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ボクの周りの女の子は何かと問題がある……  作者: はなだ とめX
第3章 彼女は自分が何者かを知りたかった
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4 姉ちゃんの不満

 それから6人での食事は和やかに進み、食べ終えるとアルコールが入った母さんと由美さんのトークが弾んでいたのもあって、ボクは薫子お姉ちゃんを自分の部屋へ招待することにした。


 「へぇ~、これが悠斗くんのお部屋なんですね」


 薫子お姉ちゃんに部屋中を見渡されるが、8畳スペースに熱帯魚の水槽以外は、机とベッドだけの飾り気のない部屋だ。服などの衣類はクローゼットの中に仕舞ってある。書籍などは、特別なモノを除いて、捨てることにしているので溜まることはない。


 「これがボク自慢の水槽です」


 薫子お姉ちゃんは水槽に顔を近づけてじっと見ていた。


 するとそこへドアをバンと開いて、ゴルゴンゾーラを片手抱きした姉ちゃんが入って来た。空いた手を突き出すその姿は正義を執行するヒーロー差乍らである。


 「二人でコソコソ何をやってるのよ?」


 姉ちゃんは瞳を眇め、さも訝し気に訊ねる。


 「ん? 薫子お姉ちゃんに水槽を観せてたんだけど?」


 「それにしても……アンタたちが従姉弟だったとはね……。だったら、アンタたちは、結婚できないわね」


 おいおい、姉ちゃん? 藪から棒に何を言い出した?


 「えっと……宜しいでしょうか?」


 一瞬、呆気に取られていた薫子お姉ちゃんだったが、ビッシっと小さく手を挙げ、姉ちゃんに発言の許可を求めた。


 「なっ、なによ?」


 「結婚できないのは3親等までで、4親等である従姉弟の婚姻は……、法的に認められています」


 「遺伝子的に良くないわ。モラル的にもね。法は関係ないわ」


 弁護士を目指している人の発言とは思えない……。


 「誰も結婚の話なんかしてないんだけど?? でっ、姉ちゃん、何か用事?」


 「うっ、まあ良いわ。それより悠斗。あんた霧島さんのことを――薫子お姉ちゃん――って呼んでるみたいだけど?」


 「そうだけど?」


 「私のことは?」


 「姉ちゃん?」


 「なんで、霧島さんにだけ『お』が付いてるのよ?」


 姉ちゃんがかな~り面倒臭いモードに入っている。


 「なら、公美お姉ちゃんって呼べば良いの?」


 「悠斗の姉は私だけなんだから、今まで通り、――姉ちゃん――でかまわないわよ」


 あー、かなり面倒臭い。


 「じゃあ、どうすれば良いの?」


 「霧島さんは従姉なんでしょ? だったら――お姉ちゃん――なんてつける必要はないんじゃないかしら? ……と私は思うわ」


 「えっと……もう一つ宜しいでしょうか?」

 

 再びビッシっと小さく手を挙げた薫子お姉ちゃんが、姉ちゃんに発言の許可を求める。


 「なっ、なによ?」


 「大変申し上げ難いのですが、高梨さんのお母様と悠斗くんのお父様が御兄妹ということは、高梨さんも従姉ということになりませんか?」


 姉ちゃんは衝撃とばかりに後退る。


 いやいや、どうして――今知った――みたいな顔してるの?


 「あっ、だったら、私と悠斗は結婚できるってことね?」


 「何を言い出してるの?」


 姉ちゃんがすんごいゾーンに入ってる……。


 同じ従姉とは言え、最近交流を持つようになった薫子お姉ちゃんはまだしも、3歳の頃から姉弟として育ってきた姉ちゃんを、今更、女性としてはさすがに見れない。


 「えっと、わたし、――お姉ちゃん――で無くて良いです。出来れば『薫子』と呼び捨てして貰った方が、……嬉しいかも……です」


 収拾がつかないと思ったのか、薫子お姉ちゃんが妥協案を出す。


 「それはダメよ! それだと……恋人か、……夫婦みたいじゃない!」


 「……夫婦って……そんな……」


 薫子お姉ちゃんが照れてる……。状況はさらに混乱を極める。


 「えっと……だったら『薫子さん』と呼ぶのはどうですか?」


 呼び方で揉めているなら、ボクが打開案を出さねばならないだろう。途轍もなくどうでも良いことで、これ以上ギスギスするのは……どうなんだろ?……と思う。


 「まあ、妥当ね……悠斗のお姉ちゃんは私ひとりで十分なのよ。他のお姉ちゃんは全て駆逐してあげるわ」


 姉ちゃんの思考がちょっと怖い。


 「はい……私もそれで……お願いします」

 

 霧島先輩改め薫子お姉ちゃんさらに改め薫子さんは、姉ちゃんの姉としての独占欲にかなり引いていたが、これで呼び方については、何とか解決したようだ。


 そこで薫子さんは気持ちを改めるように背筋を伸ばすと、ポケットから徐にナニかを取り出した。


 「それで、実は……。今日は……コレを持って来ました」


 彼女のてのひらに乗っているのはUSBメモリのようだった。


 「何ですか、それ?」


 「えっと、私が悠斗くんを隠し撮りしていた……写真です……」


 ボクが「あー」と納得の感嘆をあげると、「あんた、自分からバラしたの?」と姉ちゃんは驚愕していた。


 「心苦しかったので……嫌われるのも已む無しと言う覚悟で告白しました」


 「で、悠斗、あんたは?」


 「何が?」


 「許したの?」


 「許すも何も、ずっと誰かに写真撮られてるなぁ~って気が付いていたけど、悪意を感じたことは無かったし」


 「ストーカーされてたのよ?」


 「それって迷惑行為のことでしょ? 薫子さんから迷惑をかけられた覚えはないよ」


 「……まあ、あんたが良いのなら、別にいいけど。で? 霧島さん、そんなモノを持って来て、どうするの? 処分するの?」


 「いえ、悠斗くんが、観てみたいと仰っていましたので、持っている写真すべて持って来ました。5万枚以上あります」


 「ゴ、ゴマンマイは凄いわね……」


 姉ちゃんはドン引きしてるが、現状、姉ちゃんの方が異常に見える……。


 「折角だし、今観てみましょうよ」


 ボクが提案すると、薫子さんはボクの部屋をキョロキョロ見渡した。


 「えっと、パソコンはありませんか?」


 「あっ、ボク、タブレットとスマホしか持ってなくて」


 「……そうですか……では、どうしましょう」


 「いいわ、私の部屋へ来なさい。私のパソコンで見ましょ」


 ということで、すぐ隣の姉ちゃんの部屋へ移動したんだけど……「な、なに、これ?」 姉ちゃんの部屋へ入って、ボクは呆気にとられた。

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