据えた。


「まだ、終わってない」

だが、その瞳に迷いはない。


「――ここからが、本番です」


英雄の娘ではない。

英雄騎士団に守られる存在でもない。


この戦場で――

由香里は、“最前線に立つ英雄”として戦っていた。


次の瞬間、四天王二体が同時に構え直す。

決着は、まだ先だ。


――戦いは、さらに激しさを増していく。

ゴルディアス&シーザリオン戦、いかがでしたでしょうか。

由香里が「英雄の娘」から「英雄そのもの」へ踏み出す回になりました。

四天王二体との激戦はまだ続きます。

次回、さらに本気を見せる彼らと由香里の戦いをお楽しみに。

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