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第2章 学院とDクラス、そして魔力量

学院初日の午後、カイたちは最初の講義を受けるために教室に集められていた。


講義の名前は「魔導基礎Ⅰ」。


教壇に立ったのは、鋭い目つきをした中年の男だった。髭をたくわえ、着ているローブは所々が焼け焦げている。どうやら“実技主義”の教官らしい。


「俺はグラウス。このクラスの魔導基礎を担当する。最初に一つ、覚えておけ」


教官はチョークを掲げ、魔導黒板に大きくこう書いた。


  『魔力量=魔力体積 × 魔力密度』


「とは言ってもな──」


チョークを置いて、教官は腕を組んだ。


「覚えておけ。魔力量とは、魔力体積のことだ。密度? そんなものは“存在しない”。すべての人間の魔力密度は、1で固定されている。大昔にそれを証明した学者がいてな、今でもその理論が使われている」


教室内にはメモを取る音だけが響く。


カイはその説明を聞きながら、違和感のようなものを覚えていた。

……なぜか、頭の奥で何かが引っかかる。「それが全てなのか?」という問いが、どこかで浮かんでくる気がした。


「いいか、魔力量がすべてだ。これは今も昔も変わらん。魔力体積が大きいやつが、より強い魔法を使える」


グラウスの断言に、何人かの生徒が力強く頷いた。


そのとき、前の席でノートをまとめていた少女が、カイの方をちらりと見た。


リュナ・セフィラ──カイと同室になった、あの少女だった。


カイも目が合ったのを感じたが、リュナはすぐに視線を戻してしまった。


(……さっきは、ありがとう)


心の中でそう呟くが、言葉にはしなかった。


講義は淡々と進み、魔力体積の定義、術式の初期条件、そして術者の精神集中との関係などが語られていった。


けれど、カイの頭には、あの「密度は存在しない」という言葉だけが、どこか残り続けていた。



ご覧いただきありがとうございます!


今回は、カイの学院生活の始まりと、彼が配属されたDクラスの日常に加えて、

世界における「魔力量」の定義——そして、“密度”という概念が否定されている現状を描きました。


教官の「魔力量とは体積であり、密度は存在しない」という断言は、

カイの力を知る読者の皆さんにとって、少し奇妙に映ったかもしれません。


この“矛盾”こそが、今後の物語で揺らぎ始める「常識」への第一歩となります。


彼がただの“劣等生”で終わらないことを、少しでも感じていただけたなら嬉しいです。


次章からは、Dクラスの仲間たちや演習の様子が描かれていきます。

よろしければ引き続きお付き合いください!

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