24 やっぱりごはん (黒猫と強面漁師)
来たな、人間。聞いてくれよ。昨日も今日も、いつものあいつが来たんだけど、なんだかよく鳴いていたんだ。けど、なんだか元気がないように見えたんだ。
まぁるい耳は動かないし、ぼくみたいなかっこいい尻尾もないから分かりにくいけど。ぼくは特別に耳が良いからね、あいつの声がいつもよりも小さいことだってすぐに気づいた。
違う、遊んでほしいんじゃない! あ、そこ、そこもっとなでて!
違う!
それでね、あいつは急に怒り出したんだ。そう、大きな声を出して。ぼく、びっくりしちゃってあいつの前足に噛みついちゃったんだよ。あ、昨日のことだよ。今日はやってないよ。
けど痛くないように気をつけたよ。違うって、遊んだんじゃない。びっくりしたから、つい噛みついちゃっただけなんだって。
ねぇ、ねぇ、ごはんはまだなの。今日はね、とっても良い匂いの、やわっかいごはんだったんだ。あれおいしいね! けどもぼくは人間がくれるおさかなも好きだよ!
それでね、それでね。
あいつってば、最初はあんなにもしょげていたっていうのに、とたんに元気に鳴いたんだ。
話が通じていればわかったんだろうけど、たぶんわかったところでそれで? って、なっていたと思うよ。
君たちはなんでそう忙しくしているのかな。
もうちょっとゆっくり過ごしなって。ほら、こんなにもおいしいごはんがあるんだからさ。
あ、でも、こんなおいしいごはんのために、あちこち行っているのなら、ぼくは止めないよ。それにあんなおっきな水たまりにまで行くくらいだ。ぼくにはマネ出来ないや。
あいつはよく来るけど、他の人間たちと同じくいそがしくなって来なくなっちゃうのかな。
そしたらぼく、とってもさみしいな。ごはんもへっちゃうし。
ねぇ、人間。人間はずっと来てくれるだろ? そうなんだろ?
「なんだぁ、お前。今日はよく鳴くな。そんなに腹減ったのか?」
にゃあん、違うよ!
けど、まだまだ食べたいからもっとごはんちょうだいよ! 今日のごはん、とってもおいしいね!
聞いてよ。さっきの人間、ぼくに何か言っていたんだよ。君の群れだろう、あれは。意味分からなかったよ。わぁごはんだ。人間、人間。それでどうするんだ。あいつはあのままなのか。もうぼく分からないよ。「お前今日はおしゃべりだな。もっとか?」違うけどもっとごはんちょうだいよ!




