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第33話 それぞれの未来へ

第33話です。

今回は戦いを通して「強さとは何か」「仲間としてどう成長していくか」を描きました。

勝敗以上に、達也がそれぞれに託した“未来への言葉”を感じてもらえたら嬉しいです。

午前中の対戦修行は一段落していた。

だが、シールド発生機は――故障、いや破壊されたと言うべきか。

修行方針をどう変えるべきか、達也が考え込んでいたその時だった。


「たっくん」

「達也」


救世主のように現れたのは、紅音と瑠璃だった。


「こんな面白そうなこと、私たち抜きでやろうなんて許しませんわよ」

少し不貞腐れたように瑠璃が言う。


「たっくん。私たちも……強くなりたい」

紅音は、真っ直ぐな想いをそのまま言葉にした。


「タイミングがいい。二人に相談があったんだ」

達也は頭を下げる。

「新堂家の訓練場を貸してほしい」


「わかりました」

瑠璃は即答した。

「新堂家自慢の訓練場、存分にお使いください。すでに準備も整っています」


その言葉には、ただの好意ではなく、覚悟が滲んでいた。

“自分たちも強くなる”――そう決めた者の覚悟が。


「瑠璃、あんた何しに来たのよ」

久美が詰め寄る。


「強くなりたいからに決まっています」

瑠璃は一歩も引かず、力強く答えた。


「みんな、想いは一緒よ」


そこへ、母・由香が道場に姿を現す。


「さぁ、腹が減っては戦はできないわ。お昼の時間よ!」


――戦場のような昼食時間が過ぎ、やがて一行は玄関に集まった。

新堂家の車に乗り込み、屋敷へと向かう。


屋敷の玄関をくぐりながら、達也がぽつりと呟く。


「ここには二度と来ないと思ってたんだけどな……まさか、こんな形で戻るとは」


道場に入るなり、達也は告げた。


「俺とタイマンだ。四人……いや、静香も含めて五人。

全員、全力でかかってこい」


――想いを、未来を、言葉ではなく拳で伝えるために。



最初は瑠璃。

圧倒的な魔力量で達也を翻弄するが、スピードとパワーの前に撃沈する。


「瑠璃。魔力は確かに凄い。だが、それを活かすも殺すもお前次第だ」

達也は真っ直ぐに言った。

「新堂家の長女としての重圧、それがお前のプライドだ。でもな、実績のないプライドはただのエゴだ。

これまでの経験をすべて使って、戦略を練れ。堂々と戦え。

瑠璃――お前は戦場の貴婦人だ」


「……ありがとう、達也」


瑠璃は涙を堪え、深く頷いた。



次は紅音。

行動予測を駆使し達也を追い詰めるが、“セイラ”の介入により予測を超えられ、敗北する。


「紅音、行動予測は本当に見事だ」

「だが、それに頼りすぎるな。相手は機械じゃない」

「姉を越えようと悩み、自分が“個人”だと気づいた時、選択肢は増えただろ?

戦闘も同じだ。予測は予測に過ぎない。

相手を観察し、呼吸音すら感じ取れ。それができれば――このチームは無敵だ」


「はい。たっくんの教え、忘れません」


紅音は確かに受け取った。



次は静香。

夢幻流らしい洗練された動きで攻めるが、無駄のなさゆえに読まれ、決定打を受ける。


「さすが夢幻流だ」

「だが静香、お前は真面目すぎる。優秀すぎるがゆえに読みやすい。

戦いには……意外性も必要だ」


「意外性……」

静香は静かに頷いた。

「お頭にも言われました。自分なりに実践してみます」



次は久美。

最も達也に近い戦闘スタイル。

互角の攻防から、速度が上がり――制御を失った瞬間、カウンターが決まる。


「久美、お前はムードメーカーだ。だからこそ負けるな」

「力には力、速さには速さ……気持ちはわかる。だが状況を見ろ。

相手が速いなら、止まって戦うのも戦術だ。

緩急をつけろ。相手の土俵で戦うな、自分の土俵に引きずり込め。

“守る戦い”とは、絶対に負けないことだ」


「……もう負けない。達兄にもね」


「百年早ぇよ」


二人は笑い合った。



最後は由香里。


開始と同時に達也が仕掛ける。

由香里はシールドを展開し、防御を最大化。

渾身の一撃でシールドが破壊されると同時に、背後から反撃。

しかし――分身三体による連携攻撃。

奥義が防御を貫き、由香里は力尽きた。


「由香里、防御は上手い。だが頼りすぎだ」

「優しいから攻撃を加減しているな。

スポーツなら美徳だが、戦場では命取りだ。

命のやり取りでは、非情になれ。

その中で“相手を生かす方法”を考えろ。

それができなければ、自分も仲間も守れない」


「……わかっています」

由香里は立ち上がり、強く言った。

「守るために、行動する。それを約束します」



全ての対戦が終わった頃、日はすっかり暮れていた。


「今夜は新堂家の客間に泊まってください。明日の朝から再開しましょう」

「シェフ自慢の料理もご用意しています」


「大浴場もあったよな」

達也が言う。

「明日に備えて、しっかり休もう」


最高の料理、最高のもてなし。

仲間たちは身体を休め、静かな夜に身を委ねた。


明日しかない修行。

それでも、前へ進もうとする者たち。


――それぞれの未来へ向かって。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

この修行は短い時間ですが、彼女たちの心と在り方を大きく変える一日になります。

次話はいよいよ修行最終日。

それぞれが選ぶ「これから」にご注目ください。

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