第21話 強敵アガレスト降臨
第21話は、女神の側近にして悪へ堕ちたアガレストとの決戦。
操られた仲間たちとの再会、そして4人の少女の“魂の拳”が光る熱い戦闘回です。
過去と決意が交差する戦いをお楽しみください。
女神エリザベート――“達也”が召喚された異世界の絶対神。その側近にして、神でありながら更なる力を求め、悪魔を受肉して堕ちた存在がいた。
悪神アガレスト。
「クソ女神の次は、太鼓持ちの悪神か」
“達也”が吐き捨てる。
「心外ですねぇ。私は女神様を心からお慕いする、ただの下級神ですよ」
アガレストは恍惚とした笑みを浮かべながら言った。
「何を言ってやがる。魔王をそそのかしてヒューマン帝国に戦争を仕掛けさせたのは……お前だろ」
“達也”は淡々と暴露する。
「それも女神様のためです。いつ動くか分からない存在を見張るより、動くと分かっている相手を殲滅する方が効率的でしょう?」
悪びれる気配すらない。
「そっち神側だし、5対1でもいいよな?」
“達也”は肩を回し、準備運動を始める。
「心配無用。ちゃんと5対5ですから」
アガレストは不敵な笑みを漏らした。
その背後の闇から、4つの影が姿を現す。
真田薫、酒井幹雄、水本玲奈、水本杏奈。
倒されたはずの仲間たちが、歪んだ気配をまとって立っていた。
「血も涙もねぇ……仲間を寄生させて操るとは」
拳を握った“達也”の怒りが空気を震わせる。
「貴方たちを葬るためです。彼女らも本望でしょう。女神様の力を貸して差し上げていますので、今までの数倍の強さですよ?」
アガレストは得意げに宣言した。
次の瞬間、傀儡となった4人が一斉に力を開放し、凄烈な衝撃波を放つ。
「くっ……!」
由香里たちに迫る破壊の奔流。
「幻日流・二式 通さねぇって言ってんだろうが!」
“達也”が気のシールドを展開し、咆哮のごとき衝撃を受け止めた。
その背後では、由香里・紅音・久美・瑠璃の4人が手をつないでいた。
想いは、一つ。
「……こんな姿になるまで戦わされて、悔しいよね」
「本当のあなた達と、もう一度戦いたかった……」
涙が頬を伝う。
だが、その涙は弱さではない。彼女たちの覚悟の証だった。
「幻日流奥義 炎舞一式!」
「幻日流奥義 大瀑布!」
「幻日流双撃 魂ノ連打!」
魂を込めた必殺技が傀儡の4人へと叩き込まれ、次々に薙ぎ倒していく。
「な……なぜだ!? 数倍の力があるはずなのに……!」
アガレストが目を見開く。
「魂のねぇ拳なんざ、どれだけ強かろうが通用しねぇよ」
“達也”は静かに言い放った。
神の力といえど、空っぽの器に過ぎない。
覚醒した彼女たちの魂の拳に、敵うはずもなかった。
強敵を失った悲しみを乗り越え、由香里たちはついに“魂”の強さを示しました。
しかし、アガレストはまだ本気を見せていません。
次回、さらに激化する「神との戦い」にご期待ください。




