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第20話 能力制限 〜クソ女神参戦〜

各通路の強敵を突破し、ついに玉座の間へ辿り着いた達也たち。

しかしそこに待つのは、女神の影を背負った“最悪の罠”。

力を封じられた英雄が挑む、第20話開幕です。

覚醒した2人の若き英雄が今、未来に向かって歩き出した。


"達也"は長く暗い通路をようやく抜けた。その先に広がる玉座の間は、まるで“あのクソ女神”の居城を思わせる不気味さを漂わせていた。


「ようこそ。我が親愛なる女神様の玉座へ」


黒衣の男が玉座の前に立ち、嘲るように言った。


「違うぞ。アイツの居城はもっと汚かった。家主そっくりにな」

“達也”が鼻で笑った瞬間、鋭いナイフが空を切った。


「我が主人を侮辱するとは、許しません!」


黒衣の男は怒気を露わにし、足元の床が震えるほどの殺気を放つ。


「めんどくせぇな。さっさと始めるか」


“達也”が構えたその時、男は杖を天に掲げた。


「女神様からお借りした力……《英雄因子封印》!」


瞬間、達也の体から力の本流がごっそりと抜け落ちる。


「……くっ。あのクソ女神……!」


怒りと共に意識が揺れたその隙に、黒衣の男が弾丸のように突進してきた。


「——がはっ!」


達也の身体は壁にめり込み、石片が飛び散る。


「やはり大したことありませんね。あの方の力がなければ」


男は勝利を確信したように笑みを浮かべた。


「そろそろ終わりです。《グラビティカノン》」


凄まじい気が放たれた次の瞬間——


「幻日流二式…通さねぇって言ってんだろうが」


達也の前に“気の壁”が展開された。


「そんな小細工——!」


怒号と共に爆炎が玉座の間を包む。

煙が晴れたとき、黒衣の男は息を呑んだ。


立っている。

力を奪われたはずの英雄が。


「封印されるのは分かってた。だから……十年かけて鍛えたのさ、この体と、この力を」


達也から溢れ出す気は、以前とは比べものにならないほど濃密だった。


「英雄因子は意志を持つ。時間はかかったが……やっと俺を認めてくれた」


「ば、馬鹿な……女神様でも因子とは対話できないのに……!」


動揺する男に向かって、達也は静かに呼びかける。


「いくぞ、セイラ。俺たちの力を見せてやる」


『Yes, master——』


身体の奥底から爆発するような力が溢れ上がる。


「幻日流・秘奥義——《竜破斬》!!」


両手に集めた気が龍のごとく奔り、黒衣の男を玉座ごと吹き飛ばして奥の壁に叩きつけた。


達也はゆっくりと呼吸を整える。


「——さて。全員、揃ったな」


四つの通路から、久美、瑠璃、紅音、由香里が姿を見せた。

それぞれが“大きな壁”を越えた顔をしている。


しかし——


瓦礫が揺れ、崩れた玉座の奥から影が立ち上がった。


「再会を邪魔するようで悪いですが……まだ終わりではありませんよ」


「やっぱりな。さすがクソ女神の側近だ」


達也はため息をつきながらも、口元に薄く笑みを浮かべた。


「全員、気を引き締めろ。ここからが本番だ」


神を相手に、決戦の幕が——いま上がる。

因子封印、玉座崩壊、そして神の側近の再降臨——

すべては“最終戦”への布石にすぎません。

次回、若き英雄たちと達也がついに力を合わせ、神を超える一戦へ挑みます。

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