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ボクの周りの女の子は何かと問題がある……  作者: はなだ とめX
第2章 彼女は物陰からひっそり彼を見る
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ep.4 変態さんが潜んでいました ~side薫子

 その日を境にして、私と悠斗くんは自転車で一緒に学校へ通うようになりました。待ち合わせしているわけではなく、バッタリ会ってしまうのです。


 これは何かの運命かと、勘違いしてしまいそうになります。


 それと最近の私は……、悠斗くんの視線に身悶えています。その視線の先にあるのが、私の胸だからです。


 これまであまり意識したことはありませんでしたが、自転車に乗ると、案外、揺れているのです。ゆっさゆっさと。


 年頃の男子が、女子の胸に興味があることは知っています。学校でも、男子生徒からの視線を感じることはあります。ですが、胸が大きくなり始めたのが小学生の頃からだったというのもあって、案外私はその視線に慣れていました。接触などをされない限り、気にもしていませんでした。


 けれど、悠斗くんからチラチラされるのは……。何と言ったら良いのでしょうか?


 すごく恥ずかしいのです。


 ただそれだけなら良かったのです。最初は本当に恥ずかしいだけでした。


 そもそもストーカーだった私は、これまで悠斗くんのことを散々陰から盗み見てきました。写真まで撮っているのです。ならば贖罪の意味も込めて、私の胸など存分にご覧いただいて構わないのです。幾らでも揺らしてさし上げましょう。ゆっさゆっさと。それぐらいの気持ちでした。


 それが……段々と私は、悠斗くんから胸を見られることに、快感を覚えるようになってしまっていたのでした。悠斗くんの視線に興奮し、何ならもっと見て欲しいとさえ思うこともありました。


 私の巨乳人生、これまで良かったことなど何一つありませんでした。ダイナマイトボディ幼女などと呼ばれのも、小学校の頃に誘拐されそうになったのも、この大き過ぎる胸の所為です。通りがかりの見知らぬおじさんから揉まれそうになったこともあります。むしろ悪かったことの方が多いです。


 それが、悠斗くんにチラチラされている度に胸がキュンとしてしまうのです。巨乳に産んでくれたことを初めて母に感謝しました。……母自身は貧乳ですが。


 ただ……自宅へ戻ると急に冷静になります。


 悠斗くんの前でわざと胸を揺らしていた自分の行動を思い返し、ベッドで悶絶しています。


 どうやら私の心の奥底には変態さんが潜んでいたようです。思考がアブノーマルな方向へ向っていることに戦慄しました。このまま放っておけば、更におかしなスイッチが入ってしまって、引き返せない領域に突入してしまう惧れもありました。


 これまでの私は母に勧められたブラジャーを使用していました。これといった特徴のない普通のブラジャーです。商店街にある『ファッション・マーケット・サカタ』で買ったものでした。


 その朽ち果てかけた看板には『紳士淑女から若者まで、あらゆるファッションが揃う』と謳ってありますが、この店で若者が買物している姿を見たことがありません。


 若い人は大抵、隣街のデパートか、国道を反対側へ行った先にある郊外型のショッピングモールへ出掛けているようです


 私は、男性恐怖症というのもありますが、わざわざ服を買う為に遠出しようと思ったことはありませんでした。ですが、今回は思いきって、母とショッピングモールまで足を運びました。


 そして、その中にあった女性下着専門店で、『揺れ防止機能付きノンワイヤースポーツブラ・補正力高め』を購入したのです。


 その効果は覿面……とまではいきませんでしたが、悠斗くんの私の胸へ向けるチラチラはかなり減ったと思います。ただ自分でそうしておきながら、なぜか残念に思っている自分がいました。


 ブラジャーを替えたぐらいでは、私の中の変態さんは眠ってくれそうにはありませんでした。


 それでも『揺れ防止機能付きノンワイヤースポーツブラ・補正力高め』は買って良かったと思っています。お値段だけのことはありました。


 これまで使っていた『ファッション・マーケット・サカタ』で買った安いブラジャーは、揺れすぎて時々胸が痛くなることがありました。先っちょが擦れてヒリヒリしたりすることもあります。それも仕方がないことだと諦めていたのですが、『揺れ防止機能付きノンワイヤースポーツブラ・補正力高め』にしてからは、毎日の自転車通学が、まるで嘘のように快適になりました。



 閑話休題。



 そして本日は、いよいよ悠斗くんがお母様とご一緒に、我家へご挨拶に来られる日です。


 まるで結婚のご挨拶ように聞こえますが、残念ながら違います。我家に生まれた仔犬を、高梨家で一匹引き取って貰うことが正式に決まったからです。


 そのご挨拶が終わった後は、商店街にあるレストランで食事をすることになっており、今から楽しみでなりません。


 お昼前にチャイムが鳴ると、母は私と競うように階段を駆け下りていきました。母の化粧がいつもより濃いのは、なぜなのでしょうか?


