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マカロン報連相  作者: 水嶋


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11/20

聞き混み

「マカロンって謎だよねー。」


「あれは何なんだろ?クッキーともケーキとも違うしさー」


「何かサクッとモチッとしててさー。食感も謎ー」


「何気に単価高いよねえ、ちっこい割に」


「そうそう、私結局はロッタのチョコパイでいっかーってなるねー。貧乏舌だしさ」


「分かる分かるー」


「でも色とか味とかいっぱいあって可愛いよねー!」


「晴海はホント可愛い物好きだよねー。ウチらより乙女じゃん」


「マカロンってあれはチョコパイのちっこい版かな?スポンジケーキみたいな」





「マカロンはスポンジ生地では無い。卵白とアーモンドプードルで出来ていて小麦粉は使ってないから別物だ。」


「うわっ!井上先生…」



「因みにエルメかラデゥレかで言えば僕はラドゥレ派だな。何せマカロンパリジャンの発祥だし、ブティックもサロン・ド・テも気品があってラグジュアリーだ。エルメの方は前衛的で面白い。こちらの方がデパ地下によく入ってるから買いやすいがな」


「成る程…」



わあ!

分かる分かる!

ラドゥレのサロンってお姫様のお城みたいですっごく素敵なんだよね!

あそこでアフタヌーンティー憧れてるんだあ!いつか行きたいって思ってたあ!



とは言えず、一応空気を読んで黙っていた。





「君たち、廊下で騒がない様に。通行の邪魔になるから端で喋りなさい」



「はぁい…」



井上センセーマカロン詳しい〜

ってか好きなのかなあ?

ラドゥレが好きってのは分かった!






「何かねー、付き合ってる人がねー、エッチの時ゴムしないで中出しするんだけどさー」


「えー!?それ大丈夫!?」


「なんかねー、無精子症って病気らしくてさー。大丈夫なんだってー。」


「ホントかなあ?」


「うーん、嘘つくような人じゃ無いしねー」


「まあ、ホントなら診断書みたいなの見せてくれるよね?」


「うん、気になるなら持って来るって。だから本当だと思う…」




聞こえて来た会話をしている、この宏美の言ってる付き合ってる人って増田先生の事だ。


そうかあ。

それで増田先生はゴムしないんだなあ。

でも皆に…女の子にも同じ事してるのかあ…


僕が女の子なら不安になっちゃうけど…


他の子はどう思ってるんだろう?





「そろそろバレンタインの季節ですねえ」


「浜口先生はモテますから毎年大変ですねえ」


「いやあ…お恥ずかしい…まあ食べ物なんで市販品なら他の先生方にもお裾分けしてますけど…」


「わあ!今年はどんなチョコ貰えるか楽しみですー!女の私は貰えないんで!」


「他の先生方に配ってるのは内緒にして下さいよー!」


「分かってますってー!」


「井上先生はどんなチョコがお好きですか?お好みが有れば取り置きしときますよ!」


「僕はチョコレートは好きじゃないんで、お気遣い結構ですよ。それでは」




「あらあら、毎年貰えないから浜口先生に僻んでるのかしら…」


「まあまあ、前田先生…ははは」





そっか…

井上先生チョコ嫌いなんだ…



丁度職員室に用事で行って先生達の会話が聞こえた。




そろそろバレンタインかあ。


増田先生は沢山貰うんだろうなあ。


僕は何あげよっかなあ。


多分何でも喜んでくれそうだし、一緒に僕が食べたいのにしよっかなあ。


好みとか知りたいから先生に聞いてみよっと!


そう思って先生に連絡した。





「増田の好きなチョコ?特に無いんじゃ無い?多分あいつ何でも食べるよ?」


「えー。つまんない回答ー!」


「ゴメンねえ。まあ増田とは順調そうだね?」


「うーん、まあねー。」


「なになに、もう倦怠期?早くない?」


「そうじゃ無いんだけどさー。」


「何だろ?一応縁結びしたんだから聞かせてよ」


「先生には感謝してるよー!でもね…何か少しモヤモヤしてるってのかな…」


「何に?」


「まずね、男同士でエッチする時ゴムしないのって普通?」


「うーん、基本女とするのと考え方は変わらないと思うけど…妊娠はしないけど性病もあるし…してるに越した事はないかなあ」


「やっぱそうだよねー」


「何、増田付けないの?」


「うん。中に出す…」


「うーん…女と違って使ってるの言っちゃえば腸だからね…正直良くは無いね。お腹壊してない?」


「うん、今の所…直ぐ出すし…増田先生は愛を入れてるからって…」


「愛ねえ…愛してるから相手を思って臓器を傷付けない為にバニラで終わらせる人もいるけどねえ…」


「そうなんだ…」


「でも繋がってるって実感するのは幸せだよねえ。俺も良く分かるけど。」


「そうなんだよね。」


「他にもあるの?」


「うーん、あるっちゃ有るんだけど…この件は自分で何とかする…」


「そう、無理しないようにね」


あのお菓子の事は…

流石に先生には言えなかった

まあ暫くは食べたフリで誤魔化そう。



「あとね…ちょっと気になってる人がいるって言うか…」


「ほうほう。」


「学校の先生でね、増田先生とは正反対ってのかな…怖いし、よく怒られるし…」


「ふむふむ」


「でも何か可愛い所もあったり…」


「やっぱり難波くんは先生が好きなんだね」


「たまたまだからね!先生狙ってる訳じゃ無いから!」


「ははは、でも、他の人が気になってるってのは…やっぱこのままじゃダメだって思ってるんじゃない?増田との事」


「…かも知れない」


「まあ一時的な気の迷いかも知れないし…」


「えー!」


「そう言う時はね、とりあえず気になる人と付き合ってみる!俺ならそうするかな」


「うそおー!二股!?」


「言い方が嫌だな…お試し期間だよ。サブスクとかでも良くあるでしょ?気に入ればそっちと契約すれば良いの。」


「えー。そうなのかなあ。何か罪悪感…」


「それ言ったら増田は何股なのよ…お互い様でしょ?」





「確かにねー。」




難波にけし掛けたの先生だったみたいですね。

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