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第8話(後編) 二人の女子高生 ―光と影の連撃―

暗殺者レオとリサに追い詰められた久美。

だがその時、もう一人の少女が現れる。

生徒会長・新堂瑠璃。

運動部総合部長と生徒会長――

二人の女子高生が並び立った時、夜は戦場と化す。

「瑠璃……何しに来たの?」

久美が眉をひそめる。


「面白そうなことしてるじゃない。放っておけないでしょ?」

金属製グローブを鳴らし、瑠璃が笑う。


「相変わらずの格闘バカね」

「争いごとに好かれる久美に言われたくないわ」


互いに肩をすくめつつも、自然に並び立つ。

体育館で、幾度も競い合い、支え合ってきた二人。

その呼吸は完璧に噛み合っていた。


「仕方ない。特別に手伝わせてあげる」

久美がグローブをはめる。

「光栄だわ、部長」瑠璃も構えた。


「女子高生が二人? 関係ないわ」リサがナイフを構える。

「任務を遂行する」レオもスタンスティックを握る。


一羽のカラスが降り、舗道に影を落とす。

次の瞬間、羽ばたきと共に戦闘が始まった。


久美はレオ、瑠璃はリサ。

瞬時に二つの戦場が形成される。


レオの体当たりを久美が受け流し、空中で一回転。

脚が閃光のように走り、レオの顎を掠める。

反撃のスティックを久美が腕で受け止め、反転蹴りで吹き飛ばす。

「運動部総合部長を舐めるな!」

地面に叩きつけられたレオの視界に、五つの久美が映る。

空間跳躍による残像――五連撃が同時に襲いかかった。


一方の瑠璃。

リサのナイフを金属グローブで受け止め、火花が散る。

「生徒会長として、暴力は非推奨だけど……今回は例外ね」

連撃、正拳、膝蹴り。

リサはすべてを受けきれず、ナイフを落とす。

体勢を崩したリサに、瑠璃の膝が正確に突き上げられる。

「がっ……!」

顎を撃ち抜かれ、リサは崩れ落ちた。


「リサッ!」

レオが叫ぶが、その背後に久美が現れる。

空間が歪み、拳が鳩尾を貫いた。

レオの意識が白く飛び、静寂が戻る。


カラスが再び鳴き、夜風が街を撫でた。


久美は髪をかき上げながら息を整える。

「まったく、日本にまでこんなのが来るなんてね」

「それだけ、裏で動いてるものがあるってことよ」瑠璃が応じる。


二人は視線を交わし、かすかに笑った。

戦いの中でしか通じ合えない、信頼の笑み。


「帰ろっか。明日、朝練あるし」

「生徒会の会議もあるのよ。……ほんと、忙しいわね」


制服の裾を翻し、二人の女子高生は夜の街を歩き去った。

その背後で、倒れ伏す暗殺者たちの上を街灯が静かに照らしていた。


――異能を持つ二人の少女。

これが5年前の出来事。ここから全ては始まった。加山姉妹と新堂姉妹。4人にはこれから想像を絶する戦いが待ち受けていた

久美と瑠璃、二人の最強コンビがついに覚醒。

圧倒的な力でプロの暗殺者を打ち倒す。

だが、これは始まりにすぎない。

異能を持つ少女たちを巡る“見えない戦い”が、

静かに、そして確実に動き始めていた――。

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