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ボクの周りの女の子は何かと問題がある……  作者: はなだ とめX
第1章 彼女は数多の愛が欲しかった
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7 ……でも……だって

 「ねぇ、考えはまとまった?」


 話をぶった切られた園田は突然の闖入者に顔と体を硬直させていたが、紗枝は気にする素振りもなく睨みつけるようにボクを見ていた。

 

 「今、友達と大事な話をしてたんだけど」


 一言の断りもなく園田との間に割って入られたボクは、その感情を隠さずに言った。


 紗枝は、俯いている園田にちらりとだけ視線を寄こしたが、その目は見下しているような冷たいものであり、――だから何?――とでも言った風にボクに向き直り、バンと机を叩いた。


 「早く部活に行かなきゃいけないんだから、さっさと認めてくれる?」


 紗枝って、こんなヤツだったか……?


 苦笑いをしながらソッと席を離れる園田にボクは手を合わせて謝罪する。


 「紗枝とはキッパリ別れることにした」


 紗枝は苛立ちを抑えきれないといった様子で、手に持っていたプリント紙をグシャリと握り締めた。おそらくサッカー部の練習メニューか何かだろう。ぐちゃぐちゃになっているが、大丈夫なのか……。


 「だから、別れないって言ってるでしょ! どうして、わかってくれないのよ!」


 教室中に響き渡る紗枝の大声に、弁当を食べていたクラスメイトたちの声がピタリとやんだ。皆、箸を止め、その視線が一斉にこちらへ向ける。


 しんと静まり返ってしまった教室――


 ボクはご迷惑をお掛けしているクラスメイトに何度か小さく頭を下げて謝罪の意を示した。


 入学してからこの間、ラグビー関連での早退や休みが多く、また夏休みも共に過ごすことがなかったのもあって、ボクはクラスメイトたちとの関係構築がまだ上手く出来ていなかった。


 オーストラリア遠征が終わり、漸く落ち着いて学校に来れるようになったのは昨日。つまり2学期からである。


 前の席に座る園田が積極的に話し掛けてくれていなければ、おそらくボクは教室でぼっちになっていたことだろう。


 そんな状態であるにも拘わらず、クラスメイトたちの憩いの時間に、個人的なことで騒がせてしまって大変申し訳ない限りである。


 「えっ、なに、なに、もしかして、紗枝と高梨、別れるの?」


 すると教室の沈黙を破るように、長い髪を淡い茶色に染めたギャル風の女子がトコトコと歩み寄って来た。彼女は確か中学が同じだった……はずだ。5組か6組だったと思うが、このクラスに友達がいるのか、昼休みによく見掛る。とにかく声がデカい人という印象だ。


 「別れないわよ! モモは話に入って来ないでよ!」


 どうやら紗枝は彼女と名前で呼び合う仲らしい。


 「えーー、ならあたしがカノジョになろっかなぁ~。ねえ、高梨ぃ、あたし、どう?」


 彼女は紗枝を揶揄うようにニヤニヤしながら言った。


 「ダ、ダメに決まってるでしょ。ユウ君はわたしのカレシなんだから!」


 紗枝は彼女と言い合っていたが、そこへボクが割り込む。


 「なんで? だって紗枝は遠山先輩と付き合い始めたんだろ? ならボクが彼女と付き合っても問題ないだろ?」


 「ダ、ダメよ! そんなの浮気じゃない! ユウ君はわたしの恋人なんだから……」


 「遠山先輩とは浮気じゃないの?」


 「か、彼は……恋人よ」


 「へぇ~、紗枝には恋人が二人いて、ボクに恋人が二人いちゃいけないんだ?」


 「くっ……」


 「紗枝も、自分がオカシナことを言っているって、そろそろ気がついているんじゃないのか?」


 ボクは溜息混じりに紗枝に問いかける。


 「だ、だって、わたしは……。ユウ君がモモみたいなギャルと付き合うのは、絶対に認めないから」


 「だったら、ボクも遠山先輩と紗枝が付き合うのは認めないけど?」


 「でも、遠山先輩とわたしはもう付き合ってるし……」


 「だよな。だから――ボクたちは別れよう――そう言ってるんだけど」


 「……でも、……だって」


 「もういいだろ、紗枝」


 「イヤァァァァァァァァァァァーーーーーーー」


 紗枝は発狂してそのまま走り去っていった。


 何だか、もうウンザリって気分になる。


 「ねえ、ねえ、あたし、オナ中だった西田百花にしだももかだけど、……知ってた?」


 「も、もちろん」


 名前は知らなかったけど……。


 「……ぁん!? 超嬉しいんだけど! ユウトンって呼んでいい?」


 「うん、気軽に高梨って呼んでね、西田さん」


 「ねえ、ねえ、あたしたち本当に付き合っちゃったりする?」


 西田がワザとらしくボクの肩にしなだれかかって来た。まあ彼女の場合、揶揄っているだけなのだろうが。


 「えぇ~、またまた、冗談でしょ?」


 「えぇぇー騙された。それにしても、紗枝なんか変じゃね?」


 「だろ?」


 西田とそんな話をしながらも、ボクは他のことが気になっていた。花子のことだ。あれだけ大騒ぎしていたにも拘わらず、まるでこちらには興味がないように、机に座って背を向けたままだった。紗枝もボクと同様、花子とはいつも一緒にいた友達である。


 だから、それがとても不自然に思えた。

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