表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
②長生きなんかしたくない魔女、溜息まじりに時を止める  作者: 志に異議アリ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/10

カイロス



月は雲に隠れ、黒い森を沈黙が包んでいた。


カイロスは一人、地面に幾重もの環を描いていた。


円の中心には古い羊皮紙の書、そこに刻まれた言葉を口にするたび、黒い火花が地面を這う。


「……幾百年、幾千夜……我らが血脈は力を持たぬまま朽ち果てた……


すべては、あの女――魔女ルナがもたらした滅びゆえに」


彼の手は震えていた。それは恐怖ではない。


渇望と憎悪が入り交じった、狂気にも似た執念の震えだった。


「だが、私は見つけた。魔女の力を自らの肉体に封じ、己の一部に変える術を……」


羊皮紙の文字が淡く光り始める。

カイロスの口から、古代語の呪文が低く紡がれる。


「アーク・マグナ、サルヴァ・ポテンティア……

 

我が血に刻め、異能の根源を。


束縛せよ、封じよ、

奪え――ルナ・アルカナ」



詠唱と同時に、彼の腕に黒い鎖の紋が浮かび上がった。


それは魔女の魔法を封じ、力を吸収するための術式。


ただの術ではない。使うたびに自身の命を削る、禁忌そのものだった。


「構わぬ……命など、魔女の力を手に入れるための贄に過ぎぬ」



彼の脳裏には、何度も繰り返し思い描いた光景があった。


――膝をつき、力を奪われる魔女ルナの姿。


彼女を倒すことではなく、彼女を「自分の器に変える」こと。


その妄執こそが、カイロスを何百年も生かし続けていた。


「待て、ルナ……。必ずお前の魔法を奪い、我が血族を再び世界に示す」



夜の森に低い笑いが響き、黒い鎖の紋が彼の腕で脈動を続けていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