 そう言えば、近頃の母は悠斗くんの話ばかりします。


 「一緒に写真撮って貰えば良かったわ~。日本代表なんでしょ? アンタ悠斗君の写真持ってないの?」


 一瞬ドキリとしてしまいましたが、まさか娘が5万枚を超える悠斗くんコレクションを保有しているとは、想像すらしていないでしょう。


 「そんなモノ……、あるわけないでしょ」


 ちょっとムッとして答えました。亡くなったお父さんが可哀そうです……というのは嘘で、悠斗くんを女の目で見ないで欲しいです。


 悠斗くんのお母様とは、誘拐未遂事件の時に一度だけお会いしたことがあるはずですが、当時は気が動転していたこともあって、あまり記憶にありませんでした。


 「あらあら、みんな可愛いわね~」


 高梨さんがそのまま歳を重ねていったら、そうなるだろと思わせる悠斗くんのお母様が、仔犬に囲まれて楽しそうに笑っておられました。


 性格の方はどちらかというと、ほんわかしていて悠斗くんに似ている気がします。


 「で、どの仔をウチの子にするか決めてるの?」


 お母様が悠斗くんにそう訊ねられました。自転車で一緒に帰っている最中も、話題の中心もっぱら仔犬のことばかりでした。私もさりげなく探りを入れていたのですが「どの仔もカワイイんだよなぁ~」と決めかねているようでした。


 ただ、先日悠斗くんが我家へ来た際もそうでしたが、今日も悠斗くんの膝の上を独占していたのは立ち耳の仔でした。この仔は産まれた頃から少し大人びていて、姉弟の中で一番賢い仔です。


 「この仔を頂いても宜しいですか?」


 やはり悠斗くんは立ち耳の仔に決めたようです。

 

 「あら、その仔にしたの? 大切に育ててね。で、名前は何にするのかな?」


 母よ。ナニ可愛く質問している――?


 「え~と、シロ?」


 悠斗くんがそう答えた瞬間、シロ(仮)はズッコケました。間違えなく吉○新○劇のようにズッコケたのです。


 「あら? 何だか嫌そうな顔をしてるわよ」


 お母様はそう仰り、悠斗くんの足元に寝そべっている仔犬を抱き寄せました。 


 確かに、仔犬はまるで信じられないモノを見たような顔で悠斗くん見ていました。たぶん、あれは本当にシロという名前が嫌だったのだと思います。この仔は賢いのです。


 「どんな名前が良い~? 悠斗のセンスはダメダメだからね~。母さんがつけてあげるわね。えっと、あなたの名前は――ゴルゴンゾーラ――で、どうかしら?」


 そう言えば、先程、悠斗くんのお母様から4種のチーズ詰め合わせセットを頂きました。イタリア旅行のおみやげだそうです。その中には確かゴルゴンゾーラも入っていたはずです。


 「あら~、かわいいですね! 他の子にも名前つけてくれません?」


 母よ。悠斗くんのお母様の手を煩わせるでない――


 「良いのかしら? だったら、この母犬似の仔はマスカルポーネ。顔が茶色い男の子はペコリーノね。それから顔の模様がキノコみたいな仔はリコッタで、どうでしょう?」


 「チーズの子供たちだから、4種のチーズで揃えたわけですね! さすが悠斗君のお母様ですわ」


 母よ。それ、私が言いたかった――


 一応、他3匹の仔犬の里親は探していましたが、何となく母は手放したくなさそうでした。名前がついてしまったということは、おそらくこのまま我家に残ってしまうのかもしれません。


 お昼を回ったこともあり、商店街のレストランへ4人で食事に出掛けることになりました。悠斗くんのお母様は、祖母も誘っておられましたが、『店番があるから』と断っていました。


 それと悠斗くんのお母様が、――是非、通路を通ってみたい――と仰られるので、土間廊下を通って書店から商店街へ出ました。


 「まるでワープした気分ね」


 悠斗くんもそうでしたが、お母様もとても喜んでおられました。私はあまりピンときませんが、秘密の通路感があってワクワクするのだそうです。


 レストランへ着くと、大き目のテーブルがリザーブ席として用意されてありました。高梨家では月に一度はここを訪れて食事をしているそうです。


 そこからは母とお母様の取り留めない話が始まりました。


 話題は、私が誘拐されそうになった時、悠斗くんが助けてくれた話になりました。


 「あらあら、まあまあ、お綺麗になられて。あの時は私も――よくやった――と悠斗を褒めたんですよ」


 アレ? 当時、高梨さんからは「母が神経質になってしまって、御免なさいね」と言われていたのですが、どちらが本当なのでしょうか?

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