第37話 最強親子戦場爆誕!
最強の父、覚醒する娘――
ついに戦場へ降り立つ“最強親子”。
四天王ガニメデ率いる魔物軍が砦を襲う中、英雄・達也と由香里が出撃!
空から始まる親子の無双戦、開幕です。
第37話「最強親子戦場爆誕!」お楽しみください。
「今、四天王ガニメデ率いる部隊が砦に侵攻中だ。その部隊を――ガニメデ以外、全滅してほしい」
そう告げたのは創造神アガレスだった。
達也と由香里、その“最強親子”に向けた、迷いのない依頼。
「全滅……じゃなくていいのか?」
達也が創造神アガレスに視線を向ける。
「生き残りがいないと困るだろう?」
アガレスは不敵に口角を上げた。
「“ヤバいのが帰ってきた”って、ちゃんと伝えてもらわないとね」
「俺たちよりヤバい奴が言うなよ」
達也は肩をすくめて皮肉る。
英雄・達也と創造神・アガレス。
互いの力を認め合いながらも、決して相対することのない二人。
――だが、由香里の目には、まるで敵同士のようにも見えた。
次の瞬間。
女神の城の床に、異世界へと通じる巨大なゲートが展開する。
「行くぞ、由香里」
「……うん!」
二人はそのまま、下界へと落ちていった。
⸻
「お、おとうさん……これは……」
眼下に広がるのは、戦場。
砦を囲む無数の魔物と、遥か下まで続く高度差。
由香里は、こんな高さから落ちた経験はない。
父が隣にいても、さすがに背筋が冷えた。
「大丈夫だ」
達也はいつも通り、落ち着き払っている。
「両手両足を広げて、飛ぶように落ちる。あとは――手を繋ぐ」
「……うん!」
二人は手を取り合い、空を裂く。
「由香里。正面のデカい豚を踏み潰せ」
「了解!」
「俺は左の、象みたいな奴だ」
達也はそう言うと、手を離した。
次の瞬間――
空から二つの“光”が、地上へと叩きつけられる。
轟音。
衝撃。
爆発。
地面が抉れ、魔物たちは悲鳴を上げる間もなく消滅した。
⸻
「な、なんだ……?」
砦の見張り役の兵士が声を上げる。
臨戦態勢にあった近衛兵たちが、一斉に城壁へと集まった。
「おい……あの光……いや、あの闘気は……」
体格の良い戦士が呟く。
「間違いない……」
隣にいた魔法使いの女性が、震える声で続けた。
「達也様よ……英雄・達也様が……帰ってきてくださった……!」
彼女は涙を流し、顔を手で覆いながら歓喜の声を上げる。
「我らの英雄が帰還された!」
王族直属近衛師団――英雄騎士団。
その副団長ラーハルトが拳を高く掲げ、叫んだ。
「英雄騎士団、これより敵部隊へ突撃する!
我に続けぇ!!」
砦の門が開き、十名の騎士が一斉に駆け出す。
――だが。
「左だ! 敵の別動隊!」
側面からの奇襲。
不意を突かれた英雄騎士団は、防御で精一杯になる。
「まずい……!」
その瞬間だった。
敵の先頭が、次々と倒れていく。
「――幻日流奥義・暁月!」
土煙の中から放たれた一撃。
光の軌跡が走り、魔物の別動隊を薙ぎ払う。
現れたのは――一人の少女。
「……あの子は……?」
「幻日流って……達也様の……?」
騎士たちは、状況を理解できなかった。
だが、少女は――
たった一人で、別動隊を全滅させていた。
それも、ほんの一瞬で。
⸻
その直後。
前方中央で、再び爆発音が響く。
爆風が土煙を巻き上げ、視界を遮った。
そして――
その中心から、嵐のような風が吹き荒れる。
土煙が晴れた瞬間。
そこに立っていたのは、
膨大な闘気を纏った、一人の英雄。
「みんな、留守にして悪かったな」
達也は、騎士団を見渡し、力強く宣言する。
「だが――俺と娘が来た。
もう魔物ごときに、好きにはさせねぇ」
「うおおおお!!」
「英雄達也、バンザイ!!」
騎士団の男たちは、歓喜に沸き立つ。
しかし――
「……娘……?」
「達也様に……む・す・め……?」
女性騎士たちは、一様に固まった。
(……え、娘!?)
「由香里」
達也が振り返る。
「残りの掃除だ」
「はい!」
最強の父と、覚醒した娘。
今、戦場に――
最強親子が爆誕した。
ご覧いただきありがとうございます!
今回は“親子そろって戦場デビュー回”。
父の余裕と娘の成長、そして周囲の反応を楽しんでいただけたら嬉しいです。
次回はいよいよ四天王ガニメデ本人が動き出す……?
続きもぜひお付き合いください!




