1.プロローグ
新連載始めました!
ストックあるので頻回更新します(´∀`)
第一部は全23話の予定です。
『シャルロッテ、お前に縁談が来ている。家格が上でうちに支援も頂けるそうだ。結婚前から生活費を援助してくれるなんて、この上ない良縁だろう?いいか、呉々も先方の機嫌を損ねるなよ。』
『・・・・・・・はい』
珍しくやけに上機嫌な父親を目の前に、この時まだ14歳だった私は頷くだけで精一杯だった。
たしかに、我が家の破綻寸前の経済状況を思えばそれは破格の条件だった。どうやら相手は、隣国との交易ルートを確保するためうちの土地が欲しいらしい。
先先代が王家の恨みを買ったせいで作物の育たない不毛な土地を与えられたヘイズ領で、何の才もないうちみたいは弱小貴族が稼げるわけもなく、伯爵家なのに困窮していた。
父親が新規事業に手を出して金策に走ったが、全くと言っていいほど才能がなく、やればやるほど借金が膨れ上がっていった。
商才のあった母が生きていれば…
そう思ったことは数知れず。
母がいればもっと上手く金を回したに違いない。
しかし過去に縋っても仕方ない。
私は腹を括った。
幸い、お相手となるレナード・ゲルテルド侯爵令息は見目麗しく、令嬢からも大変な人気で年も近いらしい。
良かった…
好色家の類じゃなくて。
いくら家のためとはいえ、さすがに老人や変態趣味のある人の元へは嫁ぎたくない。そんなことをするくらいなら、家族仲良く飢え死にした方がマシだ。
ー だから私は運が良かった。
精一杯お相手に仕えよう。
どんな時も従順に、感謝を忘れずに。
良き妻となれるように。
そう思っていたのに…
『お前がシャルロッテか。』
『はい、お初にお目にかかります、シャーー』
『ふんっ見た目は悪くないが、貧相で貧乏くさいな。お飾りとはいえ、視界に入れるのも疎ましい。』
『え……?』
『いいか、これは領地が欲しいから仕方なく結ぶ婚姻だ。私はお前が妻など認めない。誰が好き好んでお前など選ぶものか。』
もちろん、分かっていた。
これは政略結婚だと。
ただ、初対面なのにここまで蔑まれているとは思っていなかった。愛がなくとも良きパートナーとして信頼を築いていくのだと、そう信じていたのだ。
それなのに目の前の男は…
『だがせっかく結んだ縁だ。優しさを見せてやろう。支援金は毎月私が届けに行く。わざわざ婚約者の顔を見に行くんだ、優しいだろう?』
私のことを舐め回すように、不躾な視線を這わせてくる。
『その度に俺の足元に縋って有り難く金を受け取れ。精一杯媚を売れ。そうすれば、気が向いた時に相手をしてやろう。お前はまだガキだが、顔と身体は悪くないからな、上手く取り入れば妾くらいにはなれるかもしれないぞ。』
目の前の男の下品な笑みに吐き気がした。
私の婚約者は本物のクズだった。
自分の中で何かが壊れる音がする…
ー あいつ、金ヅルにしてやろう
私はこの時心に誓った。
残り滓も出ないほど搾取して、最後はボロ雑巾のようにして捨ててやろうと。
これまで結婚のために培ってきた貴族令嬢としての嗜みを捨て、私はこの男にやり返すためなりふり構わないことに決めたのだ。
お読みいただきありがとうございます!
テンポよく進めていきます^ ^