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マカロン報連相  作者: 水嶋


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2/20

不思議な関係

「先生にセンセーの事言ったらね…」



難波くんがややこしい事を言っている。



まあ、この難波くんは付き合ってる人がいるのに僕と付き合いたい、理由は相手に嫉妬させたいからだと普通の人間なら腰を抜かしかねない馬鹿正直さで告白して来た訳だが…


僕の嫌いな「素直さ」だが、優しさは微塵もない。

見た目も中身も単純そうだが、何か他にも僕には予想のつかない考えがあるのだろうか?

純粋に好奇心と面白さに興味を持った。




難波くんの言うセンセーは僕の事だが先生こと長沢匠とは…




○○○○○○○○○○





「なーみすぁーーん!」


同じ学部の同級生、長沢匠に増田三治がふざけて抱きついていた。



増田の見た目はスタイルも良くスマートでイケメンだ。誰にでも優しくて皆に好かれている。

増田はノンケなのは知っていた。

噂で家庭教師をしている生徒に手を出している事も知っていた。

年下の擦れていない女の子が好みらしいので、大学内で付き合ってる子はいなかった。


長沢は同類…厳密にはネコなので少し違うが、お仲間なのも知っていた。

長沢は明るくて物腰が柔らかく見た目も綺麗で中性的だった。

周りにもゲイだと公表していた。


この2人はまあ、皆から持て囃されていた人気者だった。

流行っていた海賊マンガのキャラクターになぞられて長沢はナガサワタクミを文字ってナミ、増田は名前の三治からサンジと呼ばれてネタカップルに扱われていたが、実際にも仲の良い友人同士だった。



僕はこの2人は苦手な部類の人間だった。

自分はこんな性格だし優しいとか素直とか自分から周りにカミングアウトしてるとか…



全てが相容れないタイプだなと思っていた。

まず、陽気な海賊キャラからして苦手だ。


海賊とはそもそも何の罪もない海上を航行する船舶を襲撃し、暴行や略奪をする。

航海の安全を脅かす行為をする犯罪集団だ。


「海賊王に俺はなる!」前に誰にも迷惑をかけない真っ当な職を探すべきだ。




その長沢とはたまにゲイバー等で顔を合わせていた。


お互いそこまで仲良くもないので、ここでも学校でも挨拶程度の関係だった。


僕も長沢は苦手だったが、長沢も僕に同じ感想を持っていただろう。


長沢は会う度に連れている男が変わっていた。


僕は一途なタイプなので、その辺りもやはり相容れなかった。




当時の僕は年上の恋人と付き合っていた。

基本落ち着いていて、話していて知識が豊富で面白い人が好きだった。


今まで付き合って来た人は年上が多かったかも知れない。

別に年上が好きと言う訳ではないが、単純な人には興味が無くて何を考えているか分からない様な人が好きだった。


僕みたいに捻くれてる様な人が好みなのかも知れない。





○○○○○○○○○○




「先生驚いてたよ!僕の付き合ってる人塾の先生でね」



難波くんは余程先生が好きなんだな。

年上好きってより先生好きなんだろうか?


話を聞いているだけだと先生しかキャラクターが出てこないんだが…


どの先生がどの人だ…


「先生が皆と知り合いって!こんな偶然ある!?僕が驚いちゃった!てへっ」



「その、もう1人の付き合ってるって塾の先生って?」


「うん、増田先生っての!」


「へえー!そんな偶然ってあるんだ。僕も驚いちゃった。」



確か増田はノンケだった筈だが…

年下である意味素直で擦れてない感じなら良いのだろうか?

それとも当時は男と関係を持ったとか聞いた事は無かったが実はバイだったのだろうか?


色々謎は残るがひとまずこの事は置いておこう。



難波くんの言う先生達を纏めると


センセー=僕(当て馬)

先生=長沢匠(何かよく分からない関係)

塾の先生=増田三治(本命今彼)


らしい。


人の縁とは分からない物だなあと他人事の様に思っていた。



「僕がね、増田先生と付き合い出したのはね、僕が好きになってヤケになって先生の働いてるバーに行ってね」


「おいおい、未成年がそんな所行っちゃダメだろう」



普段は山崎くんがまだ高校生の時に楽屋でタバコを吸ったりしてても結構見て見ぬ振りをして来たが一応ここでは教師なので注意をしておいた。



「ゴメンちゃい…あの頃どうして良いか分かんなくて…もう行ってないから許してネ!テヘッ」


謝る気ゼロだなあ…

まあどうでも良いけど。



「でね、先生がそこでバーテンしててね、僕を見つけて色々話聞いてくれて増田先生と付き合える事になったんだあ」


「へえ!長沢バーテンやってるんだ。確か高校で教師をしてたと思ったけど…」


「うん、色々あって辞めて、今もそこでバーテンしてるよ!」


「そうかあ。本当に人生は何があるか分からないなあ。」


確か長沢は学生の頃から先生になるのが夢であんな感じだったけど、真面目にやってたはずだ。

本当に先の人生は何があるか分からないなと思った。

僕も含めて…



「今もね、先生は店に来る僕みたいな迷える若い子に色々アドバイスしたりしてるんだあ。危ない目に遭わない様にね。」


「成る程なあ。学校辞めても先生って訳か。」



何だかんだで本来は根は真面目で結局は違う形で先生やってるんだなあと思った。

でもやっぱりこう言う本命彼氏の馴れ初め話を形だけでも付き合ってる彼氏の僕にしてる難波くんって…





やっぱり何考えてるのか分からないし、面白いなって思った。



ここに来て井上、長沢、増田とある意味最怖、最凶の三つ巴でした。

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